われら六稜人【第7回】わたしは好奇心のかたまり

第4展示室
21世紀の子供たちへ

    ちょうど昨年の今日、2月14日にキッズプラザ大阪の館長就任のお話をいただきました。わたしは毎年2月から3月にかけて、主人と一緒に海外旅行に出かけるのですけれど(この時期が一番、航空券が安いでしょ)、急遽、予定を変更して世界の子 供博物館を見て周ることにしました。5度目の世界一周でしたから、世界の主な博物館は大概訪れていましたけれど、なるべく新設のものや子供向けに特化した 館を、とくに運営面にポイントを置いてくまなく見て歩いたのです。高齢者は半額、障害者は無料…といったチケットシステムや、魅力的なミュージアム・ショ ツプなど、いろんな項目についてチェックして参りました。

    リゾート法ができる時には、世界でも先進のリゾート地であるフランスのコートダジュールの海岸を、レンタカーを借りて東はイタリアの国境から西はスペイン の国境まで…隅からすみまで走りましたし、関空の空港調査会の委員の時には、世界の43空港を3ヶ月かけて視察しました。それまでは、ターミナルビルなん て「如何に早く通過するか」という視点でしか考えていませんでしたから、空港のいろんな機能をいま一度見直してきました。そうした今までの経験を集大成で きる場所として、自分としては、このキッズプラザ大阪を位置付けています。

    詳しくはキッズプラザ大阪のホームページでご覧になるか、実際に足を運んでいただいて目にして戴きたいのですが、館内のポイントを少しだけかいつまんで紹介させてください。「キッズプラザ大阪」は構想に4年あまりの歳月をかけて、こどもたちが主役になれる、豊かなこども文化を育むことができる施設を目指して、1997年7月 にオープンしました。自由な遊びと体験を通して、こどもたちが身近な事柄に新鮮な発見と驚きを得ることができるよう「In Learnin By Doing」をコンセプトに、展示とワークショップとを結合させた学習空間です。
    いろいろな世代、立場、地域の人々と実際にこどもたちが対面し、交流することによって豊かな感性を培えるように、開かれた参加型のミュージアムです。

    展示フロアでこどもたちと接して活動するインタープリター(ミュージアムボランティア)は広く市民の皆様から募集しました。わが国では非常に先進的な取り 組みで、市民をはじめ各界の人たちからも注目されていますが、300人を超える応募者がありまして。10代から70代まで…現在200人くらいの方々に登 録をしてもらっています。
    みなさんに研修を受けて戴いて…だいたい毎日20人ずつくらい活動していただいています。基本的にはボランティアなのですが、交通費と昼食代程度はお渡しするようにしています。この制度は国内はもちろん、海外からも注目されているんですよ。

    館内には他にも32名の職員がいます。ワークショップ、コンピュータ工房、創作工房などでは、それぞれに精通したスタッフが担当しています。

    クリスマスにはフェイス・ペインティングをしました。わたしも頬に描いて貰って…そのまま電車で帰りました。JR大阪駅で「それ、どこでしてもらったんですか」と若者に尋ねられたくらいです。

    食については「パーティキッチン」で色々な企画を催しています。季節感を大切にして、食材の存り方から説明するんです。畑で育っている状態から見せます。 次に、切って匂いもかがせます。普通、子供用の料理といつたらクツキーとかケーキといったお菓子になってしまいますけれど。今月のテーマは「おかゆ」で す。お米にも赤米、香り米、インディカ米など…たくさんの種類があるということを知って貰うことから始めるのです。米と水の割合で3分がゆ、5分がゆ、7 分がゆ…ができるという実習もします。日本以外の中国やインドの「おかゆ」も食味します。

    また、ここでは実際に包丁を持たせることにしています。反対意見もあったのですが「切って、初めて痛みがわかる」ということを理解していただいています。とくに最近の事件は「痛みを知らない」子供たちが犯してしてしまっている犯罪だと思うンですよ。それで。

    とにかくここでは、見て、触って、感動して、不思議に思う…ということに主眼を置いています。大阪にはすでに大阪市立自然史博物館(長居)や海遊館(天保 山)など、公立私立おり混ぜて何十館かの子どものための施設があるのですが、キッズプラザ大阪はその出発点にあたる博物館になると思います。

    学校では出来ないような体験や観察が、ここに来れば出来る、と。しかも、それで学校に戻れば一層授業が良く分かる…そういうような場所にしたいと思ってい ます。文部省がすすめる校外学習スポツトとして、府外…兵庫、京都、奈良、和歌山からも、たくさんの方が訪ねてくださっています。何回来ていただいても面 白いミュージアムにしていく心算です。

    わたしの子供時代といえば、終戦が小学校4年生の時でしたから「欲しがりません勝つまでは」で、やみくもに頑張ってきた時代でした。ですから最近の風潮を 見ていると、一年くらいは両親から離れて規律正しく節度のある生活をする体験をさせてはどうか、と考えることがあります。今「きれる」とか「むかつく」など話題になっていますが、それらは忍耐力を養っていないからだと思われます。わたしは疎開の経験から家族の大切さ を学びました。今は出生率が下がって子供の数が一家族1.5人を切ってますでしょ。一人っ子も多い…。昔は兄弟が多くて、その同居生活の中で友達や他人と の距離の取り方も学んだように思います。

    FM802をご存知ですか? わたしはオープン前からその会社の委員をしていますが、AM・FMあわせてもシェア日本一のラジオ局なのです。今年、開局10周年を迎えますが、業界トップとしての責任を果たすようお願いしています。

    北野高校も…もちろん成績だけではなく人間形成の場として「トップの自覚」を持って欲しいと思います。わたしは大阪市の教育委員会の仕事もしていましたの で、その辺りは特に強い心入れがあります。せめて高校を卒業するまでに、もっと人との付き合い方、接し方というのを学ばせるべきではないでしょうか? こ れには生徒も先生も共に取り組んで戴きたいと願っています。そして六稜同窓会としても、真剣に取り組んで行かねばならない課題であると思います。

Update : Mar.23,1998

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