われら六稜人【第45回】「養生こそ至上の処方なり」

農業機械の写真

第6診察室
食物の「旬」を楽しむ

    「養生」の立場では、食物の旬はもっとも大切なものです。それは「身土不二」という四文字熟語で表わされています。「身土不二」とは、我が身と大地・自然 は二つではない、一体であるという意味です。言いかえると季節の循環に合わせて生活するということであり、住まいし、生活する近くでその季節にとれるもの を食べるという意味になります。そう広くない地域内での自給自足を意味しているという見方もできます。
    この考え方は遠方でとれる食物をとりよせて食べることを否定していますが、それは食物を遠くまで運ぶと鮮度に問題が生じるからだけでなく、食物の季節や旬 がおかしくなってしまうからです。国内でもそれは言えることですが、ましてや外国から輸入することは、この考え方に大きく反しています。食物の旬とは、その食物である生き物の生命力がもっとも旺盛な時です。もっとも美味しいだけでなく、よく取れるためにもっとも安く、それに何よりも良いこ とは栄養がもっとも豊富であるということです。
    農薬の心配ももっとも少ないと考えて良いと思います。 今日では、食物の旬が分からなくなってきています。こどもに「いちごの旬はいつですか」と問うと、「クリスマス」という答えが返ってくることがあります。 それほどひどくなくても、いちごの旬が分からない子供は少なくありません。きゅうりやトマトやレタスなどは、八百屋やスーパーの店先に年中並べられていま す。いつが旬なのか分からなくなるのが普通なのかもしれません。
    初夏のいちごや真夏のきゅうりやトマトには、ビタミンCが豊富にありますが、クリスマスのいちごや冬のきゅうりやトマトには、わずかしか含まれていませ ん。きゅうりやトマトやいちごをお腹いっぱい食べたとしても、ビタミンCは十分でないかもしれません。その前に冬のきゅうりやトマトは、水っぽくて美味し くありません。「旬」の豊潤な味も香もありません。その上、値段も高く農薬も多いと考えられます。
    冬にビタミンCの豊富な食物は他にいくらでもあります。白菜、小松菜、菊菜、水菜などの菜っ葉類、大根やかぶらなどの根菜、それにみかんやりんごなどの果 物。このような野菜や果物が冬の旬なのです。真冬にきゅうりやトマトを食べて、野菜を食べたなどと思ってはいけません。冬には冬の美味しい野菜があるので すから。

    だから、ここでは玄米食なんですけどね。玄米食なんだけど、まあ、僕も玄米、無農薬の玄米ほしいからね。僕、農業やってるようなものなんですよ。ほんと無 農薬の玄米いうのはなかなかないんです。嘘が多いんですよ。いろいろ僕調べたけどね。結局、ほんとに信頼できるいうのがなかなかないんですよ。だからね、 もうしょうないから自分らで作ろういうことでやってんですけどね。だから、玄米食べるんなら無農薬の玄米手に入れなさいと。自分で作るのが一番ですよ。だ けど、そんなのできへんから白米でいいんですけど。事実、パンの場合にね、普通に市販されている真っ白のパンは残留農薬ないんです。パンね。小麦ですよ。 ところがね、学校給食のちょっと茶色っぽいぱんね、あれは残留農薬あるんです。
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    稲収穫の写真

    結局ね、充分精白してないんですよ。真っ白いパンいうのはね、小麦をものすごく表面磨いてね、玄米の表面磨いたら白米になるわけですよね。小麦も充分磨い てそれから粉にしたらね、それは1等粉いうてね、真っ白な小麦粉になる。ところが、ちょっと磨いただけで粉にしたら、ちょっと色が残るわけ。それは2等粉 ですよ。安い。表面を充分削ってないで粉にしたら、農薬が残るわけ。これは、日本の米は農薬残ってるいうたってもたかが知れてるんですよ。ところがアメリ カの小麦は、収穫後農薬いうやつやね。ポストハーベスト。という保存のために農薬をまぶすわけやね。まぶす言うたら大げさやけど、一定の農薬と小麦とを わーっと撹拌して、表面に薄く農薬をまぶすわけやな。そうすると、多少湿気があろうが、温度が高かろうが、カビもばい菌も虫も発生せえへんわけや。貯蔵し やすいわけね。日本の米いうのは、古米でも、ごっつい体育館みたいな冷蔵庫へ保管してん。あれは政府も困ってるわけやね。
    日本なんかは農薬まぶして保管するようなことしないんだけどね、他はそうなんですよ。アメリカでもオーストラリアでも。中国なんかひどいもんですよ。中国 なんかもう、野ざらしに近いような保管やからね。だから、農薬まぶしちゃうんですよ。そういうのでパン作ったら、できるだけ外を磨きとって、死んだ気で粉 作らんと・・・学校給食のパンそうですよ。そやから玄米もね、日本の米やったら、そんなに残留農薬知れてるんだから玄米食べてもいいんだけど、一番玄米の とこに残るんです農薬は。ぬかの部分に。ぬかの部分いうのは油があるわけね。米ぬか油いうて油搾り取るくらいね。そやからそこにどうしても多少残るわけ。 それがいややったら、無農薬で米作らなあかんわけです。
    普通の玄米食べたら、白米よりも身体に悪いちゅうことですなぁ。そういうのは、世間で言わんねぇ。とにかく玄米食え食えって言うけど、・・・そやから、そ れもそうやったらね、白米食った方がええと。その代わり豆食いましょうと。大豆とか小豆とかね、豆食べましょうと。

    玄米というのは結局ねぇ、1つの生き物なんです。まあ言うたら、温度と水とあったら芽出てくるんです。大豆も小豆もそうです。白米は、温度と水と与えたら 腐って行くんです。生きてない。芽出るとこないんだから。その違いいうのは、ものすごく違うんです。玄米には、いろんな栄養がちょっとづつあるんです。1 つの生き物としての必要な、微量だけど、ちょっとづつだけどあるんですよ。海の水を濃縮した塩と電気分解で作ったNaClの塩との違いですよ。だけど、海 の水を濃縮した塩いうのはね、私たちの身体の血の中にあるような、私たちの身体が必要とするような成分がいっぱい入ってるわけです。もともと海水を体の中 に閉じこめたら、生き物は陸へ上がれたわけですな進化論からいうとね。それが、人間でもそうやけど、いろんな生き物の血液いうのは、海水、もとを言えば海 水の関係がある。海水を身体に閉じこめたのが血液ですね。

    だから、そういう成分をうまく取らないかんです、本来。それは、丸ごと食べる物にあるわけです。だから、玄米にもある。豆類にもある。小魚にもある。マグ ロの刺身とじゃこやめざし一匹の違いはそこなんです。マグロの刺身食べてもいいんやけど、ごっつい栄養的には偏ってるわけです。牛肉でも。マグロ1匹食べ たら栄養は偏よらへんわけやけど、食えないですね。(笑)だけどそういう分を、ちょっとめざしやじゃこ食べて補うわけ。マグロの刺身食ったらいいんやとい う話なんですよ簡単に言うと。だから、そういうふうにして現実的にはうまく栄養のバランスを取って身体の必要とする栄養分をできるだけ多く漏れないように 取りましょうと。
    食べ物は、旬のこととかね、よくかんで食べようとかね。それから、献立で栄養のバランスの簡単な取り方とか、そんなこと教えるです。栄養のバランス取るい うてもね、栄養士さんに聞くと難しい教えるよ言うて。彼女らは、難しいことを私らはやってるんや、いうのであの人らは給料もらってるんだから、難しく教え るよ言って。だから栄養士さんに習わんでいい。簡単なやり方教えてあげるよ言うて。そういう。まぁ・・・

Update : Aug.23,2001

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