地下鉄爆破テロ事件とロシアの生活 (2010年3月)

2012年1月23日

写真1各メデイアで大々的に取り上げられたとおり月末押し迫った3/29の月曜日朝、事件は発生。当方住むアパートすぐ横のパーククルトウーリ駅も12人が亡くなる惨劇の舞台となった。普段の通勤は車のため、週末特別なケースしか地下鉄は使わないが、使うとすればその駅であり、慣れ親しんだ駅である。未だにあそこであのような事件があったとは想像しがたいのだが、現実は現実。当方も出勤のため駅前を車で通過した1-2分後に爆発が起こったらしい。会社に到着するや否や情報入り、早速従業員安否確認開始したが、幸い当社では被害者は無いこと確認。安堵するとともに、今後の対策について考えてみた。確かに地下鉄は過去から強盗・傷害などの犯罪の場になることしばしばあり、我々外国人駐在員は出来るだけ使わないようにしているものの、必要な時には使わざるを得ないこともしばしば。全く使わないという状況は想定し得ない。ましてやロシア人にとっては生活の足であり、必要不可欠な移動インフラ。当社としてはFlex Time使って可能な限りラッシュアワー外しての通勤を指示したが、そういう対応は当地では必ずしも一般的ではなさそうだ。

さすがに午前中はロシア人スタッフもなんともやりきれない不安な表情であったが、時間が経つにつれ状況がわかってくると平静さを取り戻した。確かに地下鉄での移動の危険性はあるものの、かといって自家用車やバス/路面電車は酷い渋滞と確率高い交通事故遭遇考えると、どちらが危険度高いか判断の難しいところ。ロンドン/東京地下鉄同様、いまやモスクワ地下鉄は当地に住む人々にとって切り離せない生活インフラであること考えると、やはり地下鉄を使う選択肢は抹消できない。それを皆が自然に再認識したのか、やはり同日夕方にはごく普通に通勤の足として使っていた。「確かに恐いし気になるとは言うものの、使うしかないよね」というのが地下鉄利用日本人駐在員も含めたモスクワっ子の本音。半ば開き直りの感さえある。

警備体制が問題になっているが、そういっても普段から地下鉄構内には警官が常に複数立って監視を続けていた。日本人の目からすれば異様なくらいの警官人数である。しかし、最近はそれら警官が駅構内で4-5人たむろしながら話をしている様子を良く見かけていたのも事実。要は、最近事件発生少ないので気が緩んで各所に別れて立って警戒していなかったということかもしれない。警戒警官を増員すると政府は打ち出したが、どこまで効果が出るかは疑問。かえって増えた警官がいつものように難癖つけては人々から金を巻き上げる行為に腐心しておれば全く役立たず。事件直後ゆえに、そういうことは無いと願いたいが・・・。

当方自宅界隈は謂わば六本木界隈と同じで各国大使館が居並び、治安もすこぶる良いはずなのだが、一昨年からやはりテロで2件の殺人事件があり、今回の事件。あれだけ警戒していたSt.Pete-Moscow間高速鉄道も2回も爆破されるなど、十分としている警戒を上回る危険が常に身近にあることを意識して日々暮らす必要があるのがモスクワでの生活。ロシア人たちも、それは無意識に理解して行動しているようである。要は、「危険があること認識し、注意を怠らない。しかし怯まずリスクヘッジして行動する」というのがモスクワ流生活術か。ひいては、それはそのままビジネスを考える上でも通ずるものである。