第14回 「安心した老後のための相続を考える」 北沢一男さん

reporter:峯 和男(65期)

    日時: 2004年2月18日(水)11時30分~14時
    場所: 銀座ライオン7丁目店6階
    出席者: 60名(内65会会員:大隅、太田、梶本、笹本、正林、山根、峯)
    講師: 住友信託銀行プライベートバンキング部
    財務コンサルタント 北沢 一男氏
    演題: 「安心した老後のための相続を考える」
    ~遺言の活用と相続税・生前贈与について~
    講演内容:
    (要点のみ)
    (1)本日の話の内容は主として以下の2点。
    1)財産のスムーズな分割  対策:遺言
    2)遺産の把握、相続税

    (2)現在の平均寿命:男性:78.4歳 女性:85.3歳
    健康寿命:男性:72.3歳 女性:77.7歳
    これらのことから、財産の承継対策は健康なうちに準備することが肝要。

    (3)遺言の活用:
    遺言がなければ法定相続になる。(相続分、遺留分の図示)

    (4)遺産分割の方法:
    遺言による分割、相続人全員の協議・合意による分割、家庭裁判所による遺産の分割

    (5)遺言の活用:
    二つの効果(法律を破る効果、安心効果)

    (6)遺言をしない理由:
    遺言は考えない(遺言するほどの財産が無い等)考えてはいるが(作成方法がわからない等)

    (7)遺言で出来ること:
    相続に関すること、財産処分に関すること(寄付、第三者への遺贈等)、身分に関すること(子の認知等)、遺言執行者の指定・指定の委託(弁護士・信託銀行等、身内も可)遺言執行者は絶大な権限を有する

    (8)必要な人:
    夫婦の間に子供がいない、老後の世話をしてくれる子供に多く相続させたい、世話になっている息子の嫁にも遺産を渡したい、寄付をしたい等々 遺産相続は実行が大変なので、相続手続きをスムーズに済ませるためには遺言執行者の指定が重要

    (9)遺言の形式:
    自筆証書遺言(民法968条)、公正証書遺言(民法969条)

    (10)自筆証書遺言:
    遺言の全文と氏名を全て自署し押印する。家庭裁判所の検認が必要
    長所:誰にも知られずに作成、簡単で費用がかからない、作成替えが容易
    短所:形式の不備や内容が不明確になりがち→トラブルの懸念 偽造、変造、隠匿の心配

    (11)公正証書遺言:
    公証人役場で二人以上の証人立会いのもとに、遺言の内容を口述し公証人が遺言書を作成
    長所:無効になる恐れがない、偽造、変造、紛失の危険性がない
    短所:内容が他人(証人)に知られる、証人が必要、公正証書作成費用が必要

    (12)遺言書作成のポイント:遺言書に全ての財産を盛り込む、金融資産は割合で指定、遺言執行者の指定、納税資金の確保、付言事項を使う 等々

    <注> 以下の項目は省略:「相続税のかかる財産」「相続税額の早見表」「自宅敷地と配偶者の税額軽減」「財産評価」「贈与について」「贈与は本当に有利か?」

    (13)まとめ:
    1)資産・負債を把握する
    2)誰に財産を相続させたいのか検討する。相続人以外に渡したい人・団体があるか
    3)相続税の負担はあるのか試算してみる
    4)納税資金は準備されているか(事前に換金・物納)
    5)贈与の活用は有効か

    報告者より:
    更に詳しいことを知りたい方は、いずれの信託銀行もこれらの相談業務を行なっているので、個別に相談されては如何かと思います。