六稜NEWS-090905
講演の様子
六稜トークリレー【第68回】
「アナログからディジタルへ」釜江尚彦さん@69期

reporter:黒岩正幸さん@69期

 難解な技術論かと身構えて出席したら、歴史や社会、時事政治論をまじえた中身の濃い講演だった。居眠りする暇もなかった。話題が多岐にわたったので短くまとめるのが難しい。私の能力を超えているけど、あえて我流で要約するとこんなことになるのではなかろうか。

釜江尚彦さん
 猿の仲間の一種に過ぎなかった人類の先祖が「コトバ」を発見した。仲間から抜け出し「人間」となった。ディジタル化の始まりである。さらに人類は「文字」を使いはじめてディジタル化がさらに進んだ。
 境界が曖昧であったり、連続したりしている物や現象をその付帯情報を無視して音声で、次には文字で代替する。いわば生身の情報を「記号」に置き換えてきたと言ってよい。その過程で沢山の情報が失われたかもしれないが、コミュニケーションが容易になり、空間と時間の制約を超えて情報が伝達され、蓄積されるようになった。失ったものより得たものの方が圧倒的に多かった。
 その他の技術の発展とあいまって、テレビ、ファクシミリなども生まれた。二次元三次元情報を「点」に分解し記号の列に変換して発信し、受信側で復元する技術もディジタル化の結果である。このようにディジタル化ともに人類は発展してきたし、今後もディジタル化とともに発展するであろう。

釜江尚彦さん
 われわれの個人としては、ディジタル化から逃げずに積極的に取り入れていくことをお勧めしたい。生活の充実につながる。経済社会のレベルでは理系の人の活躍を期待する。国や社会が発展の方向を間違わないためには、運用によって現実に対応する文系発想ではなくて、基本設計に戻って体制を再構築する理系の発想が欠かせないからである。

 このような結論に加えて釜江さんは文系社会の弊害の例を幾つか挙げられた。
  1. 漢字の記号化を中途半端にしたまま年金台帳をコンピュータ化し、旧台帳を廃棄してしまった役人達。
  2. 今後の巨大技術には研究開発の規模の大きさが決め手になることを知ってか知らずか、リーダー的な研究開発機関を育ててこなかった文系社会のリーダー達
  3. 標準つくりで世界の多数派、主流派になれなかったNHKのハイビジョンや、ガラパゴス化した携帯電話、
  4. 巨大銀行が合併したのにコンピュータシステムの統合ができない銀行、などなど。
 文系の人間がいまさら理系に鞍替えはできないが、少なくとも科学技術への関心をもつことの必要性を痛感した。「目から鱗」の講演であった。

Last Update: Sep.17,2009