のぉせんぎょ
中井正明
(64期・なにわことばのつどい代表世話人)
- 大阪辯の訛語で“野施行”と書く。
現在は死語に近うおまス。施行は国語辞典に載るが
野施行の熟語は無い。
大阪ことば事典と上方語源辞典には収載だして
“寒中は狐狸の類が飢えているので、
施行すると応報があるとて大勢連れ立ち
「センギョセンギョ野施行」と
囃しながら、辻堂や小祠に赤飯・油揚げなどを
配り廻った庶民層の風習。
上方落語・吉野の花山にも
野施行の件がある”と。
今でいう動物愛護運動の一環ヤッタかなあ。
戦前戦後(’40年代)までは、
大阪市内にも田畑が多く見受けられ、
このしきたりが各地域で行われていたヨ。
筆者の生育地・中津の町(現北区)カテ
近所に祈祷師の老婆が居てテ、
同様の寒中行事に防寒頭巾をかぶって
参加した経験を持っとりま。
旧き良き時代も今はもう
大阪の町から消えてマイましたなあ。
川柳に
野施行や葎(むぐら)の中の捨て社 (甲子)
が詠まれ、
何ト郷愁を誘なう一句やおませんかィな。
Last Update: Feb.23,2003