第42回  「クリエーターはいかが?」  宇津木紀子さん@91期

reporter:峯 和男(65期)

    日時: 2006年6月21日(水)11時30分~14時
    場所: 銀座ライオン7丁目店6階
    出席者: 41名(内65会会員:大隅、正林、峯)
    講師: 宇津木紀子氏(91期)
    演題: 「クリエーターはいかが?」
    講師紹介: 絵本作家&ヒーリングフードクリエーター。
    詳細は、下記講演内容の(1)自己紹介参照。
    【著書】美原紀華のペンネームで絵本作家としての著書:
    『ずっと、らりるるれれ~花になったかまきり』
    (マーシャ・サリエ絵、渡辺 謙朗読CD付~芳賀書店)
    『きみにありがとう~零下40度のシベリア捕虜収容所で交わした約束』
    (永井泰子絵~グラフ社)
    一成紀華のペンネームでヒーリングフードクリエーターとしての著書:
    『マクロビオティックでいつものおかず&デザート』
    (肉を使わない肉料理、砂糖、卵、牛乳を使わないデザート~2006年6月グラフ社)
    講演内容:
    (要点のみ)
    (1)自己紹介
    大阪・豊中市の食い道楽の家に生まれる。その後千里へ引越。北野高校へ越境入学しバスケットボール部へ入った。高校卒業後米国ユタ州立大学へ留学、3年で 卒業後上智大学外国語学部比較文化学科に入学、同じく3年で卒業。日本企業の会長・社長秘書を務めた後、ユナイテッド航空の機内通訳を務めた。結婚後再渡 米、ペンシルバニア大学大学院教育学部に入学、児童教育学、心理学専攻。在学中に心と食の関係に興味を持ち料理学校にも通った。2005年クシ・マクロビ オティックアカデミー・クッキングコースを卒業。

    (2)クリエーターとは
    材料を調達し、ものづくりをする人。ものづくりに必要なものは、想像力・情熱・アンテナであり、気配りや思いやりも想像力がなければ出来ない。

    (3)絵本作家になったきっかけ
    「ずっと、らりるるれれ」を書こうと思ったきっかけは、ペンシルバニアに住んでいた頃、成田からニューヨークへ向かうJALの機内誌に掲載されていた「昆 虫の擬態」という海野和男氏の本からの抜粋の花カマキリや木の葉カマキリを見て神の技に感動したこと。花カマキリは花の色と同色になる(注:映像により例 示)。米国では娘のために自分で絵本を何十冊もつくり読み聞かせた。「きみにありがとう」の場合は知人から素材が提供され、いろいろご指導頂いた。きっか けは思わぬところからある日突然やってくる。しかし、運命の女神は一度しか扉をたたいてはくれない。

    (4)絵本の出来るまで
    本を出版する場合、
    (イ)出版社の募集している新人賞等に応募
    (ロ)出版社への持ち込み
    (ハ)自費出版 等がある。
    自分は(ロ)の方法だったがこれは成功の確率は極めて少ない。絵本の文章は無駄のない語彙とリズムが肝要。絵本は声を出して読まれることを前提としているので、形は散文でも韻文なみの凝縮感とリズムが要求される。

    ※絵本になる迄のプロセス
    (イ)原稿(文章)入稿

    (ロ)イラストレーター選定

    (ハ)割り付け

    (ニ)絵描き:全体のラフスケッチ提示

    (ホ)活字の選定とレイアウト

    (へ)タイトル決定

    (ト)表紙&表4(裏表紙)、帯、本体のデザイン

    作家は文章を書く時に自分なりに絵本の絵のイメージが心にある。イラストレーターによる絵のラフスケッチがあがってきた時は、個人的な絵の好き嫌いではな く、まずは技術的な批評のみするように心がけている。例えば、登場人物の年齢、服装などの矛盾がないか否かということの確認。どうしても思い入れがある場 面だけこちらの思いも伝えるようにしている。基本的に、チームワークが大事。

    (5)食の話
    You are what you eat.(あなたはあなたが食べているそのものです)
    これは自分が出会った運命の言葉。父の病をきっかけに、病とはどういうことか? 病とは身体のバランスが崩れて各部分が正確に機能しなくなること。という ことは? と毎日考えていたある日、上記の言葉に出会った。車のエネルギー源がガソリンであるように我々のエネルギー源、細胞を作る素となるのは食物。今 日のお皿の上の一つ一つが明日の我が身なのだということが明確にイメージ出来た瞬間であった。

    (i)マクロビオティックの言葉の意味
    マクロビオティックの語源は、古代ギリシャ語で、マクロビオス(フランス語では、マクロビオティック、英語では、マクロバイオティクス)「健康による長寿 法」「偉大な生命」を意味する。この意味の通り、マクロビオティックとは、単なる健康な食事法だけを意味する言葉ではない。日々健やかに健康に生きていく ための手段・方法であって、その要素が入っている物を総合してマクロビオティックと呼んでいる。

    (ii)マクロビオティックの柱
    一物全体(野菜など、まるまんま、皮も含めて全体を食べる)と身土不二(出来るだけ自分が生まれ育った土地でとれたものを食べる)従来の欧米型食生活が成 人病の増加をもたらしているとの反省から、食事と健康と慢性疾患の関係などについての調査・研究が全世界的な規模で長期間に亘り行なわれ、1977年 5000頁にわたる「アメリカの食事目標(マクガバン・レポート)が発表され、それに基づきアメリカ食事改善目標が打ち出された。同レポートによれば、日 本の伝統食(元禄時代以前)が最も理想的な食事とされている(元禄時代以前は穀物を精白しないで食べていたため)。

    (iii)人間の歯の構成に基づいて食事をする
    門歯:4本x2→野菜・果物など
    臼歯:10本x2→穀物
    犬歯:2本x2→肉・魚
    植物対動物の比率は 7対1。

    (iv)人体の驚異
    心臓は24時間に10万回鼓動し、15万3600キロメートル以上もの血管に一日およそ2万3800リットルの血液を送っている。血液は、24兆の細胞から作られており、毎日全身を3千回から5千回循環している。そして毎秒700万個の新しい血液細胞が創られる。

    (v)たんぱく質神話、牛乳神話
    動物性たんぱく質を大量にとりすぎると、胃腸でアミノ酸にまで完全に分解も吸収もされず、腸内で腐敗をおこして老化を早め、ガンを含めた慢性病の原因にな る沢山の毒素を作り出す。血液の中に入った異種のたんぱく質は、人体のたんぱく質と違って血中に入ってアレルギー反応の原因になる。このたんぱくアレル ギーは牛乳や卵に多くみられる。肉や肉加工品ではカルシュウムに対してリンの比率が圧倒的に高い。血液中では、カルシュウムとリンは量的に1対1、又は1 対2のバランスでとられなくてはならないという鉄則がある。従って肉食に偏っているとリンが多くなりすぎるので骨や歯からカルシュウムを引き出してバラン スをとろうとするのでカルシュウムが減るという結果になる。

    (vi)化学物質
    化学物質の総数は約2800万種もあり、体内に侵入すると皮下脂肪に蓄積され排出は非常に困難。許容限界量を超えるとさまざまな症状(例えばアトピー等) となって表面化する。コーヒーを飲む時に入れているコーヒーフレッシュの主たる原材料は化学物質であり、牛乳は全く使われていない。

    (6)まとめ
    食の大切さは以上のことからも十分ご理解頂けたことと思う。質の良いものを食べる習慣をつけたいもの。
    (イ)有機栽培や自然農法のもの
    (ロ)加工過程の少ないもの
    (ハ)出自が明らかなもの。
    これらを一つの基準にし、これまでの常識=バカの壁にとらわれないことが理想的。

    (7)エンディング
    われわれはみな、それぞれの人生のクリエーターである。情熱と想像力、アンテナを駆使して健やかな身体で、楽しい毎日を創造していって頂きたい。(という内容を、絵本のラストページの形式で映してエンディング)

    (報告者注:講演はパソコン使用により、プロジェクターでスクリーンに映像を写しながら行なわれた)