【221回】5月「主婦ほどクリエイティブな仕事はない!」

Ⅰ.日時 2021年5月15日(土)14時00分~15時30分
Ⅱ.場所 銀座ライオン7丁目店6階
Ⅲ.出席者数 78名
Ⅳ.講師 山口あゆ美さん@98期(着物着付け教室サロン・ド・ヴィーヴル主宰)

1968年岐阜市生まれ。大阪女子大(現大阪府立大)国文学科卒業後、ミノルタカメラに入社、24歳で結婚。1998年枚方市の自宅にて料理・テーブルコーディネート・フラワーアレンジメントをトータルに学べる「サロン・ド・ヴィーヴル」をスタートし、20年続ける。2年間の休養を経て、2021年3月「着物着付け教室サロン・ド・ヴィーヴル」としてリスタート。ほぼ毎日着物生活6年目。長女は130期卒。

着物着付け教室サロン・ド・ヴィーヴルHP  https://www.salondevivre.com/

Ⅴ.演題 「主婦ほどクリエイティブな仕事はない」
Ⅵ.事前宣伝 専業主婦として家事と3人の子育てに全力投球の日々のかたわら、20年前にママ友生徒1人から始めたフラワーアレンジメントの自宅教室。次第に、テーブルコーディネート、お料理、ホームパーティー、メイク、着物の着付け、歴史散歩・・と自分の好きなこと、得意なことをベースにコンテンツを増やし、企画・運営・集客・準備・片付けまですべて一人でこなしつつ、多くの方々をお迎えする自宅教室となった。「サロン・ド・ヴィーヴル~暮らしのサロン~」と名付けた教室のコンセプトは「主婦はおうちの太陽。主婦の毎日のルーティンワークを合理的に、楽しみながらすることで、自分も家族も幸せになる。」というもの。2019年、50歳の節目を機に、20年続けた自宅教室を休止。子育ての終了やコロナもあり、改めて自分のこれまでとこれからを見つめ直す時間となった。

2021年3月、2年間の休止を経て、人生100年時代の後半に向け、今後は「着物」を通じて日常を楽しむことを提案すべく「着物着付け教室サロン・ド・ヴィーヴル」としてリスタート。

常に主婦業を軸足に、これからの人生の第二章も楽しく生き生きと過ごしていきたい、一主婦の奮闘記。

Ⅶ.講演概要 紹介者はご同期の佐野憲一さん。コロナ自粛が長引く中、在宅勤務は珍しくなくなったが、山口さんは23年前からご自宅で教室を開設され、在宅勤務を続けておられる。生徒さんの数は、のべ人数にしてNHKホールを満員にしても足りないほどで、これは一つの教室の生徒さんの数としては間違いなく驚異的な数字である。本日はどれだけ考えてどんな努力をすればこのような数字が実現するのか、お話しを伺いたい。※佐野憲一さん:東京六稜倶楽部 | 【第182回】2月「楽天イーグルス創設物語(完全編) ~球団創業から日本シリーズ優勝まで~」 -六稜WEB (rikuryo.or.jp)

序章

1「サロン・ド・ヴィーヴル~暮らしのサロン~」について

・Salon de Vivreはフランス語。「Art de Vivre~暮らしの芸術~」つまり、特別な日ではなく毎日の暮らしこそが芸術というフランス人の生活美学を表す言葉に感銘を受けて命名した。日常を大切に充実させることと、主婦の生活に関わることを発信し共有できるコミュニティを目的とする。

・レッスンでもホームパーティーでも、私がやりたい事や興味のあることを何でも取り入れて企画している。企画の考案も計画も私一人で行っている。

・1回のレッスンで1つの事だけを学ぶカルチャースクールとは異なり、「サロン・ド・ヴィーヴル」では1回レッスンで、お料理・テーブルコーディネート・フラワーアレンジメントなどをトータルに学べるように工夫している。

・テーブルコーディネートとは、お料理をよりおいしく味わうために、食器やテーブルクロスお花などを調和させる手法で、食空間をプロデュースする食卓総合芸術である。

・レッスンの準備・片付け作業もアシスタントなしで、私一人で行う。準備と片付け作業を手伝ってもらわないのは、足を運んで下さったお客様に、日常の家事労働から解放された時間を楽しんで頂くためである。

・春のレッスンを例に説明すると、生徒さんには午前10時半に来て頂いて、最初にお一人ずつフラワーアレンジメントをして頂く。次に私が講師となりミニ講座を行う。講座では、その日のレッスンのテーマとなる季節の歳時記の話や和歌の話や歴史小噺をする。全員でテーブルセッティングを行ってから、キッチンに移動して、レシピを見て頂きながらお料理の手順を見学してもらい(お料理するのは私ひとり)、できたお料理を全員で盛り付けてそのままランチを食べる。午後からは3時~4時(ときに5時)まで、お茶とケーキで楽しくおしゃべりをしながらゆっくりする時間を楽しんで頂いている。

2 家族との時間が最優先~高速回転の時間繰り

・私の教室での活動は、子供たちが幼稚園や学校に行っている隙間の時間を利用して行っていた。子どもたちが帰宅した後は、ママ活動に専念し、それぞれのお稽古事などに付き合って奔走した。

・3人の子どもたちが成長するにしたがって、私の活動時間も少しずつ長くなっていったが、私にとっては、夫の休日や子どもたちの受験や試合にきちんと付き合う事を最優先とするスタンスは変わらなかった。

・教室の仕事が最も忙しかった2015年~2017年ごろは、家族全員が早朝6時台に家を出て、帰宅は夜10時を過ぎる生活パターンであった。当時は、子供たち全員が家から遠い学校に通っていた。放課後にはそれぞれが部活(長男は野球部、次男はオーケストラ部、娘は陸上部)や通塾をしていたし、主人は通勤に片道2時間かかる遠いクリニックに勤務していた。

3 「がむしゃら」でも「充実人生」

・お米は毎朝一升、夜にも一升炊いていた。ハンバーグにはミンチ肉2Kg/回を使っていた。

・家が駅から遠く不便な上に、学校まで全員通学時間が1時間半以上かかり、早朝バスの便が少ない時間帯に家を出なければならなかったため、子どもたち3人と夫の送迎はすべて私が担当していた。(毎日計8回駅までの往復)

・長男は特にハードな日々で、中学・高校の頃は朝練のため早朝5時前起床、土日の試合の時は4時に起床して始発電車で通学する生活を支えた。

・長男が高校に上がり受験生になると、練習後に予備校での勉強も加わり、帰宅は夜中の12時前となった。それから晩御飯を食べさせ、野球部のユニフォームを毎日洗濯しなければならなかったので、私自身の就寝は深夜2時、起床は早朝5時前という、睡眠時間が3~4時間しかとれない、今から思えばとても信じられない生活の中で、教室の活動も行っていた。やはり元気だったのだと我ながら思う。

第1章 「サロン・ド・ヴィーヴル~暮らしのサロン~」(1998年~)

1 「サロン・ド・ヴィーヴル」20年間のあゆみ

1998年1月 フラワーアレンジメント教室をスタート
結婚後はごく普通のマンションに住み、そこで「お花教えて」と言ってくれたママ友の言葉がきっかけとなり、その人を初めての生徒さんとしたフラワーアレンジメント教室をスタートさせた。(月1回のレッスン)
2001年3月 二世帯住宅を建てて移る。
(現在の家)私の夢である「人をお招きしてサロンができる」ように、住宅の間取りは自分で考えた。パブリックゾーン(1階)とプライベートゾーン(2階)に分け、1階を仕切りのない広いスペースにし、キッチンもお料理教室ができるように工夫した。お庭も整えた。
2001年5月 教室の名前を「サロン・ド・ヴィーヴル~暮らしのサロン」と命名。
2003年~ テーブルコーディネートコンテスト、フラワーアレンジメントコンテストにたびたび入賞。
2004年5月 歳時記とそれに合わせたテーブルコーディネート、フラワーアレンジメントをしてケーキとお茶を召し上がっていただくレッスンを開始。
趣向を凝らしたホームパーティーに加え、年に一度のセミナーパーティーを企画・開催。
2007年6月 ケーキだけでなく私の作ったお昼を召し上がって頂くスタイルに変更。
2010年10月 ブログを書き始める。ブログを通じて新しいお友達が増えた。ブログを通したレッスンのお申し込みも増え始める。

2013年 カフェのアルバイトに専念する(詳しくは後述)

2014年 サロン・ド・ヴィーヴル再開記念パーティ開催。この後、カフェでの経験を元に、お料理は手間を出来るだけ省くというコンセプトに変更。これが市場のニーズに合致してお申し込みが増え始める。

2015年5月 レッスンを新しいスタイルに変更。近所のスーパーで手に入る食材で作る日常的なお料理をテーブルコーディネートでちょっとおしゃれに見せるテクニック、フラワーアレンジメント、「一週間の献立」歴史小噺コーナー。

2015年6月 レッスンが募集と同時に満席となりはじめる。

2015年8月 メイクのレッスンを導入する。受講希望者が飛躍的に伸びる。

2017年2月 サロン・ド・ヴィーヴル「着物部」発足。

2018年5月 サロン・ド・ヴィーヴル20周年記念パーティを開催。(20年間の集大成)

2 転機となったカフェでのアルバイト(2013.4~2014.3)

・医学部を目指していた長男が二浪することになったため、長男が合格したら私も入学しようと計画していた辻調理師学校をキャンセルし、近所のカフェで1年間限定のアルバイトを始めた。

・最初はキッチンで、渡されたレシピ通りのお料理を作っていたが、働き始めて1ヵ月でいきなり副店長に昇格し、自らメニューを企画する立場になった。

・AとBのランチセットを毎週考案した。そのうちの特製キーマカレーは、後にお店の看板メニューとなった。

・お店のスイーツバイキングを企画した。一週間の間に、15種類のケーキを6台ずつ焼いた。一日当たり、のべ50人分(定員25人分×2回転)のスイーツを用意する為に、お店の設備を使ってできるメニューを考え、仕入れ/調理/テーブルセッティング等をすべて一人でこなした。

・チョコレートパフェを綺麗に作る方法、アイスカフェオレを2層にして淹れる方法なども学んだ。

・この仕事を通して、いわゆる「家庭の主婦」とは異なる価値観を、現場で実践しながら学ぶことが出来た。(お店の経済・大変さ・裏側・コスト意識・衛生管理・徹底的な工程減・仕込みの仕方)

・カフェでの仕事(学び)が、私にとっては神様からのプレゼントのような貴重な体験となり、この後、教室を運営するのに大いに役立った。

3「サロン・ド・ヴィーヴル」の成長と発展を支えたクリエイティブな考え方について

3人の子供を育ててきた経験やカフェでのアルバイト経験を元に、私自身がいろいろ考え出した新しい工夫が、市場のニーズと合致。合理化を求める多くの忙しい主婦やワーママ(ワーキングマザー)に支持された。

① 新規市場を開拓

・子供3人の子育ての中で出会う人々のネットワークによるリアルな繋がり、また、SNS(ブログ・Facebook)の発信によるネットワーク外の世界の人々との出会い、そして、自らを新しい世界に身を置く事で得られる新しいネットワークが、教室や私の認知度アップと商圏の拡大に繋がった。

・メイクを習い、JPMパーソナルメイクコンテストではグランプリを受賞。

② 他教室との違い(独自性)を明確化するのにオリジナルコンテンツを開発・提案した。

・生徒さんからの要望を取入れて、簡単に美味しくできる普段のお料理をテーブルコーディネートのテクニックを駆使することで、おしゃれなお料理に変身させるという新しいスタイルの教室に方向転換。

・100円ショップを活用したテーブルコーディネートでもお洒落に見えるテクニックを工夫。

・スーパーで簡単に手に入る食材を使って、絶対に失敗しない再現性のある、簡単で美味しいお料理のレシピを考案・開発。(夏のガス火を一度も使わないシリーズ、秋の包丁を一度も使わないシリーズなど)

・ゆるい「ついで作り置き」「ついで下ごしらえ」のノウハウ。

・洗い物の時間短縮のため、食洗器にかけられる食器を使う。

・結婚以来、ずっと実践してきた「一週間の献立表」で買い物と献立作りをシステム化したものを生徒さんにも提供。

第2章 教室のクローズ(2019年~)

・2018年4月、3人の子供たちの巣立ちを迎え(子育ての終了)生活環境が激変した。この時期には不調と心身の節目とが重なった。それまで、家族のために時間をやりくりして高速回転で働く時と同じテンションで教室での活動ができていたのが、プライベートの生活が縮小したにもかかわらず、教室の活動のためにだけ超高速回転で働くことに違和感を覚えるようになった。

・ふと気が付くと主人がピンチ、色々な要因で心身ともに疲労困憊状態。

・若い頃に思い描いていた「フラワーアレンジメントやテーブルコーディネートを仕事にする」という夢はもう叶ったと感じた。私の夢が実現するよう長年支えてくれた主人を一番大切に考え、寄り添うことを決意した。

・2019年 20間続けてきた教室をクローズして、主人の経営するクリニックで働き始めた。

・私にとってはクリニックでの仕事はすべてが初めてのことで、新鮮で勉強になっている。

・教室をクローズしてクリニックで働き始めたことは、主人を支えると言いながら、実は自分の癒しと、これまでがむしゃらに走り続けてきたギアをシフトチェンジするための時間となったと感じている。

・主人と一緒に楽しめること(昼休みに近くの名所旧跡を訪ね、主人に写真を撮ってもらう)を始めた。

第3章「サロン・ド・ヴィーヴル~着物着付け教室」をリスタート(2021年3月~)

2年間の休止期間を経て、着物着付け教室として活動を再開した。この活動はクリニックの仕事と両立している。私にとっての着物は一人テーブルコーディネート。

1 着物着付け教室を通じて伝えたい事

・着物に関する思い込みを無くしたい。(面倒・高価・しんどい・お手入れが大変)

・特別な日ではなく日常を豊かにする。

・着物を着る事で大人の女性を美しくみせる。(歳をかさねたからこその美しさ)

2 他の教室とは異なる新しいカリキュラムを考案

(プレミアム4回コース)

1回目 古着屋さんへ一緒にでかけて生徒さんにあう帯と着物などをお見立てする。

2回目 着付け前半。(帯結びの手前まで)

3回目 着付け後半。(名古屋帯結び)

4回目 着物姿で教室まで来て頂いて、特別アフタヌーンティー。

第4章 ここからの未来

人生100年時代の折り返しを過ぎて第二章の幕が開いたばかり。これまでの経験をベースに変化を楽しみ、どんなことにもチャレンジしたいと思っている。

子供の頃に好きだった事でまだやっていない事(発掘のアルバイト、小説を書く)、岐阜の田舎の家と環境を活用した活動など。

また新たにどんなことに出会えるだろう?を楽しみにしながら、人生の折り返しを歩いてゆきたい。

第5章 質疑応答(敬称略)

宮本直子(93期):フルタイムでご活躍ですが、スタミナ維持のための健康の秘訣は何ですか?

回答)子育て当時のスタミナは自分でも信じられません。今はよく眠るようにしています。

竹田誠(98期):お惣菜を買ったりはしないのですか?

回答)あまり買いません。自分で作った方が早いですし、その方が美味しいと思えるからです。

付録

火を使わないシリーズのレシピより

・夏のお昼に「ネバネバおうどん」:冷凍のおうどんを袋ごと電子レンジで解凍して氷水で絞めて、具材と混ぜて、めんつゆをかける。具材は納豆、長芋、オクラ、アボカド、生卵など。

包丁を使わないシリーズのレシピより

・ひじきと里芋のご飯:炊飯器に普段通りにお米を仕込み、乾燥ひじきと油揚げ、冷凍里芋をいれてお酒とお醤油をいれて炊飯する。

・切干大根のサラダ:乾燥切干大根は水でサッと洗ってビニール袋に入れ、すし酢少々とお醤油少々とごま油をいれて、切干大根がもどるまで置いておく。盛り付けるときにカイワレや胡瓜をあしらう。

【Ⅶ章記録:野田美佳(94期)】

Ⅷ.資料 主婦ほどクリエイティブな仕事はない(添付資料).pdf(8.6MB)