第7回 「阪神ファンの経済効果」国定浩一氏(71期)

reporter:峯 和男(65期)

    日時: 2003年7月16日(水)11時30分~14時
    場所: 銀座ライオン7丁目店6階
    出席者: 81名(内65会メンバー:大隅、太田、梶本、正林、山根、峯)
    講師: りそな総合研究所 前会長 国定浩一氏(71期)
    演題: 「阪神ファンの経済効果」
    講師紹介: 71期に卒業後、東京大学を経て旧大和銀行勤務。常務の時、大和銀行ニューヨーク事件発生、これの処理に当たった。先 般の「りそな銀行」への公的資金注入を機に「りそな総研」会長を辞任、現在浪人中であるが次の仕事として某大学教授への就任が内定している。同期生からの 紹介によれば、顔つきがごつく、阪神タイガースの伊良部に似ているので「いらぶ国定」と呼んでいる由。
    講演内容:
    (要点のみ)
    *筆者注:国定氏の話は、関西弁によるリズミカルな早いテンポ。
    更に、内容の面白さで爆笑の連続、それを紙面で伝えるのは到底困難であることを予めご諒承下さい。

    (1)本日は、紹介者から「お前は経済の話はどうでもええからタイガースの話だけせい」と言われたが自分はエコノミストなので一寸だけ経済の話もさせて頂 きたい。なお、現在は浪人中なので仕事上の名刺はないが「阪神タイガース私設応援団常任理事」というユニークな名刺を持っているので希望される方があれば 差し上げる。

    (2)株価が少し上昇しているが今の経済は良くない。中小企業には良いという実感がない。株価が株価を上げているに過ぎないのではないか。

    (3)それは消費の落ち込みがひどく、回復していないため。消費者は金はあるけど使わない。売れるのは安い物ばかり。ユニクロ、100円ショップ等でかな りの物は間に合ってしまう。自分も試しにユニクロへ行き、山のように買ったが一万円でお釣りが来た。100円ショップも、最初抵抗していた家内が一度行っ てからすっかり味を占めてしまった。サラリーマンの昼食も、弁当380円、丼物280円が相場。

    (4)金を使わせるには、気分を明るく、楽しくすれば良い。材料は、「阪神タイガース」である。

    (5)タイガース優勝の経済効果は大阪府大教授や日本総研などが1000億円程度と予想しているが、これは間違い。その2~3倍はある。

    (6)間違いの理由は、経済効果を近畿圏に限定しているため。他球団の場合はその地元に限られるが、タイガースは近畿圏に止まらない。東京、関東他全国区であり結果として全国的に経済効果が出る。

    (7)巨人ファンは観戦、阪神ファンは参戦である。自らもチームの選手と共に戦っている。元巨人、現在阪神の西本コーチが言っている。「巨人ファンは趣味、阪神ファンは生活の一部である」。

    (8)テレビ中継:東京ドームのネット裏はネクタイをした人間の静止画面。これに対し、甲子園のネット裏はノーネクタイでざわざわしている。阪神ファンは一度家に帰り着替えてから行く。

    (9)女性ファンの違い:新地や銀座のバーのホステスを見ればどちらのファンか大体判るが、大きな違いがある。
    巨人ファンの女性は「高橋がカッコいい」という程度。
    阪神ファンの女性は各選手の成績が頭に入っており、数字をあげてとうとうと喋る。

    (10)阪神ファンは常に前向き、楽しいことだけを考え、悲しいこと、つらいことは言わない。2勝3敗の哲学をもっており、「人生そんなもんや」「今楽しかったらええ」と考える。

    (11)テレビ観戦:巨人ファンは帰宅後直ぐテレビのスイッチを入れスコアを見る。阪神ファンは直ぐスイッチを入れない。先ず時間を見て試合が何回位まで 進行しているかを考え、両軍の先発投手から現在のスコアを推測してからスイッチを入れる。自分の推測より良ければ、「おー今日はようやっとるやないか」、 悪ければ「まーこんなもんや。明日また頑張ればええ」。去年まではこういう状況が多かったが、今年はかなり違う。

    (11)自分は毎年30回位甲子園に行く。ある時秘書の女性を二人ほど連れて行ったが、うっかりして最初に一つ注意しておくのを忘れた。女性秘書が阪神の 攻撃中にトイレに立ち席に帰って来た時、自分の横に座っていた長老から「こらー、攻撃中に小便に行くな!」と大声で怒鳴られ、秘書に恥ずかしい思いをさせ 気の毒なことをしてしまった。