ウィーンの散歩道 ~Mit der Musik【第4話】

2007年10月23日


ウィーンの秋


▲ドナウ運河

こんにちは。ウィーンは秋が深まり、冬の気配を感じるようになりました。
家のすぐ裏にあるドナウ運河へは毎日のように散歩に行きますが、この季節は赤や黄色に染まった葉、秋の青空、またそれらが川に映ってたくさんの色が見られとても美しいです。
先週末、冬が始まる前にピクニックに行こう!ということで、門下の友人とウィーンの森にあるカーレンベルクの丘へ久々に行ってきました。
丘から下ってくる途中にはブドウ畑が広がっていて、ゴザを敷いてお弁当を食べている家族連れや、サイクリングをしているグループ、読書をしている人、お年寄りなど、たくさんの人たちがのんびりと休日を楽しんでいる様子でした。
この時期はMost(モスト)という発酵させる前のアルコール分のないブドウジュース、発酵途中の”濁り酒”の状態のワインで甘く口当たりの良いSturm(シュトゥルム)が楽しめます。私達もブドウ畑の中でSturmを飲み秋のウィーンの森を満喫しました。


▲カーレンベルクの丘からみたウィーンの森

▲丘からの下り道

▲ブドウ畑とドナウ川、国連都市

▲ブドウ畑

カーレンベルクの丘から下ってきた19区のグリンツィングというところには、ベートーヴェンが散歩していた小道や、彼が通っていた居酒屋、また耳が聞こえなくなりつつあることを悲観し弟達に向けて遺書を書いた家がほぼ当時のまま残っています。
遺書を書いたといっても、実際はこの後25年もの間、悲しみと同居しながら音楽に生き、精力的に作曲活動を行いました。


▲べートーヴェンの散歩道

▲遺書の家

さて、10月に入って大学も始まりました。冬ゼメスターは10月から始まり、3週間のクリスマス休みを挟んで1月終わりまでです。私は来年6月に大学院終了予定なので、今ゼメスター中に最後の必須授業など取らなければいけません。


▲大学での内田光子(ピアニスト)講義

私の在籍している科はKlavier Konzert Fachというピアニストになるための科(教授が10人、生徒は全体で100人くらい)なので、レッスン、クラスの弾き合い、コンサート、そして練習が主 ですが必須もたくさんあります。その他に大学が招く音楽家の講義や指揮科の伴奏に行ったりして、夏休みとはまた違った刺激を受けることができています。

これから冬が近づくにつれて日照時間が短くなり、気温もどんどん下がっていくので、夏のように屋外で過ごす時間が少なくなりますが、その分パーティーや音楽会等に行く機会が増え、街はクリスマスムードが漂い始めます。

次回はウィーンのクリスマス市をご紹介します。