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渡独、そして。

欧州の中の日本 ~ドイツ/デュッセルドルフから【第1話】

この4月で、ドイツ在住3年目に入り、年月の経過の速さに驚くばかりです。
これまで、レーゲンスブルク・デュッセルドルフに在住しドイツでの生 活を送ってきました。 今回は初回ですので、何故ドイツに渡ったのかということを初め、この対照的な町について少しばかり触れたいと思います。宜しけれ ば、少しばかりお付き合い下さい。


▲フランクフルト・アム・マイン中央駅の構内掲示板

そもそも、大学では民法専攻であり、ドイツ語専攻でもドイツ文学専攻でもなかった私が、わざわざ会社を辞めてドイツへ渡ったのか。
確かに学生時代に若干の興味を覚え、1セメスターのみドイツ語の授業を取ったことはありましたが、結局それっきりでその後接点は全くありませでした。 きっかけは前職在職中の2004年10月のこと。所謂「1週間ぶち抜き」の遅い夏休み取ることができ、さて一人で国外へ旅に出ようかと検討したところ、最 終候補にエジプトとドイツが残りました。ここでふと「そういえば、第二外国語でドイツ語をとったことがあるな」と思い出し、ドイツを選択することにしまし た。
ここでの選択が現在に至る訳ですが、この旅のスタート地点であるフランクフルト国際空港に降りたった際に、言葉では形容しがたい衝撃を受け「将来この国 で働くことになるだろう」と勝手な思い込みを始めました。


▲渡独を繰り返していた頃、最も印象に
残っている、ドレスデン・フラウエン教会

その後、休みが取れる度に渡独(およびドイツ語圏を含む近隣諸国)し、独学でのドイツ語習得を進めました。更に無謀にも「ドイツに渡り現地で職を得る。 但し、すべてを1年以内に」という目標を立ててしまったため、早くスタートを切らなければ一生後悔することになるだろう、と必要以上に自分を追いたて、遂 に2007年4月より、この無謀な計画を実行に移すべくドイツでの生活をスタートしました。

スタートの地に選んだのが、バイエルン州東部、地域でいうとオーバープファルツに位置するレーゲンスブルク。2006年にユネスコ世界遺産に登録され、 日本のテレビでも取り上げられる機会が多いようですのでご存知の方も多いかもしれません。
計画スタートに先立ち、前職退職前の有給消化期間に下見を兼ねて2週間滞在してはいましたが、まず勉強に集中できる静かな町であること・日本人が少ない 町であることが選択理由でした。


▲ドナウ川に架かるシュタイナーブリュッケからの
夜のレーゲンスブルク大聖堂

歴史的にも地理的にも重要な都市ではありますが、それでも人口13万人強(そもそもドイツには巨大都市がほとんど存在しない)、大阪・東京・横浜で過ご してきた私には信じられないくらい時が緩やかに流れる町でした。在住中は「退屈だ・刺激が無い」と不満を漏らしていましたが、今となっては「スタートの 地」として重要な町となっています


▲ナポレオン勢力下にあった際に築かれた
デュッセルドルフ Koenigsalleeにて

▲お世話になっている
Kommerzbank デュッセルドルフ支店の建物正面

その後、本格的に就職活動開始すべく、2007年8月にドイツ西部に位置するノルトライン=ヴェストファーレン州の州都、ベルギーやオランダ国境も近い デュッセルドルフに転居しました。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ライン・ルール地方の主要都市であり、更に欧州の日系企業の拠点が集中して いる都市としても有名であります。
人口は58万人ですが、日本人人口は、1980年代後半と比較しかなり減ったとはいえ6000人強、日系企業数は500社を超え、日本食レストラン・日 本食材店・書店・住環境・日本人学校等、日本人の為の生活インフラが整備されており、労働ビザの発給等を見ても何かと優遇される「欧州の中の日本」と言っ ても過言では無い都市です。
2008年に日本との関係を重視されていた前市長ヨアヒム・エルヴィン氏の急逝に伴う市長交代があり「厳しくなった」という声が聞かれますが、それでも 他の都市と比較すると色々な面で日本人が生活しやすいことには変わりがありません。(長所と短所は表裏一体ではありますが……)

このデュッセルドルフで、自らが設定した期限である’1年’ギリギリで、現在の仕事に出会い、2008年4月より欧州域の営業・企画担当として勤務し現 在に至ります。「欧州の中の日本」で生活しているが、本人は極力現地に同化するよう努めているという、誤解を恐れずに言えば「矛盾を含んだドイツ生活」に ついて連載していきたいと思います。最後までお付き合い頂いた皆様、有難うございました。次回は、「勤勉」というイメージを持たれているドイツという国に ついて書きたいと思います。

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