六稜ト-クリレ-【第17回】

六稜NEWS-050305

「医者にかかると寿命が縮む?
一に養生、二に環境、くすりは三番」藤岡義孝(74期)さん

reporter:壽榮松正信(74期)


    3月の『六稜トークリレー』は、三重県「赤目養生診療所」の藤岡義孝さん。お医者さんの話を聞かせていただきました。「医者にかかると寿命が縮む?」と題 した衝撃的なお話でした。しかし、最後までお話を聞かせていただいて、医者と患者、それに各種団体など色々なしがらみからの問題点から、医療問題について 筆者の心につかえていたわだかまりが消えました。

    昔と違って、医師の数が30年ほどで2倍にもなり、今後も年間4000名もの増加が考えられる中、病院も他の数ある職業と同じで、安定した仕事ではなくな りつつある。そのため、営業上から、無理に患者を作ったり、過剰な医療をする医者も出てくるし、患者の中にも、必要のない医療を望む場合も多々ある。

    医学が科学的である以上、つねに未完の医学であり、いわゆる欠陥商品を売っているようなものである。
    たとえば、欧米では150年あまり前まで「瀉血」という治療法(静脈から血を吸い出す治療)が広く行われていました。しかし何度も瀉血されるなかで、貧血 がひどくなり、しだいに衰弱して死亡する人が続出しました。アメリカの初代大統領ワシントンも、その犠牲になった人といわれています。

    藤岡さんは、このような状況の中、基本的な医療の軸足を「養生」に置き、近畿地方でも環境の良い三重県に入院施設を持つ「診療所」を開き、独特の医療活動をしてこられた。

    基本的な考え方は、当日配布されたレジュメ(下記)にある。
    一般的に「養生」については「1.食養生」「2.適度の運動」「3.心の養生」などがあげられるが、さらに「4.学習」「5.環境」を加えてその重要性を述べられた。


    養生

    赤目養生所 顧問 藤岡義孝
    養生とは、「生」を養うこと。「生」とは、生命、生活、人生等のこと。
    治療は専門家が行い、病人は治療を受けるが、養生は病人自らが行う。
    専門家から受ける治療とともに、自ら行う養生の両方が大切である。
    養生によって、生命力、免疫力、治癒力が高まり、治癒が促進される。
    一に養生、二に環境、薬は三番。養生とは環境とうまく関わることである。

    1.食養生(養生の中で食養生がもっとも大切である)
    私たちの身体は、脳もふくめて、食物を材料としてできている。
    身体活動のエネルギーは、脳の精神活動もふくめて、食物である。
    食物を食べるということは、環境と関わることである。
    1. 安全な食物と水(汚染や腐敗がない、残留農薬や食品添加物が少ない)
    2. 旬の野菜や果物、新鮮な食品、丸ごとの食物(玄米、豆類、小魚自然塩、等)
    3. 栄養のバランスがとれている献立。偏食しない。栄養のバランスをとるのは、むつかしくない。
      1. 動物性の蛋白質はあるか
      2. 緑黄色野菜はあるか
      3. カルシウムはあるか
      4. 丸ごとの食物は-
    4. 三度の食事を規則正しく食べる。空腹を感じて、適量食べる。食べ過ぎない、不足もない。
    5. よく噛む。ゆっくり食べる。(1ロ30回、30分かける)楽しく食べる。
    6. 間食や飲酒、たばこは控えめに。
    2.適度の運動
    骨と筋肉と関節はもちろん、心臓や肺、胃腸などの内臓も、自律神経やホルモンの働きも、運動によって強化され維持される。適度の運動は心を安定させる。運動によって環境とうまく関われば、身体能力を高め、心身の状態を良好にすることができる。
    1. 適度の運動と労働。過度の運動や過激な運動、過重な労働をさける。
    2. 屋内の運動も良いが、屋外の運動、自然な環境での運動が大切である。
    3. 身体に無理な負担をかけない。軽いストレッチ体操と少し早足の散歩で十分。
    4. 休養と睡眠。疲労の蓄積、睡眠不足、睡眠過多をさける。
    3.心の養生
    心の養生を心がける。心の状態をチェックする、バランスはとれているか、安定しているか。
    行動をかえて、気分の転換をはかりバランスを回復する。「歩く瞑想」を活用する。
    考えることを中断する、外界を見る、外界を感じる、環境と関わる。(脳の中から外へ)
    1. プラスの感情は素直に大きく感じる。プラスの感情とは、楽しい、うれしい、愉快だ、というような感情のこと。喜び、ときめき、感動、幸福感、信頼感などもプラスの感情です。
    2. マイナスの感情からは早く抜け出す。マイナスの感情とは、悲しい、つらい、苦しい、不安、憂鬱、心配、悩み、恐怖、恨み、嫉妬、ひがみ などの感情のこと。怒り、こだわり、不平不満なども、内容によってはマイナスの感情になる。無力感、孤独感、敗北感、絶望感などは強いマイナスの感情。
      マイナスの感情は大きく感じすぎることが多い。まったくの幻想であることも少なくない。
    3. 軽いストレス、強くても短期間のストレスは良い。強すぎるストレス、いつ終わるともなく続くストレスからは早く逃げる。
    4. 楽観的に考える。悲観的になりすぎていないか。ゆとりをもって対応する。取り越し苦労をしない。 遊び心をわすれない。何事も楽しむ。大いに無理にでも笑う。行動を重視する。
    4.学習
    「知ること」は、自分が変わること。自分が変わると世界が変わる。
    人生観、価値観、世界観を磨き、判断力を高めるために学習する。
    展望、希望、目標、生きがいを見つけるために学習する。
    自信をもって前向きに考えられるようになるために学習する。
    環境について環境との関わり方についての知醜を豊かにする。
    1. 身体や精神(心)、健康や病気についての正しい知識を身につける。
    2. 知識を広めて、正しい判断ができるようになる。細部にとらわれずに全体を見る能力を養う。情報をよく選択し、よく消化して吸収する。マイナスの情報を過大に評価しない、深刻に考えすぎない。
    5.環境
    私たちは常に環境と関わって生きている。環境とうまく関わることが大切。
    目標は、多様な環境の中で能動的に振る舞えるようになることである。
    環境をより快適なものに変える。どうしようもない耐えがたい環境からは早く逃げる。孟母三遷。
    養生とは「環境との関わり方」であると言っても過言ではない。
    「食事」も「運動」も「心の養生」も「学習」も、環境と関わることである。
    1. 安全な環境。有害なものが少ない環境。(環境衛生、労働衛生)
      過度の刺激や不快な刺激が少ない環境。(騒音、振動、光など)
      清潔で衛生的な環境。病原菌の少ない環境。
    2. みどり豊かな環境。自然な環境。自然に近い環境。快適な環境。落ち着ける環境。
    3. 信頼によって結ばれた楽しい安心できる人間関係(家庭、友人、学校、職場、地域等での)
    4. 情報という面での環境。文化的、社会的、政治的な環境。居住地、職種、職場、学校、友人を選ぶ。


Last Update: Mar.5,2005

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