われら六稜人【第44回】平和構築の現場で

辰巳知行さんの現在の写真 辰巳知行さんの高校時代の写真 第1幕
国連平和維持活動

さて、今日は「国連平和維持活動」についてお話させていただきたいと思います。国連PKO(UN Peacekeeping Operation)とも言いますが、私は2度、この国連PKOに関わる機会がありました。1度目はバルカン半島のコソボ、2度目は西アフリカのリベリアでした。国連PKOとひとくちに言いましても、その任務や構成は場合によって様々ですので、今日はコソボとリベリアに限ってお話をさせていただきます。

ブルーベレーの平和維持部隊兵士
ブルーベレーの平和維持部隊兵士

PKOと言うとやはり軍隊的なイメージを持たれますか?そうですね、「辰巳はついに傭兵になったか…」などと言う友人もいるくらいですから、やはりそっちのイメージが強いようですね。軍事的な活動、つまり治安維持のことですが、は平和維持軍や多国籍軍の仕事です。ブルーヘルメットに白塗りの装甲車という、あれですね。私の仕事はそっち方面ではなくて、いわゆる文民部門の方です。文民部門というのは例えば保健医療、教育、電気や水などの生活インフラ、法整備、民主化、行政制度整備、環境対策などの分野への支援をする部門のことです。紛争後はそういったものはほとんど壊れてしまっているか、全くと言ってよいほど機能していませんので、これを現地の人たちとともに復旧してゆく訳です。復旧する前の形がない場合は、いわゆる「国際スタンダード」に近づけるよう枠組みを整備したり、現地のスタッフとともに現地に適したやり方を模索しながら手探りで作り出していったり。

白塗りの平和維持軍の戦車
白塗りの平和維持軍の戦車

ざっくり言ってしまうと、「紛争が終わって、平和の機運が生まれ始めたそのタイミングで、この平和が今後もなくならずにずっと続いていくような環境を整えてゆくこと…をお手伝いすること」がPKOの仕事であると私なりに理解しています。国連PKOというのは、国連が勝手に出かけて行ってやるのではなくて、通常その当事国からの要請があって初めて設置されます。ほとんどの場合、紛争当事者間でこれ以上はやめよう、武器を下ろそうという和平合意が成立するときに、その合意文書の中に国連によるPKOを要請する一文が入ってきます。その要請を元に国連安全保障理事会がPKOの設置を決め、派遣する訳です。

ちょっと話が抽象的になってしまいましたが、後ほどコソボとリベリアでの現場の体験を交えて、より具体的なお話をしたいと思います。

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