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2009年のバックナンバー

午後の紅茶はダージリン~杏の英国修行日記【第22話】


大雪

『ありえへんくらいの雪やで。いや、ありえへんっていうほどでもないねんけどね。別にドアが雪に埋まってもうて、窓から出なあかんーとかいうこともない し。
いやいや、北海道とかに比べたら全然たいしたことないねんで。でも何か、ロンドン18年振りの大雪!とからしいねん。授業とか、先生来られへんで全部休み になるしな、電車も動いてへんみたいやしな。もう外ありえへんくらい白いねん。
でもやっぱり雪降ったら、人間やることは万国共通やねんな、もうあっちこっちにウザいくらい雪だるまできてんねん。ってか大体、みんなちょっと雪降ったく らいで騒ぎすぎやねん。昨日なんて夜中の3時とかまで、外で「雪やー!」ってはしゃいでんねんで?もうええかげんうるさいっちゅーねん。
・・・・ってうわ、また降ってるし!外めっちゃ白いし!ってか寒っ!!』

というのが、2月1日の、私と、日本にいる彼氏との会話オン・ザ・フォンでした。

新聞などで知ってらっしゃる方も多いでしょうが、ロンドンはこの冬、実に18年ぶりの大雪を経験しました。
これを書いている2月8日現在は、雪もほとんど融けています。
明日、学校に行くバスの中からは、きっと「かつて雪だるまと呼ばれたもの」が、あちこちで見られることでしょう。

雪の写真 雪の写真
▲雪の写真
「雪景色というのは、上から撮ってもどれだけ積もっているか全く分からない」
というとても大事なことを学びました。
しかしホント、北国みたいな景色ですね。いや北国行ったことないけど。

冒頭の会話(というか一方的に私が喋っていただけですが)にも出てきたように、道路が凍り、電車もストップしたために、ほとんどの先生方が大学まで来られ ず、授業は休講になりました。
そして学生のはしゃぐことはしゃぐこと。「君ら、本当に大学生か?」と問いたくなるほどの、はっちゃけぶりでした。
一番印象的だったのは、ロシアやカザフスタンからの留学生までもが楽しそうに遊んでいたことです。
母国で散々見ているだろうに何を今更、と私などは思うのですが、ひょっとすると、もう条件反射的に「雪=とにかく遊べ!」と、遺伝子に刷り込まれているの かもしれません。

さて2月といえば、恋人達にとっての一大イベント、バレンタインデーがありますね。
イギリスは、日本ほどバレンタイン商戦が盛んではないものの、店先にはチョコレートやぬいぐるみが並び、ショーウィンドウはハートで飾り付けられていま す。
しかし、遠距離恋愛中のカップルには関係のない話・・・・と、諦めているだろうね?私の彼氏君。
ふっふっふ、チョコレートをあげられない代わりに、ワールドワイドウェブで愛の告白をしようではないか!

『大学忙しいのに、いつも電話してくれて、ありがとね。
生意気な事、我が儘な事、沢山言ってごめん。優しい所、面白い所、しっかりしてる所、話を聞いてくれる所、私のボケに突っ込んでくれる所、全部好きだよ。
これからもよろしくね』

さて、超私信である上に、「バカップル?そんな言葉じゃ足りねぇな!」ってくらいの甘々な最後で、読者の皆様には失礼いたしました。どうか、大きなお心で もってお見逃し下されば幸いです。

それでは、また来月。次のコラムがアップされる頃には、もう少し暖かくなっているといいですね。

午後の紅茶はダージリン~杏の英国修行日記【第21話】


ミカド

新しい年になりました。個人的に、2009は何とも座りの悪い数字のような気がするのですが、去年も2008について同じ事を思ったような気がします。
この前まで、たとえば映画の製作年が2000年以降だったりすると、「お、最近のやつだな」と思っていたのですが、よく考えてみると、10年近く前だった りするのですよね。
2000年からこっち、私はずっと学生ですが、何をしてきたかと振り返ると、大したことも思い当たりません。
今年は、例えば60年後、おばあさんになっても、「2009年の私は頑張った」と思えるような年にしたいと思います。
と、60人の鬼を笑わせたところで、そろそろ本題に入ります。

▲Savoy  Opera Society(略してSOS)のロゴ
▲Savoy Opera Society
(略してSOS)のロゴ

二年生になってから、Savoy Opera Societyというサークルに、リハーサルピアニストとして参加しています。
年に二回、発表があり、秋学期は「The Mikado」という、イギリス人の作詞・作曲家コンビGilbert & Sullivanによるオペラを上演しました。

タイトルからも分かる通り、日本を扱ったオペラです。
しかし、内容は「特に日本じゃなくてもいいんじゃないの?」という感じ。
Titipuという町に現れた流れ者が、お偉いさんの婚約者に求婚するところから話は始まり、賄賂を公然と要求する政治家や、死刑が大好きな帝が絡んで、 どたばたの喜劇を演じます。
ここからはWikipediaからの引用になりますが、このオペラが作曲された当時、イギリスでは空前の日本ブームが巻き起こっていたそうです。
また、社会風刺色の強い作品であるため、舞台を日本に設定することで、イギリス政府の追及を逃れた、という背景があったようです。

宣伝用に作ったパーカー 宣伝用に作ったパーカー
▲宣伝用に作ったパーカー。
私の大学では、ほぼ全ての公演で、このようなパーカーやTシャツが作られます。
後ろには公演の詳細、前には自分の名前と役職が入っています。

本番は四日間にわたって行われたのですが、毎日ほぼ満席で、客席からの反応も、とても良いものでした。
この公演を通じて、色々な人達と知り合うことができ、また、ピアニストとして、とても良い経験を得ることができました。

現在、Savoy Opera Societyは、今学期の公演「Die Fledermaus(こうもり)」に向けて練習中です。
私は最初、この名前が全く覚えられず、「ほら、ディープリーみたいな」「ディエ何とか」「ダースベーダー的な何か」と、馬鹿まる出しの発言を繰り返してい ました。(正しい発音は、カタカナで書くと「ディフレイダマス」と、レを強調した感じになります。さらっと言ったほうが、使い慣れてる人っぽく聞こえま す。)
一応、「The Bat」という英訳もあるのですが、一般的には原題が用いられているようです。
でも皆いまいち覚えきれていないらしく、時々つづり違いを見かけたりします。

来月は・・・・と予告しかけて、あわてて止めました。経験とは学ぶためにあるのです。
のんびり、楽しみにして下されば幸いです。

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