【274回】2025年10月15日 東京六稜倶楽部講演会

2025年10月15日 第274回 東京六稜倶楽部講演会

 

●講師: 嶋 和彦(しま かずひこ)さん@86期

 

●肩書き:

大阪芸術大学非常勤講師(音楽学部・情報楽器学)、

静岡大学非常勤講師(情報学部・博物館教育論)

 

●講演タイトル:

「博物館の世界的動向~国際博物館会議ICOM2019京都大会以前以後~」

 

●講演要旨:

資料(モノ)の収集保存、調査研究、展示公開、教育普及が博物館の古典的使命である。しかし、近年、地球規模の自然並びに社会問題の解決に、博物館はもっと関与すべきとの考えが欧米の博物館界で大きくなった。博物館とは何かが問い直され、国際博物館会議2019京都大会での白熱の議論を経て、2022年プラハ大会にて、博物館の新定義が採択された。そこには先の使命に加えて包摂的、多様性、持続可能性、倫理的、コミュニケ―ション、コミュニティ、省察、知識共有、経験といった使命が盛り込まれた。モノだけでなく、そのような多様な事柄(コト)への博物館の関与が明確化されたのである。京都大会前後の、この一連の動きを振り返ってみたい。

 

●略歴(プロフィール):

1955年大阪府豊中市生まれ。庄内西小学校、第七中学校、京都大学教育学部卒業。

リコーダーと民族音楽を大阪音楽大学西岡信雄教授に学ぶ。第七中学校英語科教員を務める傍ら、日本での草分け的リコーダー・アンサンブル〈大阪リコーダー・コンソート〉に所属し、多彩な演奏活動や講習会講師を続ける。アンサンブルとして大阪文化祭賞他を受賞し、ロンドン等で海外公演もした。また日本初の小中学生による大編成リコーダー・コンソート〈豊中市少年合奏団〉の指導と指揮を務めた。1990から3年間、インドネシア・ジャカルタ日本人学校勤務。94年教職を辞し浜松市楽器博物館開設準備に関わり、95年より学芸員、2004年より19年まで館長を務めた。その間、館企画CDに対して文化庁芸術祭大賞、館活動全体に対して小泉文夫音楽賞を受賞。在職中より、国立音楽大学で楽器の科学、静岡大学で博物館教育論、大阪芸術大学で情報楽器学の授業を担当。ICOM世界大会京都2019では運営委員の一人として準備に携わり、楽器博物館国際委員会の日本側コーディネーターを務めた。現在も大学での授業の他、中山間部にある浜松市立の小規模小中一貫校で発達支援教室支援員を務めている。