われら六稜人【第16回】ラテンのリズムに合わせて

第5ステージ
「無宗教」ということ

    スペインというのはガチガチのカトリック国ですから、中南米を征服した時に徹底的にキリスト教化を行ないました。もともと中南米はマヤ、アステガ、インカ など土着の文明が発達したところですから、それぞれ土俗の神様がいる風土でした。その宗教施設を全部破壊して、その上にカトリック教会を建てたわけです。
    太陽の神様、月の神様、山の神様…色々あった土俗の神様を封じ込め、そこにカトリック教会を建てたのです。それで異常な数のカトリック教会が存在するのです。カトリックの行事をすることが洗脳教育になったわけですが、それは元からある土俗宗教のお祭りと見事に一体化してしまいます。メキシコ臭の強いカトリック行事が今も数多く残っています。
    例えば、イースターの頃になると…「聖週間」なんですが…アメリカ・インディアンのような羽根を身に付けて踊ったり、というようなことがあります。ちょう ど同じ季節のアステガ時代の神様の行事と一体化してしまっているのです。ハロウィーンでも同様に、カボチャではなくてドクロを飾ってお祭りしたりするので す。

    有名なものには「黒いマリア」があります。辺鄙な田舎で先住民の多いところでは、村人たちは自分たちを敬虔なカトリック信者だと信じて、日曜毎にミサをし ていたりしますが…しかし、その教会にあるキリストやマリアの像は、肌の色が茶色だったり黒かったりしますし、民族衣裳をまとっていたりするのです (笑)。それで、羊ではなくて鶏をいけにえに殺したりする行事もあります。彼等はそれをカトリックだと思って信仰していたりするんですね。外国人がそのよ うな風景を写真に撮ったりして「魂が抜かれる」と言って殺されたりすることが、今でもあるんですよ。

    日本人には「わたしは無宗教だ」と平気で言う人が多いのですが、厳密には【熱心ではない仏教徒】とかいうのが多いわけです。中南米諸国もカトリック圏です ので、総じて宗教に熱心な人は多いのですが、それでも一般的には、赤ちゃんが生まれたとか、身内に不幸があって葬式を出したりするような時にしか宗教活動 (行事)をしないという人も結構多いのです。特に若い世代になるほど、その傾向は強いと思います。
    ですから、日本のいわゆる「葬式仏教」にも似て…(もちろん熱心な信者はいるんですが)…クリスマスだ、ハロウィーンだ、という「お祭りの時だけのカトリック信者」も大勢いるのです。ただ、彼等はそれを「無宗教」とは考えませんが。ご存じのようにラテン民族はお祭り好きです。もちろん、メキシコでもクリスマスを祝いますが、12月に入ると途端に街中が騒々しくなるのです。クリスマスは…実際、10日前からポサーダという行事が一緒になって街中が盛り上がります。
    これは…マリアは馬小屋でキリストを生むわけですが、その前に旦那のヨゼフと一緒に10日間ほど、生む場所を探して回ったという故事になぞらえて、その10日間を祝う行事なんですね。いろんな家でこの行事が取り行なわれます。そして行事は1月の中頃まで延々と続くのです。

Update : Jan.23,1999

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