【第164回】8月「風土工学誕生物語 ~風土文化の地域づくり~」

Ⅰ.日時 2016年8月17日(水)11時30分~14時
Ⅱ.場所 銀座ライオン7丁目店6階
Ⅲ.出席者数 47名
Ⅳ.講師 竹林征三さん@74期 (富士常葉大学名誉教授)
1943年 兵庫県生まれ
1969 年京都大学大学院工学研究科修士終了後、1997年まで建設省に勤務。
1996年に工学博士(京都大学)。
1997~2000年土木研究センター風土工学 研究所所長。
2000年~2010年富士常葉大学環境防災学部教授・付属風土工学研究所長。
2010年富士常葉大学名誉教授。
2011年風土工学デザイン 研究所理事長(現在に至る)。
2012年山口大学時間学研究所客員教授(~2013年)。
 
最近の講師著書:
「風潮に見る風土 目から鱗の環境防災学・風土工学の視座」

・変な造語がもてはやされる変な時代
・今、民話・伝説、敗者の歴史が面白い
・捏造・改鼠・盗用・詐欺―誇り高き日本人はどこに

「風土工学への道」(苦節20年の記録):挫折の人生から生まれた起死回生の工学

・かつてなかった真に独創的な博士論文「風土工学」の誕生秘話?!
・そのルーツは小学生頃の生きざまにあった
・機能一辺倒の土木技術から風土を生かした地域づくりの時代へ
・風土工学の視座は、日本文明の真の復興への道を示す

「風土工学誕生物語」

・今注目の的、真に独創的な博士論文「風土工学」早分かり
・第二の人生も、独立独歩の人生哲学を貫く
・機能一辺倒の土木技術から風土を生かした地域づくりの時代へ
・風土工学の視座は、日本文明の真の復興への道を示す

Ⅴ.演題 「風土工学誕生物語 ~風土文化の地域づくり~」
Ⅵ.事前宣伝 風土五訓
一、五感で感受し、六感で磨き、
その深さを増す内に秘めたる、
地域の個性、地域の誇りそれが風土なり
一、そこに住む人々の深き思いに、
思いの度合いに応じ答えてくれ、
他の地の者が、違いを認知すれば、
より光る地域の個性それが風土なり
一、地域の人々の心を豊かに育み、
その地の文化の花を咲かせてくれる、
鳳のはばたきそれが風土なり
一、悠久の時の流れで形成され、
自己の存在を認識させてくれる外界、
自己了解のもと、
自己の自由なる形成に向かわせてくれる外界、
それが風土なり
一、そこで住む人々とその地が発し、
人々の感性をゆり動かす、
そこはかとなく漂う、
ほのかなゆかしい波動それが風土なり
Ⅶ.講演概要 講演は、美しい日本の湖の映像を次々に写し簡単な説明から始まった。
女神湖、白樺湖、日本で最も美しい野反湖、更に日本で最も美しいコンクリートダムである白水ダム等。
しかし、現在は環境破壊をするという理由でダムをつくることはできない。++-++-++-++-++

講師が作成したレジュメには、講師の受賞歴や出版済みの編著書などが数多く、詳しく記載されている。また、講演の内容もかなり詳しい記載があるので、その中から適宜抜粋して下記に述べたい。

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日本の風土は美しい。「湖水の文化シリーズ」全5巻を講師は出版済み。ダム名、ダム湖名の数え歌「大和言葉」には裏と表の文化がある。なんと奥深いことか。

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土木の仕事はどうして評判が悪いのか:

  1. 環境破壊と評されても仕方がない。
  2. 用地買収、用地無償提供と収用法。
  3. 土木の仕事は心が入っていない。
  4. マニュアル通り、技術基準、補償基準、会計検査院、コストベネフィット論、効率一辺倒

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美しい土木設計:
力学の追及・・・アーチの弧状、美には法則がある。
土木設計にも景観設計が求められてきた。「景観十年」・「風景百年」・「風土千年」

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感性工学との出会い:
感性工学:感性にも尺度がある。測定できる。感性工学を土木工学に取り入れよう。

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環境とは何か:
環境と風土の違い。環境には“心”が入っていない。近藤次郎の「環境科学読本」の1フレーズが気になった。

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仏教と科学:
仏教とは何か、神と仏。一神教と多神教。
講師は、中村元著「仏教語大辞典」を懸命に勉強したことで、仏教は科学の最たるものということを理解した。一神教は嘘ばかりでありキリスト教は科学と正反対である。

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講師は「東洋の知恵の環境学」という本を出版、自らの自信作であったが売れなかった。

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おわりに 「風土工学の思い」と「夢のある“ふるさと”に向けて」:
A「風土工学の思い」:

  • その地の過去がつくってきた風土 それだけの風土でなく未来への夢が広がる 風土にしたい
  • その地の現在が作っている風土 それだけの風土ではなく未来への夢が広がる 風土にしたい
  • その地の人々が育んできた風土 それだけの風土ではなく誇りうる個が自他に認知される 風土にしたい
  • 時空を越え一度しか接し得ない風土 自由なる形成に向かわせてくれる風土なので自他にとって存在の意義を育む 風土にしたい
  • 森羅万象総てにとって 夢ある明るい未来に向けて

かけがえの無い風土なので ただそれだけの風土だけにはしたくない

B「夢のある“ふるさと”に向けて」:

  • 夢のない人生はつまらない
  • 同じように、夢のない地域はつまらない
  • このふるさとの風土にどれだけ夢を生み出す人がいるか
  • 夢を見つけ出す人がいるか
  • それがこの地の将来の明暗を分ける大きな指標の一つである
  • 知恵と熱き思いは夢を現実にする力を持っている
  • 知恵は夢の中で種子が生まれ、熱き思いの中で大きく育まれる
  • 個の発想より夢は生まれ、群の想像にて夢の現実に向かう
  • 夢の実現に向けて、大切なことは
  • 熱き思いの過程であり、結果ではない
  • 風土は輝いている
  • 風土が泣いている
  • 風土の心を知るほど
  • 風土を敬愛することとなり
  • 風土に馴染むものが生まれる
Ⅷ.資料 なし

文責:64期 峯 和男

 

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