市議会議員選挙に投票した思い出(その3)【第14回】

2022年10月9日

前回から続く)

さて、市議会議員選挙に投票した話です。前々回の投稿では2014年3月と書きましたが、改めて記録を調べてみると、ワタシがアルクマール市議会の選挙に実際に投票したのは2014年11月でした。オランダの市議会選挙は基本的には解散などはないようで任期は4年、原則すべての市町村が全国一斉に4年ごとの3月に実施されるのですが、前後4年間の1月1日に市町村合併実施のある自治体では、その前の11月に合併後の自治体での議会議員選挙があります。市町村のことを行政学用語では「基礎自治体」といいますが、アルクマールは2015年1月1日に東隣の二つの基礎自治体を吸収合併したので2014年3月の全国一斉選挙を飛ばして例外的に11月に選挙をすることになったのです。

 

ちなみにオランダの基礎自治体の合併は各地でジワジワ進んでいて、1950年には全国で1000以上あった自治体数が、2000年には500強、2022年現在で344まで減っています。ただ、合併して住んでいる場所の自治体名が変わっても、住所表記は旧自治体名がそのまま残るので、自治体名が変わるほとんどの住民にとっては、市役所の場所が変わる以外には大きな影響がありません。

 

実際、私の職場のあったペッテン(Petten)は、1929年に隣町のザイペ(Zijpe)という自治体に吸収合併され、私が在籍中の2013年にそのザイペもスハーヘン(Schagen)に吸収合併されましたが、住所表記は一貫してペッテンのままで、ザイペやスハーヘンに勤務先があるという感覚は全くありませんでした。合併があっても住所表記が変わらないのが、オランダでは大きく揉めることなく合併が進む要因の一つのような気がします。市議会議員の任期にしても、合併前後は満4年より少し長かったり短かったりしますが、その辺りの厳密さにこだわらないのもオランダらしく思えます。

 

さて、今度こそ(笑)選挙の話です。2014年11月中旬に投函された郵便物に、「STEMPAS=投票券」が入っていました。いわく:

送られてきた投票券。投票所の情報などが書かれた手紙が同封されていたようですが、記録せずに捨ててしまいました。(住所や番号情報などは加工しています)

市議会議員選挙投票券   アルクマール市

Yuji Komatsu  住所xx 1966年5月xx日生まれ 男

  • 2014年11月19日水曜日 07:30 – 21:00
  • 市内の全ての投票所で投票可能
  • あなたの最寄りの投票所:Vrijheid教会、住所xxx
  • 他の投票所は同封の手紙か市のウェブサイト参照

投票時の持参物

  • この投票券
  • パスポート・IDカード・運転免許証(オランダまたはEU各国発行で有効のもの、あるいは失効していても5年以内のもの)・滞在許可証、のいずれか

注意!

  • この投票券はこの住所の住民のみ有効です。本券に記された住所氏名の本人にのみ投票を許可するもので、本券の誤用は法により罰せられます。

 

投票券を受け取ってから慌てて思い立って撮影した選挙ポスター掲示板

外国人の自分は日本の在外投票以外は選挙に縁のないものと思っていましたが、オランダで初めて投票券を受け取り、自分に選挙権があることを認識しました。そういえばいくつかの目立つスポットに政党のポスターがベタベタと貼ってあったなあと思い立ち、慌てて撮ったのが右の写真です。この写真の何日前から貼りだされていたのか覚えていませんが、オランダの11月は雨の日が多く風も強いので、どれもシワシワなうえ中には半分剝がれてしまったのもあります。また、A4サイズくらいの同じデザインの紙がそれぞれのポスターに重ねて貼ってあったりして「エエんかいな」と思ってしまうんですが、そんなのが許容されてしまうのもオランダ的寛容さなんでしょう。

 

政策や党名・名前を連呼する選挙カーのようなものはついぞ見かけませんでしたが、とりあえず自分なりにウェブサイトで候補政党を見てみたり、Q&Aに30くらい答えると自分に合った政党をアドバイスしてくれるサイトなんかを試したりして、投票する政党選びをして、選挙の日を迎えました。

 

次回に続きます。

 

2022年10月9日
川崎市にて
小松雄爾