北へ2007〜白夜とフィヨルドの国から【第6歩】 初めに戻る つぎ

仕事の仕方


カジュアルないでたちのノルウェー首相、イェンス・ストルテンベルグ氏
▲カジュアルないでたちのノルウェー首相
イェンス・ストルテンベルグ氏
photo(c)ノルウェー政府

ノルウェーではジーンズでもOKの会社が多く
人々の服装はカジュアルだ


ノルウェーの夏はベリーの季節
▲ノルウェーの夏はベリーの季節

今回は日本との違いに目をみはるノルウェー人の仕事の仕方について書いてみたい。

ノルウェーの一般的な会社の就業時間は8時〜16時で、週37.5時間だ。日本の多くの企業の終業時間が9時〜17時であっても実際の労働時間はもっと長いのとは異なって、ノルウェーでは定時に仕事を終える人は実に多い。わがパートナーも某企業でエンジニアとして働いているが、たいていは4時半には帰宅し、余暇を楽しむ。

そして日本人にはうそにしか聞こえないかもしれないが、ノルウェーでは夏休みは5週間ある。子供の学校の夏休みではなく、大人の夏休み、つまり有給休暇である。たいていの人は2、3回に分けて(例えば、6月と8月とか)取ることが多く、国内外に旅行にでかけたり、ヒュッテで過ごしたりする。実にのんびりしたものだ。

多くの人が休暇をとる夏には、学生達がそれを補うが如くサマージョブを1〜2か月かけてすることも多い。多くの企業が学生のサマージョブを受け入れている。よって一般消費者からいわせれば、夏は思ったように機能していない会社が多いというのも現状である。どこどこ会社の誰々さんと連絡をとりたいと思っても「あ〜、彼(女)は今休暇中で……」と言われることが多い。ヨーロッパの関係者と夏には(ビジネスで)なかなか連絡が取りづらい経験をした方も多いのではないだろうか。

つまり、こちらの社会は自分の権利(5週間の夏休み)のためには、多少の不便(夏は何もできない?)もがまんしようという世の中なのである。日本の便利追求型の社会とはだいぶ異なる。私自身は日本型社会、消費社会に慣れ親しんだ人間としてこちらの社会に多少なりとも不便さを感じるのが正直なところなのだが、ノルウェー人をみていると人間らしく生きているなと感じることは多い。人間らしく、働ける分だけ働き、そして遊ぶ。その遊び方も自然と親しみながらなのだ。

仕事後に所有のボートにのって楽しむ人
▲平日でも仕事後に所有のボートにのって楽しむ人も…
多くのノルウェー人にとってボート所有は夢のようで
写真のような立派なものでなくても所有する人は多い


日がなかなか沈まない夏は、仕事後に野外で家まわりのことをするのがぴったり
▲日がなかなか沈まない夏は、仕事後に
野外で家まわりのことをするのがぴったり


私が従事していきたい建築等の物づくりの現場では、このノルウェー的働きかたと、日本的働き方の違いによって、結果としてどのような差がでてくるのかに私は非常なる興味を持っている。今まで学生としてその業界と関わって来て、学生だけ見ていても差は大いに感じた。日本の学生なら設計製図の提出前、徹夜は基本で、よりいいものを作ろうと提出直前まで努力をするのだが、ノルウェー人は大事なプレゼン前でも前日夜8時頃には帰っていく。私にはどんなに忙しくてもプライベートを楽しむ権利があると言わんばかりだ。これはあくまで私が出会った人たちの話であって一般論とは異なるのかもしれないが、それくらいノルウェー人はリラックスしていると思う。

このノルウェーで就職し、こちらのやり方になれ親しんでゆくと、もう日本流では仕事ができなくなるかもしれないと私は内心おびえている。
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Last Update: Sep.1,2007