ロシアの移民問題

2013年12月17日

今回は、写真無しで最近身近で起こっているロシアに於ける移民問題に関して少々触れてみたいと思います。以下は当方が自身の雑感として書き纏めたものです。日本ではこういう問題は当然深くは報じられることありませんが、モスクワではここ2年ほどの間に中央アジア系移民とロシア人との間で大きな衝突が幾度か発生しており、殺人にまで発展しているケースもあります。今夏には強姦犯を追って移民でごった返す青空市場へ警官が捜査に入ったところ、警官が移民に囲まれて暴行され重傷負う事件あり、それを契機に移民狩りが市内各所で行われたこともあります。幸い当方は間違われませんでしたが・・・。

 

今春よりたびたび中央アジア系移民とロシア人グループの衝突が発生しているが、10月にはモスクワ郊外南部のショッピングセンターで暴動までに発展。大騒ぎし世界の耳目を集めることとなった。確かにロシアにはVISA無しで入国できる旧ソ連圏の中央アジア系移民が不法労働に従事していることは多く、社会の最底辺の暮らしをしているがゆえに犯罪に走る傾向も顕著にあり、犯罪の8割ほどは中央アジア系移民が引き起こすものとなっている。従ってアジア系の顔つきの人はまずはそういう先入観で見られることが多い。それでも、中央アジアからの仕事を求めての移民は増加を辿る一方。やはり仕事にありつける機会多いモスクワやSt. Pete、または地方の100万人都市へと流れ込む。これは生活のために仕方なく家族と別れて出稼ぎに来ているのかと思えば、まんざらそうでもない連中も居るようである。新聞記事によれば、キルギスの地方では高校生に対し、どのようにしたらロシアへ行って稼げるかを学校で教える授業があるという。無論、それはキルギスという貧しい国で、産業もあまり無く当然仕事も見つけにくいため、自分達の将来のためにロシアで仕事を見つけるということを目的に、具体的な手続き論を指導するのである。我々日本人から見れば「自国には見切りをつけて、ロシアで身を立てることを考えなさい」と国が運営する学校が教えているようなもので何とも奇妙な話だが、人生がかかっている本人たちにとっては真剣そのものの話。しかし、それで夢に見たロシアに来ても、社会の最底辺の仕事しかチャンス無く、事あればロシア人から排斥を受けるかもしれないリスクに取り囲まれる現実に直面すれば、やはり思いは複雑にならざるを得ないものと憶測する。中には絶望して犯罪に走るものも居るかもしれない。そう見てくると、どこかでこの悪循環を断ち切らねばならないと思うのだが・・・。中央アジア人と同じ顔つきの日本人は、スーツ着てさえ居れば日本人とほぼ識別してもらえるようで、本当の中央アジア人の恨めしそうに我々を眺める視線感じることは多い。この問題はなかなか根が深い。しかし、人口減少局面に入ってしまったロシアにとっては、これら移民を上手に活用することは必須の課題なのではないかと思える。