われら六稜人【第39回】がちゃぼいマンガ道

エロマンガ島
エロマンガ島(ニューヘブリデス諸島)

第6話
世界マンガ事情

    現在は非常にマンガブームでして、僕らにとっても「ブーム」と言われるのは煙ったいわけですけど、子供から大人までマンガを見ております。皆さんも恐らく 子供の時代からマンガを見て育ったんで、マンガに対しては何の抵抗もないと思うんです。ところが今、40才から60才ぐらいの人の中には非常にマンガに関 して抵抗が激しい。特に最近の劇画なんていうものは「見るのも嫌だ」というような人が非常に多いわけです。これは何も日本だけの傾向ではなしに全世界的に そうなんですね。若い人たちというのは非常にマンガが好きなんです。フランス人もアメリカ人もとにかくマンガが好きで、マンガ家なんかが文化の担い手として喜ばれている。 ところが、ある地方へ行きますとマンガというものが無いんですね。
    これは非常に驚いたんですが…以前、マンガ家の仲間と一緒に東南アジアからポリネシアのほうへ旅行したことがあるんです。これは本当の話なんですが、そこ にエロマンガ島という島があるんですよ。別にエロ・マンガの島じゃあないですよ。そういう名前の島が本当にフィジー諸島の近くにあるんです。そこへ面白 がって観光に行ったんです。
    すると観光案内人がやって来て「あなた方は一体、日本から何の商売でみえましたか。バイヤーですか」と聞くわけです。「いや、そうじゃない。われわれはマ ンガ家だ」と言うと、「マンガって何ですか」と首をかしげるわけですね。いわゆる英語でいうcartoonですが…「What is cartoon???」ってなわけです(笑)。
    ちょうど僕たちの仲間に富永一朗というマンガ家がおりまして『チンコロ姐ちゃん』というマンガを描いていましたが、彼があんまり馬鹿にされたような気がし たのか、そのチンコロ姐ちゃんを紙にスラスラと描いて見せたんです。「これがマンガだ」と。そうすると、その人…こうやってじーっと見ていて「これは一体 何ですか?」と言うんですね。「『何だ?』って…これは女じゃないか。こんな面白いマンガ、知らないだろう。俺たちはこれを描くんだ」って富永一郎が自慢 するわけです。すると「これが女ですか?女はこんな変な顔をしてないよ」と言うんです。これはもうマンガを全然知らない人達の話です。実際そういう人がい るんです。まだ世界の中にはいくらでもいるわけです。

    そうかと思うと…スペインのマドリッドへ僕らはマンガのグループとして行ったわけですが、お揃いの旅行カバンに「MANGA」とローマ字で書いて持って行 きました。そうすると「あぁ、来た来た」とみんな歓迎してくれる。だけど、向こうの人達と話をしているうちに、どうも話がおかしい。よく聞いてみると「皆 さんは日本のカバン屋さんでしょう」と言うんですね。
    「MANGA」と書いたお揃いの旅行カバンのせいで、カバン屋の集団だと思ったらしいですね。まあ、そういうこともありますが「いや、実はcartoon のことを日本語でマンガというんだ」と言ったら「あぁ、そうですか」と言ってカバン屋さん以上に歓迎してくれました。
    そういうふうに国によってマンガというものを認めている国と認めていない国とがあります。

Update : Jan.23,2001

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