ウィーンの散歩道 ~Mit der Musik【第16話】

2009年12月12日


▲クリスマスイルミネーションと、にぎわう人々


久しぶりの帰省と秋のコンサート

皆様こんにちは。
もう12月で街はクリスマスの雰囲気でにぎわっていますが、今回はこの秋、約2年ぶりに日本に帰った時のことを書こうと思います。

今回は帰ってすぐに島根の田舎、母方の祖母に久しぶりに会いに行ってきました。大阪から車で5時間足らずで行けてしまうのですが、都会とはまったく違っ て本当に静かで穏やかで自然がそのまま残っていて……忘れかけていた日本の風景でした。彼岸花と黄色い稲穂と小川と山とに囲まれて散歩などしていると、 ウィーンで色々悩んだり戦ったりしてたので、なんだかそういった緊張感とか切羽詰った感じとかスーっと消えていき心が穏やかになりました。
小さい頃から高校生くらいまで、毎年夏休みに同い年の姉妹みたいないとこや弟とその辺りを走り回ったり、山に探検に行ったりきれいな花をひた すら探したり川遊びをしたり……そういった思い出が急によみがえってきて懐かしい気持ちになりました。そのいとこは今、京都大学で研究員をしており、弟は 東京で仕事をしていて、自分はウィーンで音楽家として大きくなるために苦労の日々。。。たまに小さい頃のこと思い出すのもいいものですね。


▲島根県久利町の風景写真

▲三瓶山、浮布の沼

私の島根の祖母は書家で祖父が亡くなって広い屋敷に一人で住んでいて、朝5時頃に起き自分で作っているお野菜の畑や庭 の仕事をして、仏様のお参りをして、作品を書いたり、生徒さんが来たり、教えに行ったり、誰かが訪ねてきたり……3日ほど一緒に過ごしましたが、元気で忙 しくしている様子を目の当たりにし、祖母からパワーをもらいました。
祖母は私の人生の目標です。いつも自分に厳しく、心は素直でいたいです。


▲稲刈りの風景

▲祖母の庭

島根から帰ってからは、その後に行われる京都でコンサートに向けて家で練習を行うのみでした。ただ今回は、箕面市の実家に置いてある私の荷物や楽譜、本の整理をしなくてはいけなかったので、それが思った以上に大変でした。  皆さんも経験があると思いますが、いろいろ片付けていたら高校の教科書とか昔の日記とか写真など懐かしいものが次々と出てくるのです。当然、昔のことを思い出したりして、片付けは一向に進まず……。練習、片付け、練習、食事、といった繰り返しの日々でした。
コンサートまでは京都芸大の恩師の樋上由紀先生にレッスンして頂いて、いろいろお話も聞いてもらって……そのおかげで当日は落ち着いて自信を 持って弾けました。(コンサートでは自分の衣装がなかったので、先生のドレスを貸してもらいました)樋上先生には私が13歳の時から厳しく時間をかけて教 えてもらっていた方で、頭がものすごくいいので道理とか物事の筋とか音楽以外のことに至っても助言してくださった先生です。特に私は常識がないところが あったし、ポワーッとしてるので、色々しでかしてしまったし、その度に叱ってもらって感謝でいっぱいで大切な存在です。
コンサートでは会場の雰囲気が本当に温かくてのびのびと演奏ができました。 私は、ちゃんと弾くことや勉強することのは当たり前でそれプラス、自分が何を思っているのかとか、その思いを伝える強い気持ち、エネルギーなどが演奏家の 弾いてる時の姿に表れると思っています。ですから、私の演奏を聴いてくださる方がそういった部分で何か感じたり想ったりしてくださって、心に伝わるものが あれば素敵だなと思います。

今回は久々に家族にも聴いてもらえたコンサートでしたし、友人も手伝いに来てくれ、その他にも多くの方に聴いていただけたので嬉しかったです。
多くの人に支えられて生きていると実感した帰国でした。

▲京都『錦鱗館』でのコンサート終了後