市議会議員選挙に投票した思い出(その1)【第12回】

2022年7月3日

大変ご無沙汰してしまっており、関係者や読者のみなさまには恐縮至極の次第です。

日本で職を得て7年ですが、ゴールデンウイークと年末年始は、今も自宅のあるオランダに“帰省”しております。ただ、コロナ禍の2020年以降、ゴールデンウイークのオランダ行きは断念しました。六稜Web管理担当の方からは「コロナ禍での渡航経験の寄稿を」と依頼を受けているのですが、依頼を受けた直後の2022年1月の帰国便でコロナ感染してしまったこともあり、これについてはまた追い追い寄稿させていただこうと思います。

今回は、日本の選挙の風景を見聞きして思い出した、オランダの選挙での経験を書きたいと思います。

 

オランダでは、外国人であっても5年以上住み続けておれば、居住する市町村議会の議員と、“水管理評議会(waterschap)”議員選挙の投票権があります。市町村の上位団体である州(province、日本の都府県とほぼ同規模)議会と国政選挙には投票権がありません。

アルクマールがある地域の水管理評議会のロゴマーク。地域の地図にオランダ王家の象徴ライオンがかたどられていてカッコいい

 

水管理評議会(waterschap)というのはオランダ本土で21団体ある、治水や排水管理の観点から区画分けされた行政団体で、数としては12ある州より多く約350ある市町村より少ないのですが、その区画は複数の州にまたがっていることも多く、州や市町村から独立していて、税金も国税や地方税とは別系統で徴収されます。水管理評議会の役割は、住民から集めた水管理税を適正に使用することや、治水政策の優先順位などを審議する議会である、とご理解ください。

ワタシが投票に参加できたのは、2014年3月の市議会選挙と2015年3月の水管理評議会議員選挙でした。水管理評議会議員選挙は、ワタシが投票できない州議会議員選挙と同じ日に実施して、その地味な存在のせいで低くなりがちな投票率を下支えしています。

ここまで読んでこられた読者の皆さんは一つの疑問を抱かれたかもしれません。「あれ?市長選挙は?」そうなんです。オランダには市長選挙はありません。そして、州知事選挙もなければ、国王が元首なので大統領選挙もありません。

 

次回に続きます)

2022年7月3日
川崎市にて
小松雄爾