Pages: Prev 1 2 3 Next

‘未分類’ カテゴリーのアーカイブ

最高の贅沢~その2

アフリカの大地を緑に~ジャカランタの花咲くジンバブエから【第17話】

カトマンズ盆地の棚田
カトマンズ盆地の棚田

カトマンズは、自宅から7000m級のヒマラヤの絶景を楽しむことができました。
ネパールはヒマラヤの国だから、山の木や雪解け水は、十分あると思われる方がいるかも知れません。
しかし、違います。エベレストの写真に木は写ってませんよね。そうです、高過ぎるのです。

ネパールでは、森林限界は2500mぐらいで、ハゲヤマのヒマラヤに降った雨の多くは、そのまま、ガンジスに流れ込み、ベンガル湾に直行です。ダムを作れ ばいいと思うでしょ。しかし、ハゲヤマに降った雨は土砂も一緒に流し出し、いくつかあるダムの多くは、みんな土砂で埋まっています。
また、冬場の乾期のため、インド国境側の一部を除き、森林資源に乏しく、その木材も薪炭材として、切り出されております。ですから、カトマンズ周辺の山に も木がなく、人口増加で水道整備が追いつかない上に、周辺の山での水源涵養もままならないという次第です。
ですから、カトマンズでは、水道は1日に1時間しか出ません(この水を自宅の地下タンクに貯めるのです)。庶民は水道管から水を吸い出すポンプを使った り、金持ちはタンクローリーで水を買ったりします。

学校帰りの子供たち(カトマンズ東郊)
学校帰りの子供たち(カトマンズ東郊)

この水不足のカトマンズでの贅沢の一つは、プールです。 市内のスポーツクラブには25mプールがあるのです。娘はプールが好きで、よく、泳ぎに行きました。 もちろん、水源は水道ではなく、クラブ所有の井戸。塩素消毒もちゃんと完備していました。ゼイタク!

もう一つは、暖炉です。 カトマンズでは、プロパンガスもありますが、インドからの輸入品で高価なため、庶民はもっぱら薪です。 森林資源保護のため、木を切り倒すことは禁止されていましたが、枝払いは可能。この切り落とした枝を薪として売っているんですが、たまに、足らないから もっと節約をというお触れが出ます。 が、我が家では、暖炉を楽しんでいました。燃やすのは、インドから届いた荷物を梱包していた木箱を解体した端材です。ですから、ネパールの森林には、直接 は迷惑をかけなったと、ちょっとだけ言い訳。 暖炉の楽しみは、チーズやソーセージを直火で焼くんです。木の燻製の香りが少しついて、美味!

インド国境に近い村で
インド国境に近い村で

プールも暖炉も、庶民には申し訳がない贅沢でした。しかし、カトマンズには、最高の贅沢があります。
それは、娘の誕生パーティーに自宅へ象を呼ぶことです。うちの近くに動物園があり、1ヶ月ほど前に予約すると、指定した日時に見上げるばかりの象が、ノシ ノシとやってきます。もちろんタダではありませんがね。
象は、ヒンズー教では神聖なものですから、途中で合掌したり、心づけをする通行人もおられます。
そして、我が家の庭で、小1時間、即席エレファント・ライデングとなる訳です。当然、パーティーに招待した娘の友達は、大はしゃぎとなります。
ただし、この象のデリバリーには距離の制限があり、うちのように、動物園のすぐそばなら簡単ですが、いつでも・どこでもという訳ではないのです。うちは、 ラッキーでした。
ただし、この象さん、落し物をされる場合もありますから、要注意。けど、においませんよ。

最高の贅沢~その1

アフリカの大地を緑に~ジャカランタの花咲くジンバブエから【第16話】

ウガンダで出会ったナイル顔の農家
ウガンダで出会ったナイル顔の農家

今回の話題はエジプトなんですが、本題に入る前に、ちょっと、寄り道。

みなさんは、人類の発祥の地が、東アフリカということは、既にご存知だと思います。では、その発祥の地から、人類がどうやって世界に拡散していったか。
東アフリカから、まず、エチオピアやスーダンを経て、ナイル河を下り、スエズ地峡を抜けて、シナイ半島へ出たのでしょう。そうです、アフリカを出た人類の 祖先は、ナイルの水を飲んでから、世界へ旅立って行ったのです。
「ナイルの水を飲みし者は、ナイルに帰る(返る?)。」エジプトには、ファラオのころから、そういう言い伝えがあります。かつて、エジプトに住んだ時、自 分の先祖が歩いた地を踏みしめ、その祖先の足跡の地に帰ってきたか、そんな感慨にふけったことがあります。これも贅沢といえば、そのとおり。

馬車の老人~悠久の歴史は関係ない?
馬車の老人~悠久の歴史は関係ない?

閑話休題。「ナイルの賜物」エジプトの魅力は、その遺跡群にもあります。ピラミッドは、お客さんが来るたびに行きましたから、20回は行ったでしょう。ピ ラミッドは、中に入れますが、私も6回ぐらいは、入りました。確かに、「もうーえーで」の雰囲気です。ゼイタク!
もちろん、他の野外遺跡も観光用に整備されてもいますが、日本と違い、壁画等を除けば「触ったらダメ」とかの規制はなく、数千年前の遺跡に直接、手で触れ ることができます。
ひょっとしたら、シーザーやクレオパトラが、同じところを触ったかもしれないと思うと、感激もひとしおです。

しかし、エジプトの魅力の第1に、私は紅海のダイビングを挙げたい。

紅海の北の端にシナイ半島がありますが、この南に突き出した岬“ラス・モハメッド”の周辺こそ、世界最高のダイビング・スポットでしょう。かつて、世界中 の海を旅したフランスの海洋学者クストーが、世界初の海中映画撮影に成功したのは、この海でした。
草1本ない岩砂漠からリーフを少し歩き、波打際に達しますと、海中にはウワサに聞く竜宮城とはこのことか、と十分納得がいく光景が広がります。私がかつて 訪れた、沖縄やタイ、バリなんかよりも、100倍はすごい。なぜ、100倍かというと、色の多彩さが10倍、魚の種類の豊富さが10倍で、10×10で 100。おまけに、このシナイ半島で、ダイビングのライセンスを取りました。こりゃ、贅沢ですよね。もちろん、シュノーケリングでも、楽しめますよ。

3人の伊達エジプト男~飼料畑にナツメヤシ
3人の伊達エジプト男~飼料畑にナツメヤシ

ただ、難は、日本からは行きにくい。カイロまでが大変だし、それから、シナイ半島まで、空路か陸路で移動。ホテルからは、ツアーでないと、一番美しいとこ ろへは行けなかった。ホテルが林立するシャルム・エル・シェイクは、最近、有名になり、行きやすくなったかもしれませんが。しかし、カイロ住まいなら、ま だ行きやすい。仲間もいましたしね。本当に、贅沢でした。

「並ぶ」の意味

アフリカの大地を緑に~ジャカランタの花咲くジンバブエから【第15話】

ネパール南部の村にて
ネパール南部の村にて

なにかの記事で、ニューヨークでは、地下鉄に乗るのに乗客はホームで並ばない、というのを読んだことがあります。 そういうことに気が回るは、東京の人ですね。東京やその周辺では、並ぶのが普通。 かつての大阪は、並ばないので有名でした。 最近、どうですか。阪急の梅田とか、始発駅では、さすがに並んでるのかな。 大阪は、ニューヨークより、東京に近くなったということでしょう。

エジプト南部のアスワンに行ったことがあります。ハイダムのあるナイル沿岸の町です。 カイロに帰るのに、アスワンの空港に、だいぶ早めに行ったら、ロビーに荷物が並んでいる。 どうも、カイロ行きの便を待つ乗客の荷物らしい。こちらも荷物を並べて、イスで待つかという次第。 この荷物の列には、それなりに意味があります。

ジンバブエでの稲作/まだ、実験段階
ジンバブエでの稲作/まだ、実験段階

実は、エジプト航空は、当時、指定席ではなく、どこでも好きな席に座れました。 早い者勝ち!人間が並ぶより、荷物を並べれば合理的?! オマケにオーバーブッキングは日常茶飯事で、並ぶのに遅れると、もう一泊、アスワン泊まりとなってしまいます。 荷物を置いておくことで、順番を主張する訳です。 時間がたつにつれて、荷物の列はドンドン伸びていきます。 さて、搭乗時刻になると、人が集まり出して、・・・・。 そして、哀れ、列のシッポの方は、「残念でした」ということに。

並ぶことでイヤな思いもします。 ケニアのナイロビで、霧で飛行機が遅れ、ハラレへの乗り継ぎ便に間に合わなくなったことがあります。 ナイロビでの1泊と、明日の便への変更手続きのため、並ばないといけない。 しかし、列は長いし、手続きは遅々として進まないし。仕事や出迎えの都合も変更せなならんし。 あれもこれも、ウーウー。 こういう時って、必ず横入りする輩がいるんです。 イタリア人の中年オヤジ、オランダ人の初老の夫婦、アメリカ人の恰幅のいいオバサン。背広を着たアフリカの方も。 列の中から文句を言う声も聞こえるが、カエルの面に何とか。 なぜ、国籍が分かるかって。皆さん、航空券とパスポートを持って並んでる訳ですよ。 せめて、パスポートは向こう向けようね。けど、そういうことを気にする人は、横入りしないか。 「衣食足って、礼節を知る」は、やっぱり、ワールドスタンダードではなかったのです。

エジプト南部の村にて/ナイルの恵みは餌探しのサギにも
エジプト南部の村にて/ナイルの恵みは餌探しのサギにも

ジンバブエでも並びますよ。 スーパーで並んでるのは、たいてい、パンの配達待ち。 スーパーには、いつも必ずパンがある訳ではなく、1日数回、パン工場から配達があるのです。 皆さん、それを待ってるんですわ。仕事のある人も。当然、仕事より食い物の確保の方が大切ですからね。 あと、ガソリンスタンド。ガソリンはヤミ価格が公定価格の数十倍しますが、 通常は、ガソリンスタンドにはガソリンはありません。(え!?) たまに、警察に強制されて公定価格でガソリンスタンドが販売することがあります。 それを狙って、並ぶ訳です。そういう情報には、皆さん敏感です。 しかし、場合によっては、3日間ぐらい並ぶそうです。車の中で寝ながらね。仕事? さあ、どうなってるんでしょう。

だます・だまさない

アフリカの大地を緑に~ジャカランタの花咲くジンバブエから【第14話】

ジンバブエでもハーブは、大はやり~首都近郊のNGOにて
首都近郊のNGOにて
(ジンバブエでもハーブは、大はやり)

「正直である」や「ウソをつかない」ということに意義や価値観を感じる人々は、世界では、まれと思います。また、「衣食足って、礼節を知る」というのも、 世界基準とは思えません。
これらが日本人の多くに当てはまるかどうかは、昨今のアホなニュースを聞いたり、日本を代表する大企業の社長が頭を下げたりするのを見れば、なんとも言え ませんが、日本では、まだ、文化財というかホコリをかぶった過去の遺物にはなっていないでしょう。

しかし、イタリアの銀行というのは「人を見たら泥棒と思え」を地でいく存在でした。ローマ空港の銀行でUS$100札を10枚両替したことがあります。当 時は、まだ、リラの時代でした。ドル札を“one, two, three,… ten”と数えながら、銀行の窓口に差し出しました。係りの中年オヤジは、それを受け取って、カウンターの下に。で、計算書をこちらに示 して、「ここにサインしろ」という。サインをしてお金を受け取ると、どうみてもUS$900分しかない。そこで、それをいうと、この中年オヤジ「あなたは US$900しか出さなかった。ほら、この計算書にもUS$900と書いてある。あんたはこれにサインした。あんたが出した札はここにある。数えてみる か」とカウンターの下から、おもむろにドル札を出してくる。
やられましたな。計算書にサインを求められた時、肝心の数字の部分は、このオヤジの大きな手で隠されており、こちらの素人振りをさらけ出す結果となりまし た。せめて、数える時、英語じゃなくて、イタリアーノで枚数を数えたら……と反省しても遅い。と、現金はカウンターの中に持ち込ませず、窓口の上の見える ところにおいて置くということでしょうか。

ヒマラヤ・アンナプルナ山中の村にて
ヒマラヤ・アンナプルナ山中の村にて

けど、ジンバブエは反対に、お札を正確に数えるのが、当たり前。食料品を買うのでも、100枚づつにゴムバンドでとめた札束がいくつも必要なスカイロケッ トハイ・インフレでは、どこの商店でも札束の計数機があります。けど、そんなに、いちいち数えるのは、時間もかかることもあり、顔なじみになれば、ゴムバ ンドを信用して、計数機のお世話になることなく、1束100枚でカウントしてくれます。もちろん、お釣りも正確。聞いた話では、たまに100枚が101枚 の時があり、店を出たあと、店員が追いかけてきてくれて、その1枚を返してくれたことがあるそうです。
へー、と思うでしょ。けど、ジンアブエでは、ありそうなことです。確かに、この国は、お金をちょろまかそうという雰囲気は、普通の店ではありません。ほ ぼ、全ての商品に値段票や前回書いたような番号が振ってあり、値決めは交渉次第ということもありません。 うそみたいでしょ。けど、こんな国もあるんです。しかし、これは例外中の例外でしょう。

ナイルの恵み~水路に影を落とすヤシ並木
ナイルの恵み~水路に影を落とすヤシ並木

ただし、「衣食足って、礼節を知る」ということは、この正直者の国ジンバブエにも当てはまりません。まあ、いろいろありますよ。 日本は、経済的に繁栄する前から、礼節はあったとすれば、礼節と豊かさは関係ないというでしょうか。 いずれにせよ、海外に出れば、日本の基準は当てはまりません。

これはたまらん

アフリカの大地を緑に~ジャカランタの花咲くジンバブエから【第13話】

壮観! ヒマラヤの棚田 カトマンズ東郊にて
カトマンズ東郊にて
(壮観!ヒマラヤの棚田)

開発途上国というのは、貧しくて、満足に買い物ができないという印象があるのではありませんか。そういう国もあるとは思いますよ。例えば、内戦が絶えない ソマリアとかね。しかし、たいていの国には、スーパーマーケットがあり、ポン酢が欲しいとかと贅沢をいわなければ、買い物には不自由はありません。
ジンバブエでも中国製のアンコや醤油、インスタントラーメン(出前一丁)が入手できます。お米もありますよ。豪州米ですが、片栗粉(ポテトスターチ)を入 れて炊けば、十分、粘りが出て、おいしくいただけます。

しかし、たまらんのは、インフレです。ジンバブエの物価上昇は年に40倍とか100倍です(!?)。こちらで読んだ新聞に、商店が週に6回も値段票を張り 替えているという記事が出ました。ここは、キリスト教の国ですから、一般の商店では日曜日はお休み。だから、日曜日には値段票の張替えもお休みということ です。笑ってしまいました。
店では、目の前で値段票を張替えている場面に、しょっちゅう出くわします。ほんと、ドンドン値段が上がっていきます。反対に、お金の価値は、ドンドン下 がっていきます。最近は、商品に値段票ではなく番号をつけて、番号と値段の対照表を作っている店が増えました。こうすれば、対照表を変えるだけで、値上げ は簡単!感心している場合ではないのですが。

ジンバブエでの買い物は、米ドルを現地通貨に換金したら、すぐ、物に替える必要があります。生鮮食料品は長期の貯蔵ができませんので、トイレットペーパー 100巻とか、缶詰20缶とかがロッカーでワンワンうなるという状態になります。しかし、これは、米ドルを持っている外国人に言えることで、現地の方々 は、これはたまらんということになる訳です。

ナイルの水門 カイロの直下流(右下に高射砲陣地)
ナイルの水門 カイロの直下流
(右下に高射砲陣地)

水道の水を飲めるのは日本だけという話を聞いたことがありますか。正確には、オーストリアのウイーンでも水道水は飲めますよ。水道とか、電気とか、プロパ ンガスとか、そういう生活条件を、どこまで求めましょう。

ネパールのカトマンズでは、水道は1日に1時間しか出ません。それを、地下のタンクに貯めて、ポンプで屋上タンクに押し上げて使っていました。水道管には 必ずヒビがありますから、断水中は地下水が水道管に浸み込んできます。そんな水、浄水器を通したぐらいではきれいにはなりません。もちろん、飲む水はペッ トボトルか湯冷ましということになりますが、シャワーはどうしようもありませんから、目をつぶって浴び、あとで、湯冷ましで目を洗うということになりま す。

ジンバブエでは、2007年5月から、全国的に夜21時から翌日夕方17時まで計画停電が始まりました。毎日ではありませんが、これもたまりません。私の アパートは大統領官邸と中央病院のご近所ということで、停電はありませんが、日本人が多く住む郊外も例外ではありません。停電中は冷蔵庫を開けることも、 料理もできません。(料理は電熱。プロパンガスや灯油は、入手困難。現地の方は、薪。)停電になると、水道局のポンプ場も止まって、断水。

ジンバブエに1台しかない精米機(日本の援助)
ジンバブエに1台しかない精米機(日本の援助)

ここまでの話は、すべて首都での話です。地方はもっともっとすごい状況です。発展途上国で仕事をしてみたいと思う方もあるでしょうが、健康に自信のない方 は、事前に十分、情報を集めてから、どうぞ。

アフリカは進んでいる?!?!

アフリカの大地を緑に~ジャカランタの花咲くジンバブエから【第12話】

ネパールの街並み(カトマンズ東郊バクタプール)
ネパールの街並み(カトマンズ東郊バクタプール)

日本で想像するアフリカの印象というのは、どんなもんでしょう。テレビとかで、紹介されるアフリカの映像というのは、ジャングルかサファリか、はたまた難 民キャンプか市街地の銃撃戦か。確かに、そういうのもアフリカの姿ですが、都会生活もありますよ。
四捨五入で申せば、西アフリカやエチオピアを除く、東南部アフリカには、帝国主義による植民地化以前には、都会はありませんでした。そして、イギリスとか の完全な都市計画の下、ハラレ(ジンバブエ)、ナイロビ(ケニア)、ヨハネスブルク(南アフリカ)といった都会は、欧米よりヨーロッパ的に出来上がってい ます、少なくとも外見は。
ですから、広い街路に、天を覆う街路樹というゼイタクな造りの町に、中心には高層ビルということで、初めて見る人には、ここはパリかニューヨークかという 錯覚を与えることになります。
ネパールのカトマンズを見てロンドンと間違える人はいないでしょうが、ハラレはホテルの窓から見る限り、緑が多く、大阪より美しくみえるんです。そう「案 外、都会じゃないか」ということになる訳です。
けど、道路には穴があき、道端にはゴミが散らかっているという現実もあります。排気ガス規制がなく、その他の臭いとともに、田舎の香水(大阪弁ではババタ ンゴの香り)が鼻先をかすめていきます。スラムも現に存在し、ああ、やっぱりアフリカとはこんなもんかと思ってしまいます。アジアでは混沌とかいうそうで すが、そういうものとは異質なアフリカがそこにあります。

ジャカランタに包まれるハラレ
ジャカランタに包まれるハラレ

住んでみると、「住めば都」という面もありますよ。例えば、完全電化。関西電力が泣いて喜ぶかも知れませんが、ここハラレでは、調理の基本は全て電気コン ロです。IHという訳には行きませんが、電熱線を内蔵したプレートです。停電さえなければ、火事やガス中毒の心配がなく、便利な代物です。そう、停電さえ なければね。
ジンバブエは石油を産しませんし、内陸国で石油の輸入も簡単ではありませんから、水力発電と自国産の石炭による火力発電、隣国からの電気の輸入が、エネル ギーを支えています。
停電。ジンバブエは、金やタバコの他は、US$を稼ぐものがあまりなく、電気や交換部品の輸入がままならず、停電が頻発しています。それも、夕方から宵に かけての一番必要な時間に。
2006年には、東隣のモザンビークから電力を輸入している高圧電力線が鉄塔ごと引き倒されて、電線が盗まれるという事件があり、国の一部でしばらく停電 が続いたこともありました。1週間停電して、冷蔵庫の保存食料を全てパーにしちゃった日本人もおられます。

ラムセス駅前(エジプト・カイロ)
ラムセス駅前(エジプト・カイロ)

ここハラレの場合、経済は年2000%のスカイロケット・インフレですが、外貨を持っていれば、買い物には不自由しません。外国人や金持ちが使うスーパー には、町からパンが消えても、ビスケットやケーキが並んでいます。砂糖も一般の方がヤミで入手してるというのに、輸入物のケーキ用の砂糖はいつでもありま す。
「パンがなければケーキを食べればよい。」的な物質文明が、アフリカの田舎の国にもあるんです。もちろん、US$を持っている一部の富裕層(私たち援助関 係者も)だけの話ですがね。

怪奇、ナイロビ発ナイロビ行き~ケニア航空

アフリカの大地を緑に~ジャカランタの花咲くジンバブエから【第11話】

エジプトにて(馬車の4人親子)
エジプトにて(馬車の4人親子)

海外では、航空機で移動する機会が増えます。
ジンバブエからケニアに出張する機会がありました。ジンバブエの首都ハラレの空港から、ナイロビ行きのケニア航空の便に乗ったところ、既に、機内は満杯。 自分の席は、確かに空いていましたが、座っている隣のおばさんが「あんた、どこ行くの?」「ナイロビだよ。」「あらそう、私、ナイロビから来たのよ。」
そのとき、初めて、この便が、ナイロビ→ハラレ(ジンバブエ)→ルサカ(ザンビア)→ナイロビと三角に飛ぶことが分かりました。
なるほど、そういうルートだと、いろんな国を結ぶには便利ではあります。

実は、このケニア行きの時、オーバーブッキングというオマケまで付いていました。
ケニアからの帰り、ナイロビの空港に行くと、ロビーは超満員。チェックインのカウンターがなかなか進まないので、やきもきしてると、前の方で、ハラレがど うのという声がする。なんと、オーバーブッキング(席の数以上にお客の予約を受け付けてしまった)で、航空券があっても今日は乗れませんという。
エッー、ホンマかいな。
ということで、乗りそこねた20人程が、ロビーの一角に集められて、がっくり。白人のお姉さんが、係員に怒鳴り散らしている声が響き渡って……。

ケニアにて(村の学校)
ケニアにて(村の学校)

ところが、ケニア航空は慣れたもんで(?)、
「皆さんにUS$300払います。市内のホテルに食事付きで、タダで泊まってもらいます。ホテルまでの送迎バスは、手配中です。もう少しお待ち下さい。ハ イ、支払い窓口はこちら。」
で、10分もしないうちに、手元にUS$300の現金が。一同納得。なかなか、うまいもんだ。US$300というと、実は、ナイロビ―ハラレの片道切符代 に相当するんです。
バスは1時間程待ったものの、ホテルは、ナイロビ一番のヒルトン。アルコールは自分持ちですが、食事はまあまあ。ただし、土曜日で、商店は午後休みで、買 い物とかは出来ないし、ホテルの周りは、治安が悪そうで、夜は出歩けない。けど、まあいいか。

アフリカは、どこの国でも、首都の中心というのは、スリや強盗(白昼!)とかが多く、安全とはいい難い(ジンバブエのハラレも)。で、日本人を含む外国人 は、郊外に住んで、買い物も郊外のスーパーで済まして、滅多に中心部には出ないという生活様式になっています。当然、車がないと生活できない。不便といえ ば、不便。車は日本車の中古が多いけど、故障すると、部品がなく修理が大変。ガソリンの調達も面倒くさいし。

ネパールにて(カトマンズの野菜売り)
ネパールにて(カトマンズの野菜売り)

で、次の日、私は、無事、ハラレ行きの飛行機に乗れました。しかし、ケニア航空の三角飛びというのは、毎日、同じルートではなく、モザンビークのマプト (首都)やコンゴのルブンバシ(南西部の町)に寄るというように、曜日によって寄港地が変ります。当然、行き先によっては、オーバーブッキングのおかげ (?)で、ナイロビで2泊3泊した人もいたはずですが、どないなったんでしょうね。

アフリカでは、オーバーブッキングの他に、航空会社に預けた荷物が到着地で出てこないという話も良く聞きます。困っちゃいますよね。荷物は減らして、機内 持ち込み1つにしましょう、と、まるでひとごとのよう。
とかいっても、一時帰国の後、日本から任地に戻る時は、日本食満載のスーツケースがあるんですが。

北野に感謝(体育編)

アフリカの大地を緑に~ジャカランタの花咲くジンバブエから【第10話】

ジンバブエ南部の村にて(今日はパーティー)
ジンバブエ南部の村にて
(今日はパーティー)

海外では、健康も大切ですよ。だって、風邪ひいたって、注射針を使い回しするような田舎の国では、エイズが心配です。健康管理・体力維持は自分の責任なん ですよ。当たり前ですが。

ここで、感謝しないといけないのが、北野の体育です。
ちょっと、話が変わるんですが、同窓諸兄が社会に出て「なに、あんた北野か。ガリ勉やってたんやろ。」と白眼視されたことありませんか。私も、実は、そう いう経験があります。ここジンバブエでも。
その時の反論!「北野は勉強だけやおまへんで。1年の1学期には、縄跳び2重跳び、前100回、後ろ20回。水泳は2年の時に、バタ、平、クロール、バッ クを最低25mで、合計1000m。冬は淀川の堤防を10km走。」断郊は、手塚治虫の岩波新書『ぼくのマンガ人生』にも出てますよ。
ここまで言えば、「フーン、北野なあ。そんなんか。」と見方が変わります、大抵は(半分ぐらいかな)。
私の娘も、「お父さんの高校って、変わってる。」と敬遠されてしまいましたがね。

エジプト西部の砂漠にて(ラクダのキャラバン)
エジプト西部の砂漠にて
(ラクダのキャラバン)

で、海外で(いや国内でも)、健康維持しようと思うと、あの頃を思い出して、この3つの中から選択するというのはどうですか。私の場合は、カイロとカトマ ンズでは水泳で、ジンバブエでは縄跳びです。
カイロは50mプールのあるスポーツクラブがあって、週に1回は通ってました。水はナイルの水ですが、ちゃんと浄水してありましたよ。更衣室は、ドアが閉 まらないし、ちょっと臭いがしたけど、門番のニイチャンにチップをはずめば、ちゃんと荷物を見ててくれました。
カトマンズのプールは25mで娘と一緒に。ただし、水は自家浄水(スポーツクラブが自前で塩素消毒)。
ジンバブエは、ちょっと街歩きできる雰囲気ではないので、家で縄跳びです。だいたい毎日30分。
海外ではありませんが、フルマラソンに挑戦したこともあります。時間は4時間以上かかりましたが、断郊に感謝しなくてはなりません。家内や娘にも、尊敬し てもらえたし!?!?

ネパールにて(アンナプルナ山中の麦畑)
ネパールにて
(アンナプルナ山中の麦畑)

大抵、海外でやるスポーツというと、ゴルフと相場が決まってる雰囲気があります。
海外勤務でゴルフ。これって、やっぱり怪しいと思われますよね。ジンバブエの私の職場の向かいが英国の統治時代から100年以上の歴史があるゴルフ場で、 平日朝から、白人や地元の方がゴルフやってます。きっと、ジンバブエにはプロのゴルファーが多いのでしょう。うそです。
なんや海外まで来て、ゴルフしか選択肢がないんかいな。けど、北野の卒業生は、違いますよね。

北野でのスポーツ(体育の授業を含め)の経験は、自信とか経験とか基礎体力だけやないものがあると思います。水泳、縄跳びに断郊。なんかやってみようかと 思うキッカケも、北野に感謝しなくてはなりません。そして、スポーツ用品店をちょっとのぞいてみようか、という雰囲気にさせるものがありました。
今は、高いものしか置いてませんが、淀屋橋の美津濃が北野生の行動範囲内にあったのも一因かも。
けど、マラソンシューズ1足2万円もするんです。よし、買った。それで、あの十三の淀川堤を思い出し、パートナーや娘・息子に、格好いいとこ見せるで、と いう気分になりませんか。
おなかも減っこんで、スタイルよくなりますよ。
この歳になると、怪我とかがありますからね、道具選びは大切です。では、足元注意で。

朝日新聞大阪版をアフリカで

アフリカの大地を緑に~ジャカランタの花咲くジンバブエから【第9話】

中国新疆ウイグル自治区にて(国境まで30kmの町、カザフ族のお姉さん)
中国新疆ウイグル自治区にて
(国境まで30kmの町、カザフ族のお姉さん)

海外での日本の情報は、これだけITが進んでも、なかなか手に入りません。日本国内でも、新聞は読まず、ネットやテレビで十分と、お思いの向きもあるで しょう。その辺が、欧米諸国やタイ、フィリピン、インドネシアとかと、アフリカの片田舎の違うところなんです。

ジンバブエにもプロバイダーはありますよ。けど、首都ハラレだけ。それも、ダイヤルアップしかないので、当然、24時間接続という訳には行きません。それ に、通信回線の容量があるのか、1MBのダウンロードに5分以上かかります。朝日新聞のWEB版は、最初のページが特に重く、7~8分ぐらいかかります。 動画なんて、明日の朝までかかりそうですよね。
このハラレのプロバイダー屋さん、雨期になり、雷が鳴り出すと、誘電を恐れて、回線を切っちゃうという、非常に優秀な技術力をお持ちです。ですから、雨期 は天気を見ながら、ネットの作業をせねばなりません。あと、突然、雷でもないのに、ブチッと切れちゃう。そのたびに、接続のやり直し。

エジプト・ナイルデルタにて(こぼれる笑顔もナイルの賜物)
エジプト・ナイルデルタにて
(こぼれる笑顔もナイルの賜物)

けど、ネット経由の情報って、早いのは評価するとして、表面的ですよね。そこで、私は、朝日新聞の大阪版を日本から送ってもらっています。大体、発行日の 5日遅れで手元に届きます。海外新聞普及株式会社(Overseas Courier Service)という日本の会社が送ってくれます。頼めば、地方紙や週刊誌とかも頼めます。新聞をジンバブエに送ってもらうと、お値段は、1ヶ月で2万 円を越えます。そんな価値があるのかなと思うでしょ。きっぱり、「ある」ということです。
届いたら、どこ見ると思います。まず、紙面の下の雑誌の広告欄です。日本におれば、どこからともなく聞こえてくるゴシップネタ、これが、ネットではよく分 かりません(そういうサイトもあるんでしょうけど)。
あと、文芸欄に街の話題、マンガ。もちろん、3面記事はしっかり読みますよ。マンガといえば、朝日新聞に連載中の“いしいひさいち”は、30年前のデ ビュー以来、ずーっとファンです。“いしいひさいち”のマンガ、吹田とか豊津とか下新庄とかは出てくるのに、十三は出てこない。十三はマンガには向かない のかいな、と思ってしまいます。

ネパール・ヒマラヤ山中にて(こんなところと思うような山中にも麦畑が広がる)
ネパール・ヒマラヤ山中にて
(こんなところと思うような山中にも麦畑が広がる)

情報といえば、当地でも衛星放送を見ることが出来ます(受信会社から有線で配信を受ける)。衛星放送ですから、BBCとかCNNはもちろん、在住外国人の 数を反映して、中国、ギリシャ、イタリア、ドイツ、ポルトガル、アラブと大変多彩ですが、日本語はありません。NHKテレビの国際放送は、専用のアンテナ とチューナーが必要で、費用もかかることから、当地では縁はありません。
NHKテレビ見たくないかというと、そりゃ、YESですが、費用対効果を考えると、新聞の方がいいかな。それに、やっぱり、大阪の情報が欲しいですよ。大 阪で暮らしている家族との話のネタも要りますしね。どんなに離れていても、故郷の山河は忘れられません。
「淀川の深き流れに、六甲の雲射る峰」
それを思い起こさせてくれるものが、私の場合は、朝日新聞の大阪版ということです。
月2万円は安いもの。おっと、大見得を切ってしまった。

命の次に大切なもの

アフリカの大地を緑に~ジャカランタの花咲くジンバブエから【第8話】

エジプト中部にて(水田の中を野良帰りの家族が行き過ぎる)
エジプト中部にて
(水田の中を野良帰りの家族が行き過ぎる)

海外で仕事する場合、1番大切な物って、分かりますか。
それって、「家族」ですよ、私の場合はね。
「元気で帰ってきてね」と送り出してくれた家族の支えや励ましがあるからこそ、海外でも、それなりに仕事ができます。たぶん、家族の支えは、日本国内でも 同じじゃないかな。
信念とか、技術力とか、英語とか、異文化理解能力とかという偉そうなことは言いません。こういう物は、あとからついてきます。ということにしておきましょ う。

家族の次はなにかな。
「命」ということでしょうか。
湾岸戦争の頃ですが、ツタンカーメンの黄金のマスクが置いてあるカイロ博物館の前でドイツ人のグループが襲撃されたことがあります。日本では報道されませ んでしたが、当時、エジプトにいた私は、これはエライことになったと思いました。だって、カイロ最高の観光地ですよ。日本からお客さんがくれば、案内せ にゃならんし。
で、方法は、「群れない」ということです。襲撃者は、危険を犯してやってくる訳ですから、効率良く成果を挙げるため、観光客の密度の濃い部分を襲うはずだ ろう。ということは、グループとか、入り口で並んでいる時が一番あぶない。そういうのをやり過ごしてから、ゆっくり行けば良い。
まあ、そうはうまく行かないのですが。

仏様航空で遊覧飛行~エベレストとブッタエア機(ネパールのポスターから)
仏様航空で遊覧飛行~エベレストとブッタエア機
(ネパールのポスターから)

次は、何でしょう。諸説ありますが、私は「パスポート」を挙げたい。
例えば、交通事故で、半死状態になったとしましょう。運よく群集が集まって来た、その時にパスポートを渡して、「police」と叫ぶことができたら、少 なくとも、日本人が交通事故に会ったという事態は、警察には通報されるでしょう。その後、病院に担ぎ込まれるかどうかは、「インシャラー」(アラビア語で 「神の望むままに」)。
パスポートがないと、身ぐるみ剥がされて、そのまま……。かな。

ジンバブエ中部にて(「なにか買って!」~家族のため今日もガンバルお母さん)
ジンバブエ中部にて(「なにか買って!」~家族のため今日もガンバルお母さん)

次は「米ドル現金」
さあ、事態極まって、国外脱出というとき、空港まで何とか、たどりついたとしましょう。パスポートがないと出国できませんよ(国家機能が維持されていると して)。あとは、弱肉強食(the law of the jungle)の世界でしょう。最後の脱出便に、あと1席しか残っていない時、米ドル現金の御威光は燦然と輝くかも知れません。
私は、今回のジンバブエ行きに際し、米ドルの100ドル札を連番で3万ドル分持ってきました。なんで、連番かって?“スーパーK”とか“スーパーノート” とかいう100ドル札の偽札の話を聞いたことありませんか。連番ということは、偽札ではないという証明になるんです。
実は、この“スーパーK”の本物の偽札(変な日本語ですが)を見たことがあります。持っておられた方は「US$40で買わないかと」持ちかけてきました。 思わず、買おうかと、食指が動きましたが、これって犯罪ですよね。
路頭に迷う「家族」のことを想像し、断念しました。

Pages: Prev 1 2 3 Next