【番外特別講演】「日本のラグビーと北野高校」 -ラグビーワールドカップまであと42日-

Ⅰ.日時 2019年8月10日(土)11時30分~14時
Ⅱ.場所 銀座ライオン7丁目店6階
Ⅲ.出席者数 62名
Ⅳ.講師 三谷秀史さん@82期 (ラグビーワールドカップ2019事務総長特別補佐)
昭和45年北野高校卒業、京都大学法学部(ラグビー学科?)を経て警察庁入庁。
英国留学、米国勤務、 大阪府警警備部長、岡山・千葉両県警本部長、総理秘書官、内閣情報官等々を歴任。
この間一貫してラグビーに関わる。平成26年内閣拉致対策本部事務局長を最後に退官。
現在、ラグビーワールドカップ2019事務総長特別補佐
Ⅴ.演題 日本のラグビーと北野高校-ラグビーワールドカップまであと42日-
Ⅵ.事前宣伝 「ラグビーワールドカップと北野高校の深い関わりについては、大阪六稜会館でも7月に講演がありました。六稜トークリレーのライブ中継でご覧になった方もいらっしゃると思いますが、今回の東京六稜倶楽部ではより突っ込んだお話を聞くことができます。ワールドカップにまつわる裏話も楽しみですね。これを聞けばワールドカップ観戦が一層楽しくなること請け合いです。土曜日の開催ですが、ぜひお出かけください。」
Ⅶ.講演概要 紹介者は中学校時代(豊中五中)から大学時代までの同窓生の植村和文さん。中学時代の三谷さんは一年生に入学するといきなり生徒会長に選ばれるほど成績優秀で人望があった。お父様は北野生、奥様も北野生(82期テニス部所属)。

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1.経歴

1967年に北野高校に入学しラグビー部に入った。以降、大学時代から社会人となっても一貫してラグビーと関わり続け、現在はラグビーワールドカップ2019組織委員会事務総長特別補佐としてラグビーに恩返しをしている。

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2.ラグビーワールドカップ(RWC)とは

(1)観客動員数200万人を超える世界三大スポーツイベントの内の1つである。(他は夏季オリンピックとサッカーワールドカップ)テレビ放送だけでも世界の42億人が観戦する。

(2)RWCの歴史は意外と新しい。第1回大会は1987年にニュージーランドとオーストラリアの共催で行われた。以降、4年に1度開催され、日本は伝統国と共に毎回参加している常連国である。(伝統国とは、イングランド・スコットランド・ウェールズ・アイルランド・ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカなど)

(3)日本は2011年の第7回大会のジンバブエ戦で初勝利するまでずっと負け続けていたのだが、2015年の第8回大会のプール戦(予選)で3勝した。特に南アフリカ戦は奇跡の勝利と言われる感動の試合である。しかしながら、その時には決勝トーナメントに出場できなかった。

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3.ラグビーワールドカップ2019年について

(1)3つの初めてがある大会
ラグビー伝統国以外での開催が初めて、アジアで開催するのが初めて、2016年の夏季オリンピック(リオ)で7人制ラグビーが正式種目になってから初めての大会となる。

(2)大会概要
・開幕戦は9月20日東京スタジアムにて日本対ロシア戦が行われ、決勝戦が11月2日横浜国際総合競技場にて行われる。参加する20チームが5チームずつの4つのプールに分けられて、プール内総当たりの40試合と決勝トーナメントの8試合が行われる。
・意外な番狂わせがあるのがラグビーの面白い所で、今回の組み合わせで見れば、プールAの3番手の日本が2番手のスコットランドに勝てれば決勝トーナメントに進出できるだろう。プールCの2番手フランスの調子が今一つで、ここは三番手のアルゼンチンが勝ち残るかもしれない。プールDでは2番手のオーストラリアの出来が悪いのに対し、フィジーチームが良い出来上がりなので、このあたりに楽しみな番狂わせがあるかもしれない。
・オリンピックは首都圏において短期集中型で行われるが、ラグビーは長期分散型で行われる。会場は全国12か所に分散して用意され、試合は同時併行的に実施される。
(札幌市、岩手県・釜石市、埼玉県・熊谷市、東京都、神奈川県・横浜市、静岡県、愛知県・豊田市、大阪府・東大阪市、神戸市、福岡県・福岡市、熊本県・熊本市、大分県)

(3)大会開催に伴う経済効果
・観戦するために、比較的年収の高い40数万人が海外から来日する。彼らは少なくとも2試合は観戦する。ひとチームの試合は間隔を1週間程度は空けるので、来日する人は1週間から10日間は日本に滞在して、めいっぱい観光を楽しむ。
・特に、令和元年の今年(2019年)は天皇陛下の即位の礼の日程が10月22日に組まれている。10月22日はプール戦が終了して準決勝が始まるちょうど間の日程で、かなりの経済効果が見込まれる。

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4.北野ラグビーについて

(1)ラグビー部の創部は1923年(大正12年)で、これは日本ラグビーフットボール協会の創立より3年も早い。(ちなみに天王子中学は1922年創部)北野と天王寺のラグビーは日本のラグビーをリードしてきたともいえる。

(2)揺籃(ようらん)期
1874年、日本にラグビーが入ると各大学(慶応、三高など)がラグビーを始め、大学(旧制高校)が高校(旧制中学)を支援することで新しい選手を育て、スカウトする事で日本中にラグビーが広まっていった。北野では早稲田大学・京都大学・関西大学・阪大などからOBがせっせと通い熱心な指導を授けた。1924年(大正13年)には第一回天中戦(北野中学対天王寺中学戦)が行われた。

(3)戦前充実期
1935年(昭和10年)には天中戦が大阪スポーツの華といわれる大行事となっており、全校生徒の強制応援が行われた。試合の日には東花園駅に近鉄の臨時列車が停車したという話が伝えられている。
北野は天王子と並んで大阪のトップ校であり、全国中等学校大会の常連出場校となっていた。

(4)苦難の戦中戦後
戦中は適性語禁止、大会の中止、などで事実上の休部状態。しかし終戦直後、1945年12月には天中戦が復活している。
1948年の学制改革の時、大手前高校との交流でラグビー部員は半減・チームは弱体化した。

(5)悲願花園
昭和30年代は、北野・天王寺・四条畷・興国で代表を争っていた。
昭和40年代は受験戦争がはじまり3年生の早期引退が恒例となる。(但し82期と85期は全員引退しなかった)
昭和50年代から体制を整え本気で花園を目指し、昭和62年(1987年)100期生が47年ぶりに花園に出場した。
2015年には部員ゼロの廃部の危機が訪れるが持ち直し、2018年花園の全国大会予選に15人で出場して一勝した。天高戦も8年ぶりに復活した。2023年には創部100周年となる。

(6)ラグビー部OBの活躍
進学先の選手として、(協会・企業・大学・地域の)指導者として、惑ラグビー選手として、4名のジャパン代表選手、トップレフリー(我が国初のプロレフリーも北野生)として、各層で北野ラグビーのOBが日本のラグビーを支える人材となっている。

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5.六稜魂とラグビースピリッツ

六稜魂とラグビースピリッツには一致する面がある。だから北野でラグビーは廃れなかったといえる。(六稜魂とは、文武両道・絆・リーダーシップ・社会貢献など)

(1)One for All,All for OneとRESPECT(一致団結・相互尊重の精神)
・1つのトライは15人全員の成果と考える。トライした選手が派手にパフォーマンスして自己アピールするのはとんでもないマナー違反。試合の後は全員(相手チームも)が盛装して飲みながら、お互いを称え合う。(アフターマッチファンクション)
・試合中、観客は静かに観戦して選手の邪魔をしない。観客席も応援チームで分けない。観客は素晴らしいプレイがあれば、たとえ相手チームでも平等に称え合う。
・レフリーの判定が絶対的に尊重される。アドバンテージルール(反則行為が行われてもレフリーは試合を止めない。反則を受けたチームがそのままプレイを続けた方が良い結果になると判断したらそのまま試合を継続させる。反則を受けたチームが不利になると判断したら試合を止めて、反則地点から試合を再開させる)

(2)No Side
・サイドとは陣地の事。ラグビーの試合はいわゆる陣取り合戦。ボールは陣地の境目で、選手は自分の陣地(オンサイド)でプレイする。試合が終わると相手も味方も陣地の境目が無くなるのでノーサイドと呼ぶ。
・観客のノーサイド。試合前・試合中・試合後、観客の間にサイド(陣地)はない。

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5.結び

今年のラグビーワールドカップは四年に一度じゃない、一生に一度のビックイベントである。

全国民にも来日する人たちにも楽しんでもらう事、ボランティアの人たちに協力してもらう事、経済効果を受け止める事を強く望む。また、大会を妨害する人たちからこの大会を守っていくことが私のメインの仕事でもある。

 

補足)北野ラグビー部は背番号1番が永久欠番の理由(お話は68期高端正直さん)

ラグビー選手の背番号はポジションで決まる。北野の場合は1番のポジションに16番の選手が入る。

昭和28年(1953年)12月の花園での天高戦で(仲の良かった)背番号1番の野本選手がタックルの時、頭を打って脳震盪を起こし翌日亡くなるという本当に残念な事件が起こった。以来60数年にわたり、野本選手への哀悼と教訓の意味を込めて北野高校ラグビー部では背番号1番を永久欠番としている。野本選手のご遺族は野本楯を作って天高戦の前には3年生全員に配布していて、今もそれが続いている。

*背番号1番(左プロップ)の役割について

スクラムを組む時に最前列3人の中の左に位置する選手で、相手フォワードと直接組み合うスクラムの要。体重が重く、がっしりした体形の選手が向いていると言われている。(本田技研工業ラグビー部ホームページより)

【Ⅶ章記録:野田美佳(94期)】

Ⅷ.資料 日本のラグビーと北野高校(4.1MB)

 

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