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	<title>ワールドアイ　オランダ &#187; 3 オランダで家を買う</title>
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		<title>オランダで家を買う《8・終》仮住まいの終り (2007年9月23日)</title>
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		<pubDate>Sun, 23 Sep 2007 14:30:31 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[3 オランダで家を買う]]></category>
		<category><![CDATA[太陽電池と「低い国」と]]></category>

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		<description><![CDATA[公証人事務所の職員に声をかけられ、いよいよ会議室に招き入れられた。公証人はいかにも経験豊富そうな貫禄のある人物だった。 ▲会議室での席順 会議室の奥には売主夫妻が、廊下側に我々夫婦と通訳P、右手に公証人、左手にそれぞれの [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>公証人事務所の職員に声をかけられ、いよいよ会議室に招き入れられた。公証人はいかにも経験豊富そうな貫禄のある人物だった。</p>
<table width="340" border="0" align="left">
<tbody>
<tr>
<td align="left" valign="middle"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu16-1.gif" alt="" width="320" height="240" /><br />
<span>▲会議室での席順<br />
</span></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>会議室の奥には売主夫妻が、廊下側に我々夫婦と通訳P、右手に公証人、左手にそれぞれの不動産屋の配置で席に着いた（図参照）。売主夫妻の子供は早速 隅っこで携帯ゲーム機を取り出して遊び始めたが、子供の退屈しのぎを持参するのをすっかり忘れていた筆者達がどうしようかと戸惑っていると、通訳Pが自分 の電子手帳(PDA)を取り出して、子供達に日本語でゲームの遊び方を説明した。子供達も大人しくそのゲームに興じ始めた。</p>
<p>コーヒーも行き渡り、一通りの挨拶が終わると、公証人が契約書中の重要事項の確認や、今後のプロセスなどの説明を始めた。通訳の存在もあり、ここからは 全く英語は登場しなかった。これまでは、筆者とオランダ人たちの口頭のコミュニケーションは、いつも英語を使っていたが、今回彼らは決して英語を使わず、 筆者らも通訳を介して日本語で意図を伝えた。</p>
<p>会議の席自体は仰々しいが、よくある不動産取引の一つである。公証人や不動産屋達にとって普段と違うことといえば、買手がオランダ語を理解しない外国人 であるというぐらいなので、契約書の中味には特別なものはなかった。疑問に残った事項が全くなかったわけではなかったが、通訳への再度の質問で概ね納得す ることができた。</p>
<table width="260" border="0" align="RIGHT">
<tbody>
<tr>
<td align="RIGHT" valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu16-2.jpg" alt="鍵とシャンペン" width="240" height="320" /></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>売買契約が無事締結し、売り手が筆者に鍵を渡して立ち去った後、抵当権設定の確認がされた。内容は、ローン仲介業者Hから事前に説明を受けていたものと矛盾せず、通訳Pの説明のもと、抵当権設定の契約書へ署名を行った。<br />
通訳Pは帰り際、商売道具のシャンペンを1本、契約締結のお祝いにとプレゼントしてくれた。お互いの連絡先を交換し、今後の付き合いを約束して帰っていった。</p>
<p>もし、通訳が来ることを事前に知っていて、自分の知り合いの日本人の日蘭通訳を呼ぶ、と公証人に伝えていたらどうだっただろう。確かに、“登記簿”と か、“抵当権抹消”とか、不動産取引に特有の日本語単語はあまり詳しくなかった。しかし、オランダで生まれ育ったPのオランダ語は完璧なはずだし、不動産 取引などのオランダの習慣にもある程度通じているに違いない。日本人の通訳を呼んだ場合、それだけの経験が期待できただろうか。<br />
それ以上に、通訳を使う側にすれば、通訳の日本語能力の実力と限界をある程度推し量ることはできるが、外国語能力は評価できない。外国語が完璧という前 提で付き合わざるを得ないので、通訳を選ぶなら外国人の方が無難、ということが、今回の一件を通して理解できたように思う。</p>
<table width="280" border="0" align="left">
<tbody>
<tr>
<td align="left" valign="middle"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu16-3.jpg" alt="" width="240" height="320" /><br />
<span>▲売買契約成立後に購入した脚立<br />
天井も高いので生活必需品である<br />
</span></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>その後は不動産屋Mの助けを借りて電気・水道などの使用開始手続き（当然オランダ語）をし、「何かあったら連絡を」のメッセージとお祝いのワインを置い てMは帰っていった。暑い中電灯を選びに行ったり、脚立を買いに行ったりは、さらにその後の話である。お祝いのシャンパンとワインを開けたのは、線路通り の家からの引越が完了してからのことであった。</p>
<p>「オランダで家を買う」シリーズ、当初意図していたものより随分長いものとなってしまったが、オランダでの習慣や日本との違いなど、読者諸氏に雰囲気だけでも感じ取っていただいたとしたら筆者としても幸甚である。</p>
<div>Last Update: Sep.23,2007</div>
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		</item>
		<item>
		<title>オランダで家を買う《7》コンニチハ、ハジメマシテ (2007年8月23日)</title>
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		<comments>https://www.rikuryo.or.jp/world_eye/nederland/?p=57#comments</comments>
		<pubDate>Thu, 23 Aug 2007 14:29:48 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[3 オランダで家を買う]]></category>
		<category><![CDATA[太陽電池と「低い国」と]]></category>

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		<description><![CDATA[物件引渡し日の7月26日は、朝から爽やかに晴れ上がっていた。大阪なら梅雨明けして間もなく、天神祭の翌日の一年で最も蒸し暑い日であるが、その日のオランダも、大阪ほどではないにしても、暑くなりそうな一日であった。 朝、約束の [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>物件引渡し日の7月26日は、朝から爽やかに晴れ上がっていた。大阪なら梅雨明けして間もなく、天神祭の翌日の一年で最も蒸し暑い日であるが、その日のオランダも、大阪ほどではないにしても、暑くなりそうな一日であった。</p>
<p>朝、約束の時間に一家総出で物件に出向くと、お馴染みの不動産屋Mと売主側不動産屋が、既に家の前で待っていた。家の中に通されると、売主家族と初めて の対面となった。相手方夫婦の年齢と出身地は、契約関連の書類を見て知っていた。事前の下見で、筆者の子供と同年代の男の子が一人いるのも想像できた。し かし、筆者より5才年長のご夫君Hが、なんとECNの研究者だったことには驚いた。お互い初対面ではあったが、ECNには永く勤めているそうで、筆者の 助っ人･同僚Jも含め、共通の知人はかなりの数に上るようだった。彼らの転出先はそれほど遠くはないが、ご妻女の仕事により都合のよいところに移るのだそ うだ。</p>
<table width="340" border="0" align="RIGHT">
<tbody>
<tr>
<td align="RIGHT" valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu15-1.jpg" alt="" width="320" height="240" /><br />
<span>▲きれいに片付けられた台所<br />
</span></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>家の中はきれいに片付けられていた。後で隣人に聞いたところによると、几帳面なドイツ人のご妻女が、引越後何日もかけてきれいに掃除していたらしい。<br />
絨毯、壁紙、カーテン、ブラインドなどもきれいな状態で残されており、冷蔵庫や食器洗浄機も据置き式だったので、生活のため買い足す必要があったのは、洗濯機と各部屋の電灯ぐらいのものだった。<br />
通常オランダで住宅家屋の引渡しがあるときは、壁も床もコンクリートがむき出しで、入居に向けて、まず天井のペンキ塗りから始めることが一般的であることを考えると、非常に幸運な物件に巡り会えたと言える。</p>
<table width="340" border="0" align="left">
<tbody>
<tr>
<td align="left" valign="middle"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu15-2.jpg" alt="" width="320" height="240" /><br />
<span>▲天井はきれいに電灯が取り外されている<br />
</span></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>一応オランダ人のために弁解しておくと、コンクリートむき出し状態で引き渡すのは、意地が悪いからではない。人の好みは千差万別なので、次の入居者が自 分のお気に入りの内装をやりやすくするための、オランダ人流の「親切」なのである。オランダ人一般は家の内装を自分好みに飾り付けるのが大好きな人が多 く、家を買ったときの一大イベントとも位置づけており、その類の商店は大賑わいである。<br />
転出した家の絨毯や壁紙を引っぺがしていくのも、お気に入りだった装飾品を次に移り住む家でも活用するためなので、わざわざ手間をかけてゴミを増やしているだけのようにも見えるが、彼らにとっては楽しみの一つなのだ。<br />
幸いにしてこの物件の売主Hは、ご妻女がオランダ人ではなかったせいかも知れないが、そこまでの趣味は持ち合わせておらず、据付品のうち新居に持っていったのは電灯類だけだった。トイレの電灯まで取り外して持っていったのには少し閉口したけれども。</p>
<p>これらの引渡し時の部屋の状態は、物件の状況説明書に記載されている。売主Hの説明を受けながら、不動産屋Mとともに状態を視察した。日本で住居を売り 渡したときの記憶がまだ新鮮だったので、この辺りはしっかり注意を払っていたつもりだったが、電灯について説明書で言及がなかったのは見落としていた。少 なくとも、間違いなく説明書どおりであることは確認できた。</p>
<table width="340" border="0" align="RIGHT">
<tbody>
<tr>
<td align="RIGHT" valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu15-3.jpg" alt="" width="320" height="240" /><br />
<span>▲公証人事務所は、こんな感じ<br />
</span></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>物件の状態の確認がすむと、総勢で公証人事務所への移動となった。双方の不動産屋は車で向かったが、筆者たちは売主Hの家族の案内で、自転車で公証人事 務所へと向かった。住居表示でおよその場所は知っていたが、H達は筆者達の知らない近道を通っていった。さすがに長年住んでいるだけあって詳しいものだ。</p>
<p>事務所に着くと、待合室に通された。全員揃ってしばらく待っていると、男が一人入ってきた。一応スーツは着ているが、少しむさ苦しい感じ、30台中ごろに見えた。この人が公証人か、思ったより若いな、想像したより貫禄がないな、と思っていると、男が第一声を発した。</p>
<p>「コンニチハ。コマツサン デスネ。ハジメマシテ。Pト モウシマス。」</p>
<p>突然の日本語を喋るオランダ人の出現に、筆者らはかなり面食らってしまった。しかもその日本語のレベルは、流暢とまでは行かないものの、片言レベルからは数段上、今まで知り合ったオランダ人の中では、屈指のレベルだった。<br />
ここの公証人はこんなに日本語が喋れるのか、と早合点して感心していると、不動産屋Mが横から、「彼が今日の君達の通訳だ。ほら、君達の支払い明細の一 番上、通訳料800ユーロって書いてあるだろ。」するとPが「オー、ワタシ、コンナニ タクサン モラワナイデス（その後オランダ語でMにゴニョゴニョゴニョ）」</p>
<p>そういえば数ヶ月前に、「外国人が重要な契約の当事者になる場合は通訳の同席をオランダ政府が義務付けることになっている」という情報を、どこかで目に したことを思い出した。不動産売買がそれほど「重要な契約」に相当するとは思っていなかった。そもそも、オランダ語で書かれた支払い明細の項目を一々 チェックしていなかった。細かいことはMに任せきり、全てはMの指示通りに動いただけで、通訳が来るなど全くの考慮外だった上、そのコストを「当事者の外 国人」が負担することも、全く想像していなかった。</p>
<table width="340" border="0" align="left">
<tbody>
<tr>
<td align="left" valign="middle"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu15-4.jpg" alt="" width="320" height="240" /><br />
<span>▲ライデンに大量の日本の文物を持ち帰ったシーボルト<br />
彼の事績がライデン大学における日本語および日本文化<br />
研究の礎となった。<br />
</span></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>Pは、公証人の依頼により通訳協会から派遣された日本語通訳で、ライデン大学の日本語科 で教育を受けて何年か前に資格を取ったそうである。今はアルクマールの西約5キロのEgmondという海辺の町に住んでいるが、この地方では日本語通訳の 仕事はほとんどなかったらしい。シャンパン貿易の経営が忙しくて、日本語を使う機会がほとんどなかったので、こんな近くに日本人が住み着こうとしているの を喜んでくれた。「たぶんボクの交通費が他のヒトより安いんでしょう」と話していた。<br />
ちなみに800ユーロは公証人が多めに見積もった金額で、Pの通訳協会への業務報告を元に公証人にこのあと請求明細が届き、残額は筆者に払い戻されることになるので、P個人は「こんなに沢山もらわない」。</p>
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		</item>
		<item>
		<title>オランダで家を買う《6》公証人登場 (2007年7月26日)</title>
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		<comments>https://www.rikuryo.or.jp/world_eye/nederland/?p=55#comments</comments>
		<pubDate>Thu, 26 Jul 2007 14:28:39 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[3 オランダで家を買う]]></category>
		<category><![CDATA[太陽電池と「低い国」と]]></category>

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		<description><![CDATA[&#160; ▲アルクマールの不動産屋【その4】&#160; 翌日、筆者は普通に出勤だったが、同僚Jは公休日だった。同僚Jの自宅はECNから約5キロ、アルクマールからは約20キロのところにあるが、「ついで があるから」と [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>&nbsp;</p>
<table width="340" border="0" align="RIGHT">
<tbody>
<tr>
<td align="RIGHT" valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu14-1.jpg" alt="" width="320" height="240" /><br />
<span><span>▲アルクマールの不動産屋【その4】</span></span>&nbsp;</td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>翌日、筆者は普通に出勤だったが、同僚Jは公休日だった。同僚Jの自宅はECNから約5キロ、アルクマールからは約20キロのところにあるが、「ついで があるから」と言って、前述の大手不動産屋のアルクマール支店を訪ねてくれた。10時過ぎにはJから電話があり、「担当者が決まったからいま変わる。」<br />
電話口に出た不動産屋の担当者Mは「話はJから聞いた。ボクも先方に連絡して、これからその物件を訪ねてみるよ。」話はトントン拍子に進んだ。</p>
<p>退勤時間の少し前、Mから電話があった。「いい物件だ。内装もきれいだし、提示価格も悪くない。でももう少し値引きができると思う。交渉を任せてもらえるか」こちらは元よりそのつもりだったので、迷わず承諾した。約10％引きの金額を逆提案することになった。<br />
翌日午前中、またMから電話。2％引きを提案してきたので8％引きを逆提案したいとのこと。念のためこちらから、10％引きをそのまま主張できないか尋 ねてみたが、「どうしても10％引きを要求し続けたいなら従うが、無理な値引きを要求すると決裂させるおそれがある」とのアドバイスに従い、Mの方針に従 うことにした。<br />
その日の夕方、またMから電話。「先方が4.5%引きを提案してきた。かなり譲歩してきたようなので、この提案を受け入れることを勧めるよ」　そう言われると受け入れないわけにはいかない。「OK。承諾。その値を受け入れる」</p>
<p>こうして、あれよあれよという間に、家の買値が決まった。筆者と同僚Jの素人二人がかりでは、とても動きそうになかった家の売値が、職場で電話に対応し ているうちに決まってしまった。あまりのあっけなさに、もしや出来レースでは？と疑いたくなる気持ちもあったが、Mの不動産屋に支払う手数料は値引き幅に くらべるとかなり小さいことは間違いない。交渉力のある大手不動産屋のおかげでいい取引ができたと、気分よく交渉の結果を受け入れることにした。</p>
<p>翌週Mが自宅に訪ねてきた。これまで数度の電話とメールのやり取りで、初対面とは思えなかった。あらかじめメールで送られていた、購入手続き等代行依頼 契約を結ぶのが主目的だが、その時点でこちらが抱えていたいくつかの疑問や不安にも、回答やアドバイスを与えてくれた。一時間ほどのミーティングの後、筆 者と妻の二人分のサインの入った書類を持ってMは帰って行った。<br />
ローン仲介業者HにもMから交渉後の金額が伝わっており、その金額にしたがって、ローン借入額と利息支払い計画を決定した。また、ローン審査に必要な書類（滞在許可証、労働許可証、給与・雇用証明等）を提出し、あとは手付け金を用意するのみというところまで漕ぎつけた。</p>
<table width="340" border="0" align="left">
<tbody>
<tr>
<td align="left" valign="middle"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu14-2.jpg" alt="" width="320" height="240" /><br />
<span>▲“Restraunt de Notaris”＝「レストラン公証人」<br />
アルクマールのチーズ計量所広場にある。<br />
本文とは関係ないが、ここの料理は美味い。<br />
<a href="../../../worldeye/greetings/episode05.html">ヤノケイ編集長の表敬訪問</a>の際にも、ここにお連れした。<br />
</span></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>ローン審査に無事合格すると、物件価格の10%の手付金を振り込むよう、Mから指示があった。振込先が見慣れぬ名前だったので、売主の口座かと尋ねると、オランダ語でnotaris 英語でnotary、とにかく取引の仲介者だという。<br />
notaryを英和辞書で調べてみると、公証人、とある。ヨハン・シュトラウスの喜歌劇「こうもり」には「公証人ファルケ」という人物が登場する。ある いは1990年代に某カルト団体によるテロ行為の標的とされた方が公証人だった。恥ずかしながら筆者の知識にある「公証人」とはこの程度のもので、これま での人生で全く縁のない存在だった。<br />
日本では不動産取引には司法書士が立ち会ったが、字面から推測して、公証人も同じようなものかと、生返事で自分を納得させた。</p>
<p>そういえば日本で中古住宅を取引したときは、手付金は直接買手から売主に支払われた。仮契約時に不動産屋店舗で書類に署名捺印をし、現金または小切手で 手付金は手渡された。この際司法書士は立ち会わなかった。本契約は買手側の取引銀行の会議室を使い、そこで司法書士が初めて登場した。支払い明細は不動産 屋が作成し、進行を取り仕切ったのも不動産屋だった。<br />
今回の取引では、どうやらこの公証人が一切を取り仕切るようだ。双方の不動産屋の立場が対等なので、中立者が取り仕切る必要があるが、書類作成が主任務の司法書士と違って、裁定権がありそうな公証人がこの任に当たるらしい。<br />
残金の支払い明細が送られてきたのも、公証人からだった。売買契約や抵当権設定の契約も、公証人の事務所で行われる。現金の流れも、公証人が手付金を保 証金の名目で一時的に預かり、本契約時に売買代金として一括で売主に支払われる。一時預け分は利息も定期預金での標準利息(年約2.5%)が日割りで計上 される。不動産屋への支払いも、公証人経由で支払われるので、主導権は完全に公証人にある。</p>
<table border="0">
<tbody>
<tr>
<td valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu14-3.gif" alt="" width="600" height="425" /><br />
<span><span>▲個人間における不動産取引時の現金の流れ</span></span>&nbsp;</td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>さて、不動産取引における現金の流れの日蘭の違いを図にまとめてみた。オランダの場合は、取引の主導権は公証人にある。公証人が、取引に必要な全ての条 件―――買手が現金を準備したことも含め―――が成立したことを確認して、初めて現金が売主に渡され、物件の権利が買手に渡される。万一その場で不備が発 見されれば、取引の不成立や、然るべきペナルティ等が公証人によって裁定される。いずれにせよ、取引成立の最終責任は、政府から権限を委任された公証人に ある。<br />
一方、日本はどうか。一見、不動産屋が取引を仕切ってはいるが、取引成立の決断を下すのは売主および買手で、不動産屋と司法書士は最終責任を負わない。 万一不動産屋や司法書士が誤りを犯し、売主買手双方がそれに気付かなかった場合、責任の所在が曖昧になるように思われる。<br />
どちらが是でどちらが非とは言わない。司法書士の方が公証人に比べ社会的なコストが低いなどの利点もあろう。ただ、オランダの場合、不動産売買が気軽に 行える一方、取引の最終局面でしっかりとした仕切りを設けているように思える。日本の場合は、不動産屋が信頼できる存在であることが何より大切なように思 える。<br />
契約重視社会（オランダ）と信用重視社会（日本）の違いが垣間見えたような気がする。</p>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>オランダで家を買う《5》vs.売主側不動産屋 (2007年6月23日)</title>
		<link>https://www.rikuryo.or.jp/world_eye/nederland/?p=53</link>
		<comments>https://www.rikuryo.or.jp/world_eye/nederland/?p=53#comments</comments>
		<pubDate>Sat, 23 Jun 2007 14:27:34 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[3 オランダで家を買う]]></category>
		<category><![CDATA[太陽電池と「低い国」と]]></category>

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		<description><![CDATA[&#160; ▲アルクマールの不動産屋【その2】&#160; 同僚Jは不動産屋を前に困惑していた。交渉の初めの2, 3分は筆者も交えて英語だったが、その後Jと不動産屋の会話はオランダ語になった。質問を重ねるJ、首を横に振 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>&nbsp;</p>
<table width="340" border="0" align="RIGHT">
<tbody>
<tr>
<td align="RIGHT" valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu13-1.jpg" alt="" width="320" height="240" /><br />
<span><span>▲アルクマールの不動産屋【その2】</span></span>&nbsp;</td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>同僚Jは不動産屋を前に困惑していた。交渉の初めの2, 3分は筆者も交えて英語だったが、その後Jと不動産屋の会話はオランダ語になった。質問を重ねるJ、首を横に振る不動産屋、確認の質問をするJ、肯定する 不動産屋…。しばらくの問答の後、Jが筆者に英語で説明をした。<br />
曰く、「彼は売主に雇われた不動産屋だから、買手のためには働かない。」「彼が手数料を貰うのは売主からのみであり、買手からは一銭ももらわない。」 「売主の利益を考えれば、提示価格から一銭も引くつもりはない。一週間以内に買うかどうか返答して欲しい。次の客が待っている。」「『買手側の不動産屋』 を雇うのはそちらの自由だが、値引きに応じるかどうかは別問題である。」　横で聞いている不動産屋はもちろん内容を理解し、Jが説明するたびに一々首を縦 に振っていた。<br />
ここでJが音を上げた。彼は筆者と同様、太陽電池の研究者であり、不動産取引は全くの素人である。プロを相手に、責任のある交渉役を務めることはできな いのは当然だ。筆者に残された選択肢は、現在の提示価格を受け入れるか、「買手側の不動産屋」を雇うか、この物件を諦めるかの3つにひとつだった。</p>
<p>さてここで、日本の中古住宅の取引形態について思い出してみよう。一般的には、売主から依頼を受けた不動産屋が広告を出し、それに反応してきた買手が売 主と直接値段や条件の交渉をする。不動産屋は売主と買手の双方から手数料を取り、その額は多くの場合法律で定められた上限で、一般に取引価格の3％程度で ある。売主と買手の不動産屋が別の場合もあるが、筆者が日本で経験した中古住宅の売買では、何れも一つの不動産屋が売主・買手の双方から手数料を取った。</p>
<table width="440" border="0" align="right">
<tbody>
<tr>
<td align="right" valign="middle"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu13-2.gif" alt="" width="400" height="140" /><br />
<span><span>▲仲介不動産会社の交渉過程</span></span>&nbsp;</td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>オランダの場合、不動産取引において、一つの不動産屋が双方から手数料を取るのはご法度らしい。手数料の上限は定められているが、顧客獲得のために手数 料を値引きするのは業者の自由裁量。消費者にしてみれば、交渉力や信頼性を基準に選ぶか、手数料の安さで選ぶか、自己の判断に委ねられている。<br />
買手側に付く不動産屋が取る手数料は、定額制を謳っている場合が多い。顧客に代わって値引き交渉を請け負うわけだから、手数料が取引価格に対して定率で あれば、実入りが減ることになる値引き交渉に身が入るわけもない。顧客にしても、定額制の方が余計な気遣いなしに値引き交渉を委ねられる。もちろん、支払 いは交渉が成立した場合のみであり、買手側の不動産屋にすれば、交渉成立へのモティベーションは高い。<br />
売主と買手が一つの不動産屋を通して、手数料を取引価格の定率として取引をすると、売主と買手の直接交渉に任せるとはいえ、仲裁者たる不動産屋の利害は 売主寄りで、取引価格は高めに維持されがちである。一方、売主と買手がそれぞれ別の不動産屋を雇い、しかも買手側不動産屋の手数料が取引価格に左右されな いとなると、買手側にもかなりのチャンスが巡ってくる。双方の不動産屋の力量次第といったわけだ。また、売主側は、値引き交渉を予想した高目の提示価格を 設定していて、値引き交渉がなければ買手にとって損な取引になる可能性もある。</p>
<p>話を戻そう。</p>
<p>この時点で筆者は、まだ買手側が不動産屋を雇う必要性について十分理解していなかった。Jもあまり積極的には見えなかった。後でわかったことだが、彼は必要性は理解していたものの、いい不動産屋を筆者に紹介できるかどうかに自信がなかったのだそうだ。<br />
何れにせよ、筆者には考える時間が必要だった。また、この後のローン仲介業者との約束の時間も近づいてきていた。とりあえずその場では一週間の猶予を貰うことにし、次の予定へと向かった。</p>
<table width="340" border="0" align="LEFT">
<tbody>
<tr>
<td valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu13-3.jpg" alt="" width="320" height="240" /><br />
<span><span>▲アルクマールのローン仲介業者【その2】</span></span>&nbsp;</td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>ローン仲介業者は、同僚Jの友人からの紹介である。Jと二人でローンの仕組みについて色々と説明を受けた。筆者ももちろん質問はしたが、Jが的確な質問 をいくつか重ねてくれたおかげで、制度に対する筆者の理解が円滑に進んだ。前回や前々回の連載で述べた、オランダ住宅ローンに関する基礎知識の多くは、こ のときに学んだものである。<br />
話が現在検討中の物件まで進むと、仲介業の担当者Hは、交渉の様子を尋ねてきた。そこで筆者が買手の不動産屋を雇う是非について意見を求めたところ、H は、買手側も不動産屋を雇ったほうが、色々有利な点があるというのだ。多くの業者が定額パッケージで、値引き交渉を代行してくれるだけでなく、取得から入 居にまつわる様々な手続きも代行してくれるらしい。オランダ語ができない筆者にとって、これら代行作業は多くのストレスを取り除いてくれるし、オランダ語 ができないからと言って、追加料金を取られることもない。</p>
<table width="340" border="0" align="RIGHT">
<tbody>
<tr>
<td align="RIGHT" valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu13-4.jpg" alt="" width="320" height="240" /><br />
<span><span>▲アルクマールの不動産屋とローン仲介業者【その3】<br />
隣同士にある両店。ここも提携関係？</span></span>&nbsp;</td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>同僚Jは、お薦めの業者はないか尋ねた。ネットで検索すると、安いところから高いところまで様々なところがあり、値段だけは明確だが、信用できるのかどうか、全くわからない、とこぼした。彼は事前に買手側の不動産屋についてもある程度情報を集めていたわけである。<br />
仲介業者Hは、ニヤリと笑い、「実は我々は大手不動産の某社と提携している。我々を通してローンの契約をすれば、通常の約4割引の手数料で利用できる」 と言うのだ。なるほど、世の中は一般消費者の見えない舞台裏で、こうして繋がっている。とはいえ、この不動産屋の手数料は、値引きなしでは高いほうの部類 だったが、値引き後はけっこう買い得な値段だった。激安店に比べると少々高い目だが、値引き後の手数料が物件価格の約0.7％、悪くない選択に思えた。少 なくとも、日本の不動産屋に比べれば激安である。<br />
「興味があるなら、そこのアルクマール支店を訪ねるといい。私の名前を出せば、割引料金が適用されるから。」Hがそう語るのを聞いた後、いくつかのローン返済パターンの提案をもらい、仲介業者を後にした。</p>
<p>実りのある半日だった。一気に多くの情報が入ってきたが、これもJが同伴してくれたおかげである。既に時間は5時に近く、件の大手不動産屋を訪ねるには少し遅かった。その不動産屋への訪問は翌日以降の課題となった。</p>
<div>Last Update: Jun.23,2007</div>
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		</item>
		<item>
		<title>オランダで家を買う《4》家探し、そして助っ人 (2007年5月23日)</title>
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		<pubDate>Wed, 23 May 2007 14:26:24 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[3 オランダで家を買う]]></category>
		<category><![CDATA[太陽電池と「低い国」と]]></category>

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		<description><![CDATA[&#160; インターネットの便利さは、筆者から改めて述べるまでもないが、見知らぬ土地での日々の生活情報の収集や、海外にいながらにして日本の情報にも常に敏感でいられるのは、インターネットのおかげである。 最初の社宅は生活 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>&nbsp;</p>
<p>インターネットの便利さは、筆者から改めて述べるまでもないが、見知らぬ土地での日々の生活情報の収集や、海外にいながらにして日本の情報にも常に敏感でいられるのは、インターネットのおかげである。</p>
<table width="260" border="0" align="RIGHT">
<tbody>
<tr>
<td align="RIGHT" valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu12-1.jpg" alt="" width="240" height="320" /></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>最初の社宅は生活に必要なものは何でも揃っていたが、電話とネット接続だけは自分でアレンジしなければならなかった。電話は申し込みから約1週間で繋 がったものの、同じ電話会社に依頼したADSL回線は銀行口座が開設できないと申し込み自体ができなかった上、さらに6週間待たなければ回線は繋がらな かった。ネット接続キットは申込直後に送られてきたものの、6週間後の繋がっているはずの期日が過ぎても、繋がったという通知は来なかった。接続キットを 物理的に接続し、通知されたIDやパスワードを入力してみても、接続している様子は見られなかった。<br />
痺れを切らして申し込みを受け付けた店に出向いてみると、自分で電話をして問い合わせろという。言われた番号に電話すれば、オランダ語を喋る自動応答電話、もうお手上げと言った感じであった。<br />
こうなれば自分の勘に頼るしかない。出荷時の初期設定での接続をあきらめ、可能性のありそうな設定で試行錯誤を繰り返すこと数時間、ようやく接続を確認 できる設定を発見した。この設定は、接続キットの説明書に、図解なしの文章のみで記述があったことを後で知ったが、オランダ語を解さない外国人には何とも 不親切なことであった。</p>
<p>ADSL回線が繋がるまでの2ヶ月弱は、情報砂漠に置かれたような状態だった。緊急の案件は職場で割り当てられた端末で間に合わせていたが、自宅で自由 にインターネットを使えない不便さは痛切だった。その後、同じ回線業者を維持したままで引越したときは、引越当日に回線切り替え作業も完了していたが、別 の業者への乗換えを企図したときは、同様に申込から数週間待たねばならなかった。<br />
新生活のスタート時は最も情報に飢えていて、インターネットでの情報収集が最も渇望されるときである。しかし現実はその時期に自由なインターネット接続を得るのは難しいようである。</p>
<p>少し横道が長くなったが、手痛い経験談として、後に続く人―――いるかどうかはわからないが―――の参考になればと思い、記しておくことにした。</p>
<table width="340" border="0" align="LEFT">
<tbody>
<tr>
<td valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu12-0.jpg" alt="" width="320" height="240" /><br />
<span><span>▲アルクマール旧市街地中心部の商店街</span></span>&nbsp;</td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>さて、家探しである。<br />
オランダの不動産情報、特に売家の情報は、<a href="http://www.funda.nl/" target="NEW">www.funda.nl</a> に殆んど網羅されている。このサイトのことは、日本を出る数ヶ月前に集めた情報で知っていたが、オランダ語のみ英語なしのサイトなので、日本を出る前は素通りするのみ、渡航後賃貸を探す際にも、このサイトのことは記憶の彼方に追いやられたままだった。<br />
売家探しを始めたことを同僚知人に伝えると、皆が口を揃えてこのサイトを薦めた。オランダに住み始めて半年と少し、今さらオランダ語サイトだからと言って敬遠してはいられない。<a href="http://www.amazon.co.jp/%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E3%82%AA%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%80%E8%AA%9E%E8%BE%9E%E5%85%B8/dp/4061548018/ref=pd_bbs_sr_3/250-2130914-5518644?ie=UTF8&amp;s=books&amp;qid=1179415310&amp;sr=8-3" target="NEW">辞書</a>や<a href="http://world.altavista.com/" target="NEW">翻訳ウェブサイト</a>の助けを借り、探索を開始した。<br />
なるほど、さすが不動産売買が気軽に行える国である。サイトの利用者も多いのであろう。多くの物件が売りに出されていることがよくわかるし、何よりサイ トが使いやすい。物件の詳細情報や売買価格は当然のこと、ローンの利払いシミュレータまで用意されていて、どの価格帯をターゲットにするべきかをたちどこ ろに理解することができた。</p>
<table width="320" border="0" align="RIGHT">
<tbody>
<tr>
<td align="RIGHT" valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu12-2.jpg" alt="" width="300" height="225" /><br />
<span><span>▲近所の歩いていけるスーパーマーケット</span></span>&nbsp;</td>
</tr>
<tr>
<td align="RIGHT" valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu12-3.jpg" alt="" width="300" height="225" /><br />
<span><span>▲少し離れたところにある大型スーパーマーケット<br />
自転車で10～15分ぐらいで行ける。</span></span>&nbsp;</td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>このサイトの助けを借りて、通勤・通学・日々の買い物に便利で、落ち着いた環境・程々の広さという条件で、候補を数件に絞り込み、それぞれの連絡先である担当の不動産屋にメールを入れた。こちらからメールする場合の言語はもちろん英語である。<br />
返信のあった物件に関して指定された面会日は、あいにく筆者の日本出張の時期と重なったが、一人で出向いた妻の見立てで、最も気に入った物件を第一候補 とし、担当の不動産屋に伝えた。その物件に関しては、先着の客が交渉中であったが、交渉の成り行きはあまり芳しくない様子で、不調に終われば筆者らとの交 渉に入れるとのことであった。<br />
ここで筆者が出張から戻るまでの時間的猶予ができたものの、その後は価格を巡って不動産屋と駆け引きをしなければならなくなった。こちらも不動産取引の 英語に通じていない上に、相手方もオランダ語が喋れない相手と取引した経験はほとんどない。いくら英語が堪能なオランダ人たちといえど、一般消費者相手の 商売では英語で取引する機会はあまりない。商取引は原則母語を使うのである。</p>
<p>ここまで何とか自分達だけでやってきたが、言語の問題や、習慣の違いを乗り越えて、相手方と直接交渉するには限界がある。味方になってくれるオランダ人 の助っ人が必要だ。そこで、職場で机を並べる同僚Ｊに手伝ってもらうことにした。彼は筆者より一回り以上年上で、公私共に多忙にもかかわらず、何かと筆者 や家族に世話を焼いてくれていた。彼にこれ以上時間を割いてもらうのは悪いと思い、家探しの件では頼るのを遠慮していたのだが、誰かに頼らざるを得ないと なれば、頼るのは彼しかいない。事情を話すと快諾してくれたのは言うまでもない。<br />
Ｊはいくつかの手法を使って、提示された価格が適正か調べてくれた。また、住宅ローンを組むに当たって、ローン仲介業者に依頼することを薦めてくれた。</p>
<table width="340" border="0" align="LEFT">
<tbody>
<tr>
<td valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu12-4.jpg" alt="" width="320" height="240" /><br />
<span><span>▲不動産屋（makelaar）は、こんな感じ</span></span>&nbsp;</td>
</tr>
<tr>
<td valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu12-5.jpg" alt="" width="320" height="240" /><br />
<span><span>▲ローン仲介業者（hypotheek shop）は、こんな感じ</span></span>&nbsp;</td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>実は筆者は以前から街中に多くのローン仲介業者（hypotheek shop）があることに、一種の胡散臭さを感じていた。銀行に寄生してローン仲介の手数料を取ること生業とする彼らに、いかがわしさを感じていたのかもし れない。消費者の立場としては、銀行に直接ローンの立案を依頼すれば、仲介の手数料もかからず安くつくはずなのに。そんな風に彼らの商売を捉えていた。<br />
ところが、意外なことに、消費者側からはローン仲介業者に対して手数料を支払う必要は一切なく、銀行に直接依頼しようが仲介業者を通そうが、消費者の負 担に大差はないというのだ。むしろ、仲介業者の方が顧客の事情に応じたきめ細かなプランが提案できるので、消費者は満足感が得られるサービスとともに、金 銭的にも得をする場合が多いというのだ。仲介業者から十分説明を受けた上で提案されたプランであっても、それが気に入らずに仲介業者を変えても消費者側の 財布は痛まない。不動産売買が気軽に行われるだけあって、ローンの相談も気軽に行えるのだ。銀行サイドにも、ローン立案人を社員として雇うより、ローン仲 介業者への外注の形で扱うほうが、経営上有利な点が多いようだ。</p>
<p>そんなこんなで、上述の第一候補の物件の先客は交渉不調で撤退し、筆者らにお鉢が回ってきた。不動産屋への面会と、同僚Ｊが探してくれたローン仲介業者への面会を同じ日に設定し、同僚Ｊとともに不動産屋の待つ物件へと向かった。</p>
<div>Last Update: May 23,2007</div>
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		<title>オランダで家を買う《3》線路通り145番地 (2007年4月25日)</title>
		<link>https://www.rikuryo.or.jp/world_eye/nederland/?p=42</link>
		<comments>https://www.rikuryo.or.jp/world_eye/nederland/?p=42#comments</comments>
		<pubDate>Wed, 25 Apr 2007 14:22:20 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[3 オランダで家を買う]]></category>
		<category><![CDATA[太陽電池と「低い国」と]]></category>

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		<description><![CDATA[&#160; ▲アルクマール駅から見た「線路通り」&#160; 9月の半ばには日本からの全ての荷物も到着し、下旬には引越を完了、しばらくしてほぼ生活も落ち着いた。近所の人とはさほど深い付き合いはできなかった が、通りや裏 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>&nbsp;</p>
<table width="340" border="0" align="RIGHT">
<tbody>
<tr>
<td align="RIGHT" valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu11-1.jpg" alt="" width="320" height="256" /><br />
<span><span>▲アルクマール駅から見た「線路通り」</span></span>&nbsp;</td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>9月の半ばには日本からの全ての荷物も到着し、下旬には引越を完了、しばらくしてほぼ生活も落ち着いた。近所の人とはさほど深い付き合いはできなかった が、通りや裏庭で顔を合わせれば、にっこり笑って挨拶を交わし、不在時に届いた小包を預かってもらうぐらいの間柄ではあった。オランダ語を話さない筆者達 では付き合いが浅いのは止むを得ないが、小さい子供連れというおかげもあって、みな愛想よく付き合ってくれた。</p>
<p>筆者が契約した賃貸住宅は、Spoorstraatという通りに面している。駅の正面玄関から旧市街の裏口方面に伸びる、自動車の通行制限のある通りで ある。アルクマール駅自体は旧市街から少し離れたところにあり、旧市街の正面口は線路にほぼ平行に走るStationwegという道………バス通りでもあ る………に繋がるので、Spoorstraatは駅からのメインストリートというわけではない。駅前という言葉から想像するほどの喧騒でもなかったが、比 較的人通りの多い道ではあった。</p>
<p>Stationwegは英語にするとStation Way、すなわち、駅前筋、ということになる。SpoorstraatはTrack Street、あえて訳すと、軌道通り、又は、線路通り、と言ったところか。駅の1番線、2番線のことを、Spoor 1、Spoor 2と表記するので、「線路通り」と呼ぶことにしよう。</p>
<p>駅の目と鼻の先に住むことは、筆者たちにとって初めての経験だった。駅前の通勤バス発着場が近くて便利なのはもちろん、毎週土曜日の、アムステルダム日本語補習校への電車通学にも、駅前という環境は好適だった。大きな荷物を抱えた旅行も楽なものだった。</p>
<table width="340" border="0" cellpadding="10" align="LEFT">
<tbody>
<tr>
<td valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu11-2.jpg" alt="" width="320" height="267" /><br />
<span>▲アルクマール駅前のコーヒーショップ<br />
筆者の知る限り、アルクマールにはコーヒーショップはこの一軒しかない。アムステルダムに数限りなくあるコーヒーショップに比べると雰囲気もおとなしい。<br />
</span></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>一方で、交通の便と引き換えに、駅前の混雑は様々な不愉快を伴う。家の前は人通りが絶えないし、たとえ車の進入が制限されているとはいえ、かなりの頻度 で車が通る。すぐ近所には、大麻が合法的に購入できる店、いわゆる「コーヒーショップ」（※喫茶店ではない。喫茶店は「カフェ」）があり、そこの客たちで あろうか、夜遅くまで騒がしいこともしばしばであった。</p>
<p>1月のとある日曜の夜遅く、コーヒーショップの客と思しき20歳ぐらいの酒臭い男二人が、筆者の家の呼び鈴をしつこく押したことがあった。いくら帰れと 言っても帰らないので警察に電話した。警官は10分弱で到着したが、不逞の輩は既に立ち去っていた。連中が再来しないか不安はあったが、この程度のことで も警官は迷惑がる様子を見せず事情を聞いてくれたので、いくぶん気持ちは落ち着いた。</p>
<table width="340" border="0" align="RIGHT">
<tbody>
<tr>
<td align="RIGHT" valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu11-3.jpg" alt="" width="320" height="240" /><br />
<span><span>▲アルクマール警察</span></span>&nbsp;</td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>この事件は、この「線路通り」の家をできるだけ早く出ようと決心した、直接的なきっかけになった。分不相応に高い家賃、思った以上に冷え込む足元、不具 合を報告してもなかなか対応してくれない管理人など、それまでにもいくつか不満を抱えていたが、この事件のインパクトは大きかった。</p>
<p>すぐにでも新しいところを見つけて出て行きたい気持ちではあったが、1年間の賃貸契約をこちらの都合で切り上げても、既に前払いした1年分の家賃は返っ てこない。全額前払いを条件に賃料を値引きさせた早計を、今さら悔やんでも仕方がない。そんなわけで、「線路通り」の家は半年も経たぬうちに見切りをつけ たものの、残りの半年強を使って、じっくりと次に住む家を探すことに決めた。</p>
<p>その頃になると、オランダの住宅取引形態への理解もだいぶ進んできた。日本と決定的に違うところは、住宅を土地と家屋と一体として評価するところであ る。日本では、土地の価値と家屋の価値が別個に評価され、木造であれば築20年、鉄骨であれば築50年で、減価償却により家屋の資産価値が消滅することに なっている。ところが驚くべきことに、オランダの家屋は減価償却方式では評価されず、家屋を含めた住宅の価格は、ほとんどが右肩上がりで推移していくので ある。<br />
日本の住宅家屋の評価制度にも、償却年数が短すぎるなど、問題は多々あるとはいえ、オランダでは家屋が減価償却の対象外になるとは思いも寄らなかった。この事実を知ったときには、同僚たちに片っ端から確認して回ったほどである。</p>
<p>確かに、新築現場や解体現場を見かける頻度は、日本より低かったかも知れない。線路通りの家も築100年、以前住んでいた社宅も築40年、見かける家々 もそれなりの年数を経たものが多いが、もちろん新築に近いものもある。強風に晒される気候とはいえ、台風や地震と言った激しい自然災害に見舞われることが ないこの国では、家屋は感覚的に半永久に近いものなのだ。<br />
そして、この評価制度は、住宅ローンの設計方法にも大きな影響を与えている。</p>
<table width="380" border="0" align="RIGHT">
<tbody>
<tr>
<td align="RIGHT" valign="top"><span>▼日本とオランダの「住宅ローン」の違い<br />
</span> <img src="../../../worldeye/nederland/komatsu11-4.jpg" alt="" width="360" height="340" /></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>日本では、家屋が減価償却することもあって、住宅ローンを組むときには、原則35年以内に元金を完済する計画を立てなければならない。家を購入するとなると一大事、数十年先を見越して、毎月コツコツと利息を支払い元金を返済する計画を立てることになっている。<br />
一方オランダでは、その住宅のもつ資産価値の75%以内については、元金を返済しなくてよい。少ない頭金で家を購入し、利息だけを払い続けるのも可能だ。銀行を家主として、銀行に家賃を払っているのと同じようなものだ。このおかげもあってか、家の売買は実に気軽である。</p>
<p>銀行にとっても、住宅は安全確実な担保物件のようで、数年に一回の評価額と利率の見直しがあるものの、安定した収入源と見なされているようだ。もちろん銀行間での顧客獲得競争のおかげで、利率は理にかなったレベルに抑えられている。</p>
<p>家は借りるより買うほうが安く、永住権のない外国人でも簡単に家を買うことができる秘密は、こういうところにあったのである。</p>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>オランダで家を買う《2》賃貸住宅への途(みち) (2007年2月23日)</title>
		<link>https://www.rikuryo.or.jp/world_eye/nederland/?p=37</link>
		<comments>https://www.rikuryo.or.jp/world_eye/nederland/?p=37#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 23 Feb 2007 14:19:58 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[3 オランダで家を買う]]></category>
		<category><![CDATA[太陽電池と「低い国」と]]></category>

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		<description><![CDATA[オランダに到着して以来、仕事や生活への適応を図る一方で、社宅の次の住居を探すことが重要な課題となった。ただ、最初の一ヶ月は、生活をするための基 本的な情報収集や、子供の学校への対応などで手一杯で、なかなか家探しのために時 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>オランダに到着して以来、仕事や生活への適応を図る一方で、社宅の次の住居を探すことが重要な課題となった。ただ、最初の一ヶ月は、生活をするための基 本的な情報収集や、子供の学校への対応などで手一杯で、なかなか家探しのために時間と労力をかけることができなかった。学校の夏休みが始まれば本格的に乗 り出そうと、心の準備だけはしておいた。</p>
<p>職場や子供の学校、近所の人と、次々に新しい知人が増えていった。そのたびに、今は社宅に住んでいて、12月までに自分で家を見つけて出て行かなければ ならないことを、自己紹介がてら説明した。ほとんどの知人たちが、「じゃあどうするの、買うの？借りるの？」と聞いてきた。<br />
日本では永住権のない外国人がローンを組んで家を買うのは非常に難しいが、当時の筆者も似たような感覚で、家を買うことは選択肢に入っていなかったので、「とんでもない、借りるつもりです」と返答すると、「借りるのは高いよ、買ったほうが安いよ」と忠告された。</p>
<table width="600" border="0" cellspacing="0" cellpadding="0">
<tbody>
<tr>
<td valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu09-1.jpg" alt="" width="300" height="225" /><br />
<span>▲TE HUUR＝入居者募集中</span></td>
<td valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu09-2.jpg" alt="" width="300" height="225" /><br />
<span>▲TE KOOP＝売出し中</span></td>
</tr>
<tr>
<td valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu09-3.jpg" alt="" width="300" height="225" /></td>
<td valign="top"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu09-4.jpg" alt="" width="300" height="225" /></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>オランダでは、賃借人募集中の家の窓には“TE HUUR”と書いたポスターが掲げられ、売り出し中の家には“TE KOOP”と書いたポスターが掲げられる。確かに、街中を見回すと、“TE KOOP”の付いた家はよく目にするものの、“TE HUUR”の付いた家は稀にしか目に付かず、賃貸の扱いがかなり少ないことに気がついた。不動産屋店頭に貼り出された住宅情報も、ほとんどが“TE KOOP”のものだった。<br />
ただ、購入するとなると、必要な手続きの量は賃貸の比ではない。口頭での会話はどのオランダ人も英語を使いこなすものの、紙に書かれたほとんどの情報 や、ほぼ全ての手続きがオランダ語でなされることは、予想していたこととは言え困惑を誘うものだった。永住権のない外国人でも家を買うのは難しくない、と 同僚や知人は教えてくれたが、意味のよくわからないオランダ語の書類の山に署名しなければいけないことに気が進まず、簡単な賃貸契約だけで事を済ませた い、という気持ちが支配的だった。しかし、賃貸を見つけるのも決して簡単な作業ではないということも、心の重荷になっていた。</p>
<table width="320" border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" align="right">
<tbody>
<tr>
<td align="right"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu09-5.jpg" alt="" width="300" height="225" /><br />
<span>▲ローハウス　一番右が問題の物件</span><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu09-6.jpg" alt="" width="300" height="225" /><br />
<span>▲問題の物件から見たアルクマール駅</span></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>そんなころ、子供の同級生の父親から声を掛けられた。近いうちに今住んでいる賃貸を出るのだが、よかったらそのあとに住まないか、と。アメリカ人男性と オランダ人女性の夫婦で、前年11月にアメリカから移ってきたという。郊外に最近一戸建てを買ったが、賃貸契約は10月まで残っており、できれば早くに一 戸建てに移りたいようだった。筆者らの状況に同情してくれたこともあるが、自力で次の入居者を見つければ、契約を短縮して賃料が節約できる狙いもあったの かも知れない。<br />
場所は学校から歩いて2分ほど、駅からはさらに近く、駅の正面口から1分かからないところにあった。賃料はこちらの予算枠をかなり超えていたが、学校にも駅にも近いのは魅力だった。<br />
夏休み前の日曜日に招き入れてもらったその家は、典型的オランダ住宅で、築100年のローハウス（長屋のように両隣と隙間なく何軒も繋がっている家のう ちの一軒）だった。玄関は表通りに面しており、3階建て約135平米、さらに裏庭と物置があった。1階にキッチンと居間、2階にバスルームと寝室が2室と 小部屋、3階の屋根裏にも寝室が2室と物置という間取りであった。筆者の家族には、広さも立地も少しオーバースペックだった。</p>
<p>ところで、航空便で依頼した引越荷物はなかなか届かなかった。引越会社の確認漏れだったのだが、簡単な通関手続きで輸送できる重量を大きく超過していた のが原因だった。当初、航空便は一週間以内に届くと聞いていたのだが、それは一定重量以下の場合だけ適用されるということが、後になってわかった。欲張っ てすぐ使わない余計なものまで詰め込んだのが徒になったのである。<br />
結局、住民登録や仮の滞在許可証などの書類がないと、航空便荷物は日本を発つことすらできず、到着したのは日本を出て25日ほど経ってからだった。その間、スーツケースの荷物だけで凌いできたが、航空便荷物の届くのがどれほど待ち遠しかったことか。</p>
<table width="320" border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" align="left">
<tbody>
<tr>
<td><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu09-7.jpg" alt="" width="300" height="225" /><br />
<span>▲段ボール箱の内容品リストの束</span></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>ところが、目一杯詰め込んだ航空便だったが、開いてみると本来入っているべき荷物がないことに気がついた。航空便・船便と、荷物を分類して梱包する作業 は基本的には引越会社の作業員の仕事だった。なぜなら、税関を通るには、全てのダンボール箱の内容物の概要と大よその価値が表記されている必要があるの で、素人である客が勝手に梱包しては、通関時のトラブルの元になるからである。<br />
筆者と筆者の妻は、荷物の分類の指示と、梱包後の各箱の価値の算出に専念していた。引越会社の作業員はベテラン揃いで手際が良すぎるほどで、筆者達は彼 らのペースに追いつくのが精一杯、右往左往しながら指示を出していた。そのような状況では、航空便と船便の分類で多少の間違いが起こっても仕方のないこと であった。</p>
<p>航空便に入るべきだった荷物は、なくても凌げるが、できれば手に入れておきたいものだった。賃貸を契約すれば日本からの出港にゴーサインを出すことがで き、ほぼ6週間後に荷物を手に入れることができる。一方で、米人蘭人の夫妻を10月まで待たせて11月からの契約とすれば、家賃や光熱費のかからない社宅 暮らしを2ヶ月間長く続けることができる。あるいは、もう少し狭くて不便かも知れないが、もっと安い賃貸住宅を探すという選択肢もあった。</p>
<table width="320" border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" align="right">
<tbody>
<tr>
<td align="right"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu09-8.jpg" alt="" width="300" height="225" /><br />
<span>▲駅の裏手にある風車</span></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>いろいろな迷いがあったが、よりシンプルな答えを2か月分の家賃と引き換えに手に入れることにした。社宅暮らしで中途半端に荷物を保留しておくより、積 み出し時の記憶が残っているうちに全ての荷物を入手してしまったほうがいいと思った。新たに賃貸住宅を探し始めるのも億劫だった。米蘭夫妻の契約を2ヶ月 切り上げる形で、9月1日入居の契約を取り交わした。契約書はオランダ語だったが、重要事項説明書は、不動産会社が英語で書かれたものを用意してくれた。</p>
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		<title>オランダで家を買う《1》始まりは社宅から (2007年1月23日)</title>
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		<pubDate>Tue, 23 Jan 2007 14:19:49 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[3 オランダで家を買う]]></category>
		<category><![CDATA[太陽電池と「低い国」と]]></category>

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		<description><![CDATA[&#160; ▲ECN 年次報告書 ECNのことを、同僚たちは会話の中で“company”と呼んでいる。オランダ語で何と呼んでいるかはよく知らないが、国際的な観点から見たECNの 社会的な位置づけは“research i [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>&nbsp;</p>
<table width="202" border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" align="RIGHT">
<tbody>
<tr>
<td align="RIGHT"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu08-1.jpg" alt="" width="182" height="240" /><span>▲ECN 年次報告書</span></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>ECNのことを、同僚たちは会話の中で“company”と呼んでいる。オランダ語で何と呼んでいるかはよく知らないが、国際的な観点から見たECNの 社会的な位置づけは“research institute”と言うのが妥当なところだ。しかし、日本で言うところの財団法人であるECNの職員は、公的組織の印象のある“institute” より、独立会計で運営している自負からか“company”と称することを好むようだ。また“research institute”というと、多くは教育機関も兼ねており、大学院生やポストドクターが研究の主体であることが多いが、ECNは教育機関を兼ね備えず、 ポストドクター的な雇用も一般的でないことも“institute”とは呼ばない一因かもしれない。<br />
日本では、財団法人や社団法人、社会福祉法人などの職員は、自分の組織のことを「ホウジン」と呼ぶのが一般的なようだ。筆者も日本語の会話においては、 ECNを「ホウジン」と呼ぶべきかも知れない。しかし、会社員の息子として育ち、自身も11年間会社員を経験した身としては、「ホウジン」という言葉は日 常生活用語としては馴染みがない。“company”を直訳した「カイシャ」の方が自然なのだ。そんなわけで筆者は、日常の日本語会話においては、日本に いたときと同様自分の勤め先を「カイシャ」と呼んでいる。</p>
<table width="340" border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" align="LEFT">
<tbody>
<tr>
<td><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu08-2.jpg" alt="" width="320" height="240" /><br />
<span>▲社宅のある9階建てのアパート</span></td>
</tr>
<tr>
<td><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu08-3.jpg" alt="" width="320" height="240" /><br />
<span>▲社宅から南西方向を臨む</span></td>
</tr>
<tr>
<td><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu08-4.jpg" alt="" width="320" height="240" /><br />
<span>▲社宅から北東方向を臨む<br />
眼下には木陰に隠れて運河がある</span></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>ECNとの面接時に就労条件の説明があったとき、「君を雇った場合、君は最初の6ヶ月間“company house”に住むことができる」、と言われた。ECNのことを“company”と呼ぶ事情をまだ正しく理解していなかった筆者は、最初何を言われてい るのかよくわからなかったが、詳しく聞いてみると、住居であることがわかった。つまり「社宅」である。最初は「官舎」と理解したほうが正しいのかと思った が、ECNにおける“company”という言葉の使い方を理解するにつれ、「社宅」という理解がより正しいことがわかった。<br />
ただ誤解のないように付け加えておくと、ECNが職員のために住宅を建てたのではなく、独立した住宅を資産として所有し、新規雇用した職員のために提供しているので、「社宅」と聞いて想像しがちな、近隣住民が全てECNの職員、という状況ではない。<br />
提供される社宅は、一世帯の家族が住むには十分の広さで、ベッドや食卓、ソファなどの家具、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品の他、食器や調理器 具、寝具にタオルなどが用意されるとのことだった。住居費や光熱費は6ヶ月の間はECNが負担し、その間に自前で住居を見つけて退去せよ、との条件もつい ていた。異国の地で生活習慣もわからず、不動産の探し方もわからない外国人にとっては、とてもありがたい条件に思えた。<br />
働き始めの2ヶ月程前、生活基盤の下調べや雇用契約への署名、同僚との顔合わせなどのため、ECNやアルクマールを訪れた際、筆者と家族が住む予定の社 宅を見ることができた。アルクマール駅から旧市街と反対方向に歩いて15分弱、9階建てアパートの7階にその部屋はあった。すぐそばに運河があり、周辺に 緑の多い閑静な地区であった。住居の広さはおよそ85平米、日本風に言うなら3LDKで、家族4人で暮らすには十分な広さといえた。</p>
<p>当面住むところも決まり、引っ越しの準備に取り掛かった。日本で住んでいた持ち家は売りに出すことにし、家財道具も全てオランダに運ぶことにした。持ち 家を残しておく選択肢、あるいは一部の家財を実家に残しておく選択肢もあったが、ECNが引っ越し費用を全額負担してくれることもあり、全てをオランダに 送ることにした。<br />
問題は、既に家具が備え付けられた社宅には、日本で使っている寝具や食卓などの家具を置くスペースがないことであった。しかし、社宅は6ヶ月以内に退去しなくてはならず、その後の住居には必ずこれらの家具が必要になる。そこで、引っ越し荷物を3つに分けることにした。</p>
<table width="340" border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" align="RIGHT">
<tbody>
<tr>
<td align="RIGHT"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu08-5.jpg" alt="" width="320" height="240" /><br />
<span>▲船便は容積で金額が決まる</span></td>
</tr>
<tr>
<td align="RIGHT"><img src="../../../worldeye/nederland/komatsu08-6.jpg" alt="" width="320" height="240" /><br />
<span>▲航空便は重さで金額が決まる</span></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p>一つ目は、社宅退去後までは必要にならないもの。社宅退去後の住宅が決まるまで国内の倉庫で保管してもらい、落ち着き先が決まれば船便で送ってもらうこ ととした。船便は基本的に重さではなく容積で金額が決まる。 家具、ピアノ、装飾品や、食器、調理器具、自転車、書籍などをここに分類した。電化製品は日本とは電圧が異なるため、もったいないが、ほとんど廃棄するこ とになった。ビデオデッキとDVDプレーヤーだけは、ヨーロッパでは再生記録方式が異なるため、新たに購入した変圧器とともに梱包した。<br />
二つ目は、社宅で必要になるもの。出国後できるだけ早く入手できるよう、航空便で送ってもらう荷物である。こちらは重さで金額が決まる。当然船便より割高である。ECNが費用を負担してくれるので、少し欲が出て、必ずしも必要でないものもこちらに多めに分類した。<br />
まず、ほとんどの衣類はこちらに分類した。というのも、社宅では6月から最長12月まで住むことになる。まだ経験したことはなかったが、厳しく寒い冬も過ごさなければいけないと考えると、全ての季節に対応した衣類が必要と考えた。<br />
また、急に日本を離れることになったとは言え、成長中の子供たちは日本語を学び続けなければならない。そう考え、子供たちの日々の課題となる教材や、幼 児向けの書籍も全てこちらに分類した。さらに、寂しい思いを少しでも紛らわせるように、全ての玩具とアルバムをこちらに分類した。見積もりで出た数字は 600～700kgだった。<br />
上の二つが業者が運ぶ荷物、残りの一つは渡航時にスーツケースに入れて持って行く荷物である。航空便が届くまでに当面必要な着替え、子供の勉強道具、オランダで入手が難しそうな日用品などである。</p>
<p>業者による梱包と荷物の運び出しを終え、家族4人で実家に転がり込んだのが渡航3日前である。翌日に住んでいた家を不動産屋に引渡し、その翌日に8年11万キロ乗った7人乗りのミニバンを処分し、3日目に関空からシンガポール経由でオランダに旅立った。<br />
今思えばこのミニバンは惜しいことをした。新車から9年目の車は日本の中古車屋では値が付かなかったが、中古車の値段が日本に比べて格段に高いオランダ では、中古車市場で同タイプの車種・年式・走行距離を探すと、なんと、およそ6000ユーロもする。日本からオランダにこの車を送る費用は、手続き込みで も十分釣りが出たはずだ。もちろん右側通行の国で右ハンドルは不自然だが、英国から右ハンドルの車を持ち込んで運転しているドライバーも見かける。<br />
日本は何でも物価が高いと思いがちだが、少なくとも中古車の値段については西ヨーロッパと比べるとかなり安いようである。実際アイルランドでは、日本で 値段が付かなくなった中古車が人気らしい。手続きの煩雑さや維持費の詳細について調べるのが面倒だったため、日本で車を処分することを安易に選択したが、 これは早計だったかも知れない。</p>
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