第6歩 仕事の仕方

2007年9月1日

カジュアルないでたちのノルウェー首相、イェンス・ストルテンベルグ氏今回は日本との違いに目をみはるノルウェー人の仕事の仕方について書いてみたい。

ノルウェーの一般的な会社の就業時間は8時~16時で、週37.5時間だ。日本の多くの企業の終業時間が9時~17時であっても実際の労働時間はもっと長 いのとは異なって、ノルウェーでは定時に仕事を終える人は実に多い。わがパートナーも某企業でエンジニアとして働いているが、たいていは4時半には帰宅 し、余暇を楽しむ。

そして日本人にはうそにしか聞こえないかもしれないが、ノルウェーでは夏休みは5週間ある。子供の学校の夏休みではなく、大人の夏休み、つまり有給休暇で ある。たいていの人は2、3回に分けて(例えば、6月と8月とか)取ることが多く、国内外に旅行にでかけたり、ヒュッテで過ごしたりする。実にのんびりし たものだ。

多くの人が休暇をとる夏には、学生達がそれを補うが如くサマージョブを1~2か月かけてすることも多い。多くの企業が学生のサマージョブを受け入れてい る。よって一般消費者からいわせれば、夏は思ったように機能していない会社が多いというのも現状である。どこどこ会社の誰々さんと連絡をとりたいと思って も「あ~、彼(女)は今休暇中で……」と言われることが多い。ヨーロッパの関係者と夏には(ビジネスで)なかなか連絡が取りづらい経験をした方も多いので はないだろうか。

ノルウェーの夏はベリーの季節つまり、こちらの社会は自分の権利(5週間の夏休み)のためには、多少の不便(夏は何もできない?)もがまんしようという世の中なのである。日本の便利追 求型の社会とはだいぶ異なる。私自身は日本型社会、消費社会に慣れ親しんだ人間としてこちらの社会に多少なりとも不便さを感じるのが正直なところなのだ が、ノルウェー人をみていると人間らしく生きているなと感じることは多い。人間らしく、働ける分だけ働き、そして遊ぶ。その遊び方も自然と親しみながらな のだ。

私が従事していきたい建築等の物づくりの現場では、このノルウェー的働きかたと、日本的働き方の違いによって、結果としてどのような差がでてくるのかに私 は非常なる興味を持っている。今まで学生としてその業界と関わって来て、学生だけ見ていても差は大いに感じた。日本の学生なら設計製図の提出前、徹夜は基 本で、よりいいものを作ろうと提出直前まで努力をするのだが、ノルウェー人は大事なプレゼン前でも前日夜8時頃には帰っていく。私にはどんなに忙しくても プライベートを楽しむ権利があると言わんばかりだ。これはあくまで私が出会った人たちの話であって一般論とは異なるのかもしれないが、それくらいノル ウェー人はリラックスしていると思う。

仕事後に所有のボートにのって楽しむ人

このノルウェーで就職し、こちらのやり方になれ親しんでゆくと、もう日本流では仕事ができなくなるかもしれないと私は内心おびえている。