2017年度・六稜同窓会144周年総会のご報告

平成29 年10月29日、台風22 号による暴風雨のため六稜同窓会144 周年総会・懇親会は開催が危ぶまれましたが、午前10 時30 分に決行となり急ピッチで準備に移りました。やがて受付には悪天候にも関わらずご来場者の列ができ、多少のキャンセルはあったものの北野高校多目的ホールでの総会には246 名が、六稜会館での懇親会には247 名と今年も多くの同窓生が集いました。その会場の熱気が台風を吹き飛ばしたようで、「生き延びる」どころか、驚きや笑顔に満ちた大盛況の一日となりました。

第一部【総会】

台風の影響で定刻からやや遅れましたが、徳岡浩二総務委員長(92期)の開会の辞に続き、在校生オーケストラ部が見事な演奏を披露。もし暴風雨警報が発令されたら生徒は即下校せねばならなかったので無事最後まで演奏して貰えたこと自体が吉兆です。

上田成之助同窓会会長(80期)のご挨拶では、会計収支が2年連続で単年度黒字の目標を達成したとのお話があり、六稜会報への協賛広告や任意の寄付の増加が大いに寄与していることへの謝意を示されました。

続いて同窓会名誉会長である恩知忠司北野高校校長先生から祝辞を賜りました。初の総会ご出席に緊張されながらも、六稜会報69 号に寄稿された通り「第一志望」で校長に着任した本校が6年後に控える150周年に向けて、準備に貢献したいとのお言葉がありました。

役員紹介に続く笹川忠士事務局長(74期)の同窓会活動報告では、2年連続の黒字達成を受けて、以前に取崩した基金へ繰入返済できたとのご説明がありました。またトークリレーなど会員間交流行事の活発化や母校支援の状況の紹介とともに、150周年記念行事への提案募集を呼びかけられました。

[ 卓話]

総会後半は98期学年理事の岩崎日出雄さんの司会で始まりましたが、おもむろに赤いドローンが飛来し、客席全体を記念撮影して卓話の露払い。今回の卓話者は中田兼介さんです。中田さんは京都大学理学部で動物生態学を研究し、現在は京都女子大学教授でクモ研究の第一人者として活躍しておられます。この日は「クモの生き方と私たち」と題してご講演頂きました。

「真の知識は愛に導く」とのワーズワースの言葉を引きつつ、とかく嫌われがちなクモを「好きになってほしい」との想いから、珍しいクモの写真が続々と映写され、「クモは七種類の糸を使い分ける」「網は毎日張り替える」「繁殖方法の色々」など興味深い生態が紹介されました。さらに強靭なクモの糸を模した人工合成糸の実用化が近いことなど、クモの有用性についても解説頂きました。中田さんの軽妙で親しみやすいトークも相まって、クモ愛に溢れるお話に一同引き付けられました。クモのファンは確実に増えた筈です。終了後の花束贈呈をお願いした実父の中田洋さん(69 期)が「親は子どもが何歳になっても心配なものですが、今日の話の内容も面白く聞いて安心しました」と述べられたのは心温まる光景でした。

第二部【懇親会開始】

大雨の中を六稜会館に移動しての懇親会。司会は佐野憲一さんと大黒裕佳子さんです。開会に先立ちここでも参加者全員での記念撮影。そして乾杯のご発声は今年も最年長98歳の阿部源三郎さん(50期)から頂戴し、意気軒高に開会を宣言されました。

この懇親会は新たに同窓会会員となった129 期生の歓迎会でもあり、7名が参加してくれました。橋本拓未さんが緊張の面持ちで「温かく見守って」とご挨拶されましたが、直近の国政選挙では全員が投票したそうです。頼もしい後輩達ですね。

[ 総会初(?)、フラッシュモブ]

さて、毎年の懇親会のメインイベントである幹事期によるアトラクション。場内の照明を暗転し、佐瀧麻希さんのピアノ生演奏に乗せて、戦前から戦後、そして新校舎の現在へと本校144年間の各時代を象徴する写真で紡いだ約2分間の映像がスクリーンに映し出されました。司会の大黒さんのナレーションで映像のエンドロールを迎えると、大きな拍手が沸き起こりました。

ところが、これでアトラクション終了かと誰もが思った矢先に再びピアノの調べが。するとスクリーン脇に立つ同窓会スタッフジャンパーの男性(筆者)がスポットライトを受けてオフマイクで出し抜けに「One Day More 一日を生き延びた~」と歌い出し、続いて会場のほぼ対角のステージ下でマイクを持った別の男性が「巡り合えたのに~」と歌うと場内は意外な展開にざわめき出しました。さらに次々と歌い手が現れステージに上り、フラッシュモブ形式でミュージカル「レ・ミゼラブル」の楽曲「ワンデイモア」の大合唱になると会場は次第に手拍子の渦となりました。

「会場全体で盛り上がり、楽しめるものを!」というアトラクションの趣旨をMCでご説明した後、「勝手にアンコール」曲は今号巻頭で上田会長からご紹介があった「徴収の歌」です。同窓会の永続を願って年会費納入を呼びかける歌詞をスクリーンに映して、会場全体で合唱しました。

98 期の総会実行委員会は、その半分以上の時間をアトラクションの練習に費やしました。歌い手の中に歌を職業にしている人は誰もいません。この年齢になって仲間達と出し物を創り上げる貴重な経験と思い出を頂き、一同感謝しております。

<98ミュージカルカンパニー:( )内は役名>

横畠俊夫(ジャンバルジャン)、足立毅(マリウス)、山田真由美(コゼット)、小川葉子(エポニーヌ)、竹村和久(アンジョルラス)、赤井知之(ジャベール)、谷卓司(テナルディエ)、山口あゆ美(テナルディエ夫人)、守本麻紀(民衆)、浅野美子(民衆)井上耕作(旗

手)、佐瀧麻希(ピアノ)、坂口敏子(歌唱・振付指導)※敬称略

[メイキング・オブ『徴収の歌』]

実は最初から年会費納入率向上を訴えることを目指した訳ではありません。素人集団のフラッシュモブで楽しんでもらえるか自信が持てず、やはり「聴くだけ」ではなく皆さんに一緒に「歌って」参加して頂く企画が必要だと考えたものの、誰もが知っている六稜に縁のある歌(しかも校歌以外で!)となると選曲は難題です。違和感を抱きつつ暫定的に「鉄腕アトム」のテーマを合唱曲に選んで数ヶ月が経過。やがてフラッシュモブの練習を重ねてメンバー間に自信が芽生え、そして厚かましくなりました( 笑)。そうなると2曲目は参加型でも「アンコール曲」としたい!ならば同じくレミゼの代表曲「民衆の歌」しかない!と実行委員長の独断で宗旨替えしたのです。とはいえ問題は歌詞です。我ら六稜人は「大東の邦の運命」が「青春の肩」に掛かっていた訳ですが、同窓会で「屍を越えて明日のフランスを拓いて」も仕方無いので、ここは母校と同窓会の未来を支える凱歌でなければと考えた次第。総会幹事を経験して痛感したのは、「先立つ物」の重要性です。そうなると「民衆」は自然と「徴収」となって替え歌が降臨したのでした。

[ドラフト会議式大抽選会]

恒例の大抽選会は宮崎県でフリーアナウンサーとして活躍中の前田晶子さんが、台風による航空便の欠航により長時間かけて陸路で大阪入りして華やかに進行してくれました。前田さんが宮崎県綾町観光大使を務めているご縁で調達できた「宮崎牛と綾ぶどう豚セット」や「綾切子」ぐい呑みなど極上の特産品が賞品です。予め賞品を紹介した上で各自が、金・銀・銅・プラチナの各賞投票箱に抽選券を入札するドラフト会議方法で会場を盛り上げました。

[ 恩師のエールで大団円へ]

次期幹事学年の紹介では99期の方々11名が登壇され、学年理事の渡邊英美さんが来年の総会に向けてこつこつと準備していきます、と意気込みを披露してくれました。

懇親会のフィナーレは例年、校歌合唱からエールに続く流れです。本来なら幹事学年がエールの口上をするところ、私達はあろうことかそれを恩師の鎌田俊一先生(81 期)にお願いしました。98 期は先生が本校で初めて3年間のクラス担任を受け持たれた学年であるとのご縁があり、「私達の50歳の門出に」と無理を承知での依頼です。校歌の口上も先生に発声して頂き、元オーケストラ部指揮者の坂田泰史さんがタクトを振り、その隣で鎌田先生の応援団の振り付けがシンクロするという力強い演出に、校歌の歌声が元気に呼応しました。そして先生の渾身のエールには感激でした。

最後に中締めのご挨拶として、野村正朗同窓会副会長(82期)から、懇親会の盛り上がりへの賛辞と当番期98期への労いや来年の当番期99 期への激励も頂戴しました。そして「徴収の歌」を歌った98 期に来期以降の継続的会費納入への期待のお言葉も!

この頃には幸い雨も上がり、台紙に挟んだ全体写真と綾町の日向夏ジュースを全員の方にお土産としてお配りして無事終了。家路に着くご参会の皆さんの笑顔に幹事期一同、安堵しました。

[ 明日に向かって]

今回の幹事期として六稜同窓会の良き伝統を先輩方から継承し、そこに新しい息吹を吹き込んで次代の後輩へ伝えたいと願い「スマイル&サプライズ」というテーマを設けました。驚きと笑顔があふれ会話が弾む楽しい会にすれば、来年の参加者が増えるのではと期待してのことです。そのために新しい試みや参加型の催しを織り込もうとしました。至らぬ点も多々あったかと思いますが何卒ご容赦ください。ご来場の皆様方に少しでもお楽しみ頂けたのなら望外の喜びです。そして、何よりも150 名を超える同期生が集まり協力して大きな行事に取り組む充実感を味わう機会を与えてくれた、六稜同窓会総会50歳当番期制の慣習に感謝しています。

最後に幹事期の前例の無い申し出や冒険的なアイデアにもご理解ご協力頂き、お任せ下さった同窓会事務局の皆様に御礼申し上げます

横畠俊夫(98 期)