【第185回】5月「認知症を知り、予防をしよう」

Ⅰ.日時 2018年5月17日(木)11時30分~14時
Ⅱ.場所 The BAGUS PLACE
Ⅲ.出席者数 66名
Ⅳ.講師 森 惟明さん@65期 (高知大学名誉教授)

大阪府立北野高校を経て、1961年京都大学医学部卒。大阪北野病院でインタ−ン修了。
1961年アメリカ合衆国臨床医学留学のためのECFMG試験合格。
1967年京都大学大学院修了(脳神経外科学)医学博士。
1968年日本脳神経外科学会認定医。
1969年京都大学脳神経外科助手。
1971年シカゴノースウエスタン大学脳神経外科レジデント。
1975年京都大学脳神経外科講師。
1979年京都大学脳神経外科助教授。
1981年新高知医科大学(現高知大学医学部)脳神経外科初代教授。
1992〜1999年厚生省特定疾患難治性水頭症調査研究班班長。
1992年第2回高知出版学術賞受賞。
1996〜2000年高知県医師会理事。
1999〜2001年国際小児神経外科学会倫理委員会委員長。
2000〜2001国際小児神経外科機関誌「Child’s Nervous System」編集委員。
2000年高知大学名誉教授。
著書多数。
最近の著書:『PT・OTのための脳画像のみかたと神経所見(第2版)』(医学書院)2010(共著)
幸福脳を育てる9つの力』(日東書院本社)、2011(単著)
中高年に多い25の病気を見逃さないための健康評価ハンドブック』(日東書院本社)、2012(単著)
ボケないための幸福脳のつくり方』(東京図書出版)、2013(単著)
『ガンマナイフ治療最新情報』(飛鳥出版室)、2013(共著)
小さな心がけでできる 一生寝たきりにならない体と心の健康法』(幻冬舎ルネッサンス)、2913(単著)
考え方ひとつで、自分と未来は変えられる 幸福脳の育て方』(幻冬舎ルネッサンス)、2014(単著)
認知症がぐんぐん改善する!8つの法則』(日東書院本社)2015(総合監修)
『幸せになる魔法のことば』2015(私家本、単著)
森 惟明:Dr.モリの転ばぬ先の杖〜現代養生訓〜』高知新聞総合印刷、2016(単著)
脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法』幻冬舎ルネッサンス、2016(共著)
認知症に負けないために 知っておきたい、予防と治療法』幻冬舎ルネッサンス、2016(共著)
ロコモに負けないために 知っておきたい、予防と治療法』幻冬舎ルネッサンス、2016(共著)
活力低下を感じていませんか? 知っておきたい高齢者のフレイル』幻冬舎ルネッサンス、2016(共著)
サクセスフルエイジングへと導く50の答え』幻冬舎ルネッサンス、2017(共著)
Ⅴ.演題 「認知症を知り、予防をしよう」
Ⅵ.事前宣伝 「認知症は、潜伏期間が長く高齢期に発症する慢性病で、今世紀最大の難治性疾患です。講演では、次の事項につきお話しさせて頂きます。

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・認知症とは

・認知症はどのようにして起こるのか

・認知症をどのようにして診断するのか

・MCI(Mild Cognitive Impairment;軽度認知機能障害)とは

・認知症の予防法をどのようにして見つけるのか

・認知症をどのようにして予防するのか

・認知症を発症したら、どのように治療するのか

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講演に先立ち、貴方の認知症に対する認知度を〇Xクイズでチェックして下さい。回答は講演の最後にお示し致します。

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◆ウォーキングは認知症の予防になる。 〇 ・ X

◆認知症は遺伝する。 〇 ・ X

◆糖尿病だと認知症になりやすい。 〇 ・ X

◆虫歯だと認知症になりやすい。 〇 ・ X

◆料理は認知症の予防になる。 〇 ・ X

◆血圧が高いと認知症になりやすい。 〇 ・ X

◆魚と果物をよく食べると認知症になりにくい。 〇 ・ X

◆鬱の人は認知症になりやすい。 〇 ・ X

◆頭をよく打つと認知症になりやすい。 〇 ・ X

◆人とよく付き合いをしている人は認知症になりにくい。 〇 ・ X

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Ⅶ.講演概要 出席者には約10頁の詳しい講演資料が配布されたので、今回はその中の主要項目を抜粋して講演録を書くことと致したい。++-++-++-++-++

講演の主要テーマ:

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認知症とは:人間の抜け殻、潜伏期間の長い慢性病、今世紀最大の難治性疾患

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認知症は認知機能の障害:認知機能とは、記憶の障害のほか、判断計算・理解・学習・思考・言語などを含む脳の高次機能の障害

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認知症とは、どういう病気か:脳の神経細胞が死んだり働きが悪くなったりすることで、物忘れや妄想、徘徊などの症状が出て日常生活に支障がある状態
・認知症を来す疾患:イ)変性性認知症(アルツハイマー病など) ロ)血管性認知症(脳血管障害を原因とする認知症) ハ)脳の器質的疾患(慢性硬膜下血種、正常圧水頭症、脳腫瘍など)
・認知症はどのようにして起こるのか:アミロイド仮説が有力
・認知症をどのようにして診断するのか:認知症の診断:症状→認知機能検査→脳画像検査
HDS-R(改定長谷川式簡易知能評価スケール)で、30点満点で20点以下
MMSE(ミニメンタルステート検査)で30点満点で22点から26点で軽度認知症の疑いが出て来る
CTまたはMRIで正常圧水頭症、慢性硬膜下血種、脳腫瘍による「治せる可能性のある認知症」を見逃さない
軽度認知機能障害(Mild Cognitive Impairment)とは?
認知症の予備軍(潜在的な認知症)
健常者と認知症の人の中間段階のグレーゾーン(正常ではないが認知症でもない状態)
MCIはなぜ重要視されるのか? MCIと診断された人のうち、1年以内に10~15%が認知症に進行する。5年で約半数が認知症に進む。但し、全ての人が認知症に移行するわけではない!
MCIの段階で見つけることで、認知症に進むのを遅らせたり、認知症になるのを防げたりする可能性がある

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認知症の予防法をどのようにして見つけるのか?
認知症予防法の開発:大規模追跡調査と動物、試験管実験による危険因子の解明、予防因子の解明

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認知症の疫学調査とは?
イ)「後ろ向きの調査」→因果関係については分からない
ロ)「前向きの調査」(リスクファクター研究)→どのような人がなり、どのような人がならないかを大規模追跡調査結果から分析する

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Aging with Grace by David Snowdon, Ph.D. 「100才の美しい脳」
「ナン・スタディ」が教えてくれたこと:
イ)アルツハイマー病解明に手をさしのべた678人の修道女たちの献脳が高齢での生き方に示唆に富んだ知見を示した
ロ)若年期の過ごし方が老年期のアルツハイマー病の発症を遅らせる
ハ)最後まで充実した人生を歩むことの大切さ

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認知症をどのようにして予防するのか?
イ)ぎんさんの脳剖検所見が教えてくれたこと:
・アルツハイマー病で見られる老人斑が多くみつかった
・魚とお茶を好んで摂っていた
・魚にはコレステロールを減らし脳の炎症を抑えるドコサヘキサエン酸が、お茶には活性酸素消去する働きを持つカテキンが含まれている
・テレビ出演など社会活動のほかに、足腰をきたえる目的で、毎日30分の散歩を日課にしていた
ロ)危険因子を減らそう:発症に係わる危険因子は少・青年期から起こっている→若い時から、「修正可能な危険因子」を減らそう

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認知機能を高いレベルに維持する生活習慣:
イ)血管の老化を防ぐ(血圧のコントロール)
ロ)正しい食生活(減塩、減脂肪、禁煙、節酒)
ハ)適度な運動
二)いきいきとした、リズムのある生活
ホ)体調を崩さない(十分な休養、転倒しない、頭を打たない)
へ)頭を使う(考えをまとめて表現する)
ト)趣味と好奇心を持つライフスタイル

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知の貯蓄(認知予備能力):良く頭を使って認知的予備力を高めておくと認知症の出るのが遅くなる

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脳を守るための10の方法(アメリカ・アルツハイマー病協会提唱)
イ)頭が第一 ロ)脳の健康は心臓から ハ)自分の検査値を知ろう
二)脳に栄養を ホ)体を動かす へ)心のジョギングを
ト)他の人とのつながりを チ)頭の怪我をしない リ)健康な習慣を
ヌ)前向きに考えよう

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認知症の35%は「9つの危険因子に対する対策」で予防可能
<青年期(15歳以降)>イ)教育を受けていない
<中年期(45才~65歳未満)>ロ)聴力低下 ハ)高血圧 二)肥満
<高齢期(65歳以上)>ホ)喫煙 へ)抑うつ ト)運動不足 チ)社会的孤立 リ)糖尿病

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認知症予防対策の決め手:An active life makes a better brain!気力を持って、体を動かそう

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身体機能と知的機能: <<心身一如>>
・「知的機能」が高いと、「身体機能」を維持できる確率が高い
・「身体機能」が高いと、「知的機能」を維持できる確率が高い

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認知症の一般常識に関するクイズの回答:
・ウオーキングは認知症の予防になる         〇
・認知症は遺伝する                 X
・糖尿病だと認知症になりやすい           〇
・虫歯だと認知症になりやすい            〇
・料理は認知症の予防になる             〇
・血圧が高いと認知症になりやすい          〇
・魚と果物をよく食べると認知症になりにくい     〇
・鬱の人は認知症になりやすい            〇
・頭をよく打つと認知症になりやすい         〇
・人とよく付き合いをしている人は認知症になりにくい 〇

Ⅷ.資料 A4-5月資料(3.9MB)